劇場公開日 2024年3月29日

オッペンハイマーのレビュー・感想・評価

全884件中、481~500件目を表示

4.0天才の葛藤

2024年4月4日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

難しい

 オッペンハイマーについてのドキュメンタリーを事前に見ていたので、ある程度知識は入っていたが、改めて本作を観ると彼の苦悩や周辺人物、マンハッタン計画の実情というものが具体的に分かって興味深く観ることが出来た。

 原爆の恐ろしさを、その開発チームの視点を通して描くという野心的な試みが実に大胆である。
 と同時に、彼等を取り巻く権力の恐ろしさも実感される作品であった。本作はオッペンハイマーという個人のドラマであるが、その背後には常に権力が付いている。彼らは第二次世界大戦で核兵器を使用し、冷戦下で核開発競争をエスカレートさせていった。このまま進めば人類は破滅しかねない。そんな未来に対する警鐘も感じられた。

 ただ、映画としては、いささか捻った作りになっているため万人向きとは言い難い。
 物語はオッペンハイマーの聴聞会と、適役となる原子力委員会委員長ストローズの公聴会をクロスさせながら、原子爆弾の開発とその後のドラマを回想形式で描くという構成になっている。登場人物の多さも相まって、全てを理解するのは難しい。

 今作には原作(未読)がある。それを「TENET テネット」、「ダンケルク」、「インセプション」等のクリストファー・ノーランが製作、監督、脚本を務めて撮り上げている。果たして原作はどういった内容なのか分からないが、時間軸や世界観を複雑に交錯させた作りを得意とするノーランだけに、今回も一筋縄ではいかない難物となっている。きっとノーランはこういう作劇手法を意識的に取り入れることで作家としてのスタイルを標榜したかったのだろう。普通に時系列に描いても伝記映画としては何らそん色ない仕上がりになっていたと思うが、敢えて複雑な構成にしたあたりが如何にもノーランらしい。

 とはいえ、この作劇手法がサスペンスやドラマチックさを生んでいるかと言えば、今回に関してはそれほど効果をあげているとは思えなかった。本作は基本的にはオッペンハイマーの主観に寄った作りになっている。これなら時系列で描いたほうが、よりエモーショナルな物語になったのではないだろうか。
 ストローズの公聴会を描くモノクロパートは戦後の赤狩りをテーマにしており、言わばオッペンハイマー失墜の重要な一コマである。これも時系列で描けば、物語の抑揚が明確になり成功と転落という伝記映画の定石にハマったかもしれない。

 ただ、逆に言うと、この複雑な構成のおかげで、3時間という長丁場も飽きずに観れたという気もする。
 モノクロとカラーを使い分けた映像演出、中性子や核分裂をイメージした短いカットイン等、凝りに凝った編集も面白く、思いがけず3時間という上映時間が苦にならなかった。

 印象的だったのは、聴聞会にかけられたオッペンハイマーが、妻キティの「何故あなたは戦おうとしないの?」という糾弾に沈黙を決め込む姿だった。彼の中では科学者としての探求心が図らずも大量殺りく兵器を作ってしまった”後ろめたさ”があったに違いない。だからこそ”殉教者”として沈黙を続けた。しかし、赤狩りで周囲の関係者が次々と自分を裏切り、原爆以上に恐ろしい水爆の開発に邁進する世界を目の当たりにし、ついに黙っていられなかったのだろう。最後に戦う姿勢を見せた。そこに自分はオッペンハイマーのジレンマを見た。

 ノーラン作品と言えば、IMAXカメラにこだわった映像も見所の一つである。本作では中盤のトリニティ実験が大きな見せ場となる。この臨場感と迫力はぜひ映画館で味わいたい。
 また、オッペンハイマーが実験の成功を祝って演説するシーンも印象に残った。彼の主観による幻視的な映像演出が秀逸で、喜びと恐怖が入り混じった混沌とした心情を見