オッペンハイマーのレビュー・感想・評価
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これから観るあなたへ。予備知識を少々
原爆の父と呼ばれる男が米国で成し遂げたこと、そして世界に"してしまったこと"をノーラン流の映画術で描ききった大作
純粋なエンタメと違って予備知識があるほうが分かりやすく感じたので私なりに少し
物語の大きな軸は一人の物理学者がいかにして原爆に携わり、大戦後に公職追放されてしまったか
そこに、
【追放に到るまでの密室での『聴聞会』】
【聴聞会を裏で主導したストローズ(ロバート・ダウニー・Jr)に関わる『公聴会』】
のエピソードがメインの流れに差し込まれる形で描かれる
その他としては、
・オッペンハイマーはユダヤ系、ゆえにナチスに核兵器開発で先んじられることをより恐れていた
・大戦後の米国ではソ連に対抗するべく反共産主義の強い流れがあった
・公聴会で議論されていたのはストローズが商務長官(日本でいう経済産業大臣)になれるか否か
この辺りを知っていると分かりやすいだろう
間違いなく見て損は無い作品なので、不勉強ゆえ「何を議論してるんだ?」となってしまった私と違う映画体験を皆さんが送れますよう
濃密な3時間
“臨場感”ではあらわせない恐怖「IMAX」
圧倒の3時間だった
おもしろかったです。これはアカデミー取るな〜って感じだった。
圧巻の映像と時間が行き来するいささか難解で引きつけられるシナリオ。けどノーラン作品の中では見やすい方かな。
被爆国の人間として、両手放しで楽しめないシーンもありました。トリニティ実験の成功とか、広島と長崎に落とされた時の描写とか。
ただそこに苦悩がなかったわけではない、そう描かれてたことだけがわずかばかりの救いだろうか。
その後の弾劾のシーンは見てるこっちも精神的に削られてほんと疲れた!
ただ前半の成功だけで終わらなかったところに監督のなんか……思惑とか信念があると思いたい。
シーンや人物の説明がほぼほぼない今どき作りで、状況と人物把握に労力がかかるし、登場人物が多くて覚えられない!けど誰か誰か分からなくなりつつも魅力的な人物が多くて楽しめた。
総じて良い映画だったな。
長編ノンフィクションのダイジェストみたいな
情報量や必要な背景知識が多すぎて、情報として理解できないところが結構あった。でもオッペンハイマーの気持ちとか人となりはまあまあわかったので、そこまで置いてきぼりにはされなかった。でもそれも自分の情報量や背景知識のおかげかもしれないので、ネットで調べて予習してった方が多分楽しめる。というか史実とか豆知識とか量子力学とか全部知っといた方がいい、というくらい説明の省略が激しい気がするし、そんな楽しみにくい映画を良い作品と呼ぶのには抵抗がある。
一番面白いテーマとしては科学者がどこまで発明に対して責任を持つかということで、オッペンハイマーと原爆に関して言えば人類のためにオッペンハイマーにできたことはもっとあるように思う。というか序盤で「誠実な人(has integrity)」と言われていたけども、原爆投下に関してはそうではなかったことが明らかに描かれていた。とはいえ自分がオッペンハイマーの立場だったらどうするかと考えても、自分の仕事の重要さや政府の力を前にして、たぶんそんなに正しいことはできない気がする。救いとしては彼にも良心の呵責があったことくらいで、原爆も水爆も目的がクソすぎて無意味すぎる。こういう絶望を、この作品が描けていたかはよくわからない。
原作小説はもっと細かいところもゆっくり考えさせてくれるのではないかと想像する(本なので)。原作小説では意義があるエピソードだったかもしれないが、映画では意味不明に感じられたものがあったように思う。男女関係とか文学的な素養とか、オッペンハイマーの人柄の多面性を伝えるつもりなのかもしれないが、最大のテーマとの繋がりからすると結構どうでもいい。他人とちゃんと深く関われる社会性がある一方で、自他ともにその知性を神に重ねるなど、対極的な要素を持った興味深い人柄なのは頭ではわかるというか理知的に伝わってくるのだけど、心理的には全然説得力が無かった。つまりオッペンハイマーが恋人たちを愛したり気遣ったりしてても感情移入できないし、自分のことを神かと思うような場面でも万能感や神秘性や畏れをあまり感じられない。テンポが早すぎるせいなのか、インド古典を読めばいいと思ってるせいなのか…そのくせにメロドラマ的な楽曲の使い方してたり、ちょっと意味わからない。
どうせなら3部作にしたらよかったのではと思う。ケンブリッジからバークレーまでの時代で彼の人となりを深く伝えて、マンハッタン計画開始から原爆投下までで発明のワクワクと絶望をドラマチックに描いて、最後は赤狩りの尋問を受けながら内省を描く、みたいな。ストロースの恨みとかかなりどうでもいい。まあ原作知らないからなんとも言えないが。
この作品を見た人が原爆や兵器開発の「正しさ」を再考するのであれば、良い作品だったと言えるかもしれない。ただ色々とごちゃごちゃしてて飽きて寝る人の方が多いかもしれない。
避けては通れない
子供の頃、祖母(その日広島に居た)を初めとした大人達から色々教えてもらった。
世界がいつ終わるのか、恐くて眠れない夜が続いた。
映画自体はそこまでキツくないけど、記憶のトリガーとしては充分で、見終わるまでしんどかった。
でも見ない、目を背けるというのは、もっとしんどい選択肢ではある。
出来るだけ客観的に、あくまでエンタメ、一部トリガーとして受け止め、これからゆっくり反芻と消化をして行こうと思う。結果、面白かったかどうかはともかく、これから時間をかけて接する事になる作品の価値を思い、星4つ。
誰が、どこの国が、どの思想が、などと主語に他者を選択して語る人間が人類に居る内は、また繰り返すのだろうと思う。それは人類の行動で、自分は人類。それを受けて、自分はどうするのか。答えが出なくても、問い続けるしかない。
(個人の思いです)
社会派
がんばれオッピー
とっつきにくい内容かと思いましたが、オッピーの揺れ動く心に感情移入していました。
オッペンハイマーは、知識も才能も、統率力も、男性的魅力も備えた人でした。
他の物理学者、軍や政府関係者のやりとりを通じて、自分も優れた人になった気分でした。
我に戻り、レベルの違う特別な組織での上下関係や立場の大変さを考慮すると、われわれ凡人は幸せだと感じました。
生まれてくる時代や境遇により、デキるひとほど、変化のときの影響を大きく受けますね。
ところで、日本への原爆投下は、既知の事実です。そして、オッペンハイマーの責任は、これまで十分に検証されてきたことと思います。ここでは、戦争の善悪に意見したり、登場人物を批判したりするのてはなく、オッペンハイマーに寄り添いたいと思いました。
映画の中の出来事は、すべてが真実ではないですが、このたび、知らなかった歴史の側面に触れることができて良かったです。
見た。 ⚫︎4/10追記⚫︎
この作品は、映画界トップを走る
C・ノーラン監督が訴える「反核」作品だと受け取った。
それはオッペンハイマーの後悔が何度も何度も悪魔のように映し出される事からも読み取れた。
原爆投下で歓喜しているアメリカ人。
あの不快なシーンをわかった上で敢えて入れ込んでいる意味。
それを見ているオッペンハイマーの恐怖と後悔がはっきり描かれる。
勝利に歓喜している人々は、彼には、爆撃によって焼けただれたように肌がめくれ落ちる女の子とシンクロして見えていたし、足元には黒く焦げた死体まで見えているのだ。
彼にはその惨状が見えていた。
とても苦しいシーンで、怒りの感情が込み上げた。乗り越えられるか不安になった。
鑑賞後知ったのだが、この焼けただれたような肌の女の子は、ノーランの娘さんなのだそうだ。
そしてこの題材で映画を撮ろうとしたきっかけは、息子さんとの会話からだったそうで、この世代の、化学兵器や戦争に対する関心の低さを危惧したからだとか。。
この事からも、原爆投下によって起こった悲劇を、ノーランが「他人事」として扱っていない事がよくわかる。
どうしても、我々日本人は怒りの感情を抑えて観るのは難しい作品。
しかし、アメリカの罪を大義として過去に葬る事に「NO」とした姿勢を示した、ノーランの覚悟が伝わってきた。
この作品はオッペンハイマーの視点
(伝記映画)で描かれているので、日本人としての怒りだけを軸にして観るのは少し違うのかもと、冷静になろうとした。
彼の科学者としての考え、敵国よりも先に核兵器を開発しなければという焦り、ジレンマ、葛藤する姿に注目すべきなのかもと自分に言い聞かせる。
そして、
核を作ってしまった人間の物語であり、当時の世界情勢(駆け引き、戦争)や、アメリカの政治、思想を理解する為にはとても意味のある作品だなと思った。
21万人以上が亡くなった、ヒロシマ・ナガサキの直接的な描写がない事の是非。
オッペンハイマー視点の作品だから、作品上の展開としては妥当な選択だったのかもと納得するようにした。
ノーランの配慮や慎重さも感じられた。
だだ、どうしても気になった事。
オッペンハイマーの後悔について。
彼の、科学者としての抑えられない欲求、大義については何とか理解するようにした。
しかし、その後悔。
学校や病院もある、人々が普通に暮らす場所。ヒロシマ・ナガサキに原爆が投下された事実。
被害者となった方々への懺悔、後悔というより、次のステージの扉を開けてしまった事への後悔の方が、勝って見えてしまい仕方なかった。
オッペンハイマーという人物、彼とストローズの確執をメインに描きたかったのかな。。
残念に感じた所でした。
そして、人間は、手にした力は使ってみたくなる生き物なんだなと。
ヒトラーだって迷わず使っていたと推測するし、日本だって、、
もし手にしていたら、敵国に、確実に、使っていたのでは、と、思えてならない。
昨今の世界情勢を見てみても、もうヒロシマ・ナガサキの次はどこになるのか?という心配をしなくてはいけないんじゃないかという危機感。
ヒロシマ・ナガサキの悲劇は、過去の事ではなく、次の破滅への連鎖なのでは。。という、恐ろしい想像を嫌でもしてしまう。
核(水爆)を実際に兵器として使う時代になっていくかもしれない。私たちは壊れゆく世界に生きているのかと震える思いがした。
もう、エヴァの「人類補完計画」になってまう。。
無知なりに色々書いてみましたが、この作品は、原爆を肯定しているのではないのは伝わった。
オッペンハイマーの姿を淡々と描く事で、彼の功績と、それに対峙する彼の心の内を描いた、とてもパーソナルな作品だったのだと、理解した。
キティの「罪を犯しておきながら、その結果に同情しろと?」のセリフ、
聴聞会での堂々たる受け答え、フェルミ賞受賞の時にテラーの握手を拒否した姿など、唯一胸がスッとしたシーンでした。
やはりノーラン。
毎度お馴染みの時間軸の操作に加えて、説明が一切なく進む展開。
登場人物の多さ、踏み込みにくいテーマ、加えて歴史の細部や裏側に疎い私には、とても難解な作品でした。
すぐにみなさんのレビューを拝読したいです。
⚫︎4/10 追記⚫︎
鑑賞後、本作の感想を主人に聞かれたので、上記の事を伝えました。
そこから、太平洋戦争やポツダム宣言、原爆投下について話が広がり、ちょっとした議論になりました。
主人は、小・中学生の時にフランスに住んでいたので、日本にずっと暮らしている私とはかなり意見が違い驚きました。
もちろん、反戦・反核については共通の感情としてあります。
しかし、日本人学校ではなかった主人の、小中学校教育で扱われるWW IIや原爆投下についての授業は、日本のそれとはかなりかけ離れていた様でした。
(もう、何十年も前の事なので、今はわかりません)
私の様にずっと日本で暮らし、日本の教育を受け、「被爆国日本」として、広島・長崎については特別な感情を持っている身としては、それが当たり前と思っていた事が、当たり前ではなかった事に衝撃を受けました。
主人の方があの年代の歴史(だけじゃなく全てですが。。)について私よりたくさんの知識があります。
歴史的事象を、政治的、経済的、社会的といった様々な側面から見て捉えているし、異なった立場から見る事も出来ている。
又、現在も進行中の問題として、様々な国々が政府の情報操作によって、真実が隠されたり曲げられたりしている事実がある。
そんな事も視野に入れて語る主人の意見は正論なのだと思う。
「被害者は日本だ」という感情だけで語るべきでは無いという意見が重くのしかかっている。
だけど、どーしても悔しかったです。
本作の、あんな不倫男にやられたのか。とか、単純ですが、思って悔しかったです。被害者の方々に思いを馳せると涙が出てきます。
鑑賞後もみなさんのレビューを拝読させて頂き、自分なりに色々考えたり、調べたりしています。
稚レビューにコメントを下さった方々にお返事を書く元気もまだありません。
もう少し考えがまとまったら、お邪魔させて頂きますm(__)m
オッペンハイマーという一人の男を追いかける3時間
日本国内でいろいろあり公開が先延ばしになっていた本作。ようやく公開されたため観賞したが、騒ぐほどのことではなかった。たしかに日本への原爆投下に関する部分は淡々としており、触れている部分は少ないが、実際の現場もきっとこんな感じで淡々と決めて、予定より少し遅れて投下され、開発陣はヤキモキしていた。という具合だったのだろう。寧ろそこが静かに、実に現実的に、より生々しく描かれており、戦争とは我々人民が思うよりも政治的なものであることが伝わってくるので、これは正解な描き方だと思う。
この映画の趣旨としては、3時間で如何にオッペンハイマーという人物を追いかけられるか、というところにあるため、仕事の一環として原爆を作った彼からすれば、試験の結果を待つ受験生くらいの描き方のほうが寧ろしっくりくる。
映像と音楽の使い方はさすがノーラン監督と言わざる得ないが、オッペンハイマーという男性をある程度知っている知識の下地がないとなかなか退屈なのではないだろうか?そして3時間はやはり長い。長いがそれでもやはり一人の男を描くには短すぎる。
難しい作品だが、観賞の価値は十分ある。
お家の32型のテレビで見た場合感動するか?
難しい~でも面白かった
朝イチ、8:50からの上映。
30人程の入り。
2週目にしては比較的入っているほう。
夫婦の方が多い印象。
今回はクリストファーノーラン監督だったので鑑賞。
違う監督だったら、観に行ってないかな。
内容が全く好みではないから。
前半は、大好きなインターステラーの量子力学に関する事が多かったので、インターステラーを観たくなった。
今回、共演の方達が素晴らしかったですが、
特にロバートダウニーJr.が良かったです。
見事なふけっぷりでした。
マットデイモンも、又、ふくよかになったような…
デインデハーンも嫌みたらしく良かったです。
やっぱり、ノーラン監督には、量子力学のSF大作を期待したいです。
それにしても、トイレに立つ人が多かった。
自分もだけど😁
使い方か…。
誰かが作る運命
日本人の特別な感情
原爆、放射能、地震、津波などを描いた作品にに日本人特別な感情を抱くと思います。
本作品はオッペンハイマーの科学者としての半生を描いた作品で、原爆開発は彼のキャリアの中での重要な出来事ですが、あくまで彼の苦悩の一つでしかありません。
神に近い力を地上で使えるようにしてしまった、世界が自分の発明で終わってしまうのではないか、、、
原爆を開発した彼の苦悩が、キリアンマーフィーの表情、皺、視線、音響全てから伝わってきます。苦悩した1人の伝記としてはすごく良く表現されてます。
ただ、日本人としては違和感が拭えません。
原爆の火はあんなに綺麗な表現でいいのか?
黒コゲの遺体ひとつ、死者の数だけで、被害が表現出来ているのか?
原爆関連の報道、ドキュメンタリー、原爆ドームで生々しい被害の写真を見てきた私たちにとって、正直表現が甘い、物足りない、、、
いや、アメリカの認識ってこうなのかな、、、と少し悲しくなりました。
ノーランは恐らく、ウクライナ危機からの核戦争への警鐘を鳴らしたかったんでしょう。反戦、反核のメッセージは伝わってきます。
恐らく核の悲惨さは日本人にしか描けないと思います。いつかの星条旗、硫黄島のように、核被害にフォーカスしたアンサー的な作品が作られることを願います。
プロメテウスの核の炎は燃えているか
原爆の父オッペンハイマーの栄光と没落を描く、クリストファー・ノーラン渾身のドラマでとても見応えがありました。ドラマは、オッペンハイマーが参加するマンハッタン計画と、共産主義者のスパイ容疑の聴聞会、原子力委員会の公聴会と三つの時間軸でカラー、モノクロを交えながら進行するノーラン監督好みの複雑な構成です。お話しの始まりが唐突で登場人物が多いのではじめは分かりにくいけど、慣れるとそれぞれの時間軸がリンクしているので、重層的にドラマが楽しめます。映画は、マンハッタン計画をプロジェクトXのような高揚感、達成感をもって科学者として頂点を極めたオッペンハイマーを描きます。しかし、大量破壊兵器による世界の変化への危惧と言う内面の苦悩と、彼に対する嫉妬や悪意による転落と言う外面の危機を通じて、オッペンハイマーの人物像を見事に描写したノーラン監督の腕前は素晴らしいです。この作品は、原爆や戦争の肯定やオッペンハイマー個人の糾弾でもなく、科学技術自体には善悪はないのに、80年前に人類が手に入れたプロメテウスの核の炎をいまだに制御できていないいまこの瞬間の世界の現実を突きつけているように感じました。役者では、キリアン・マーフィーが一世一代の名演でした。ロバート・ダウニー・Jrも本来の実力発揮できる役柄に恵まれて素晴らしい演技でした。
実はノーランは画だけなのかもなあ
科学者の好奇心と苦悩
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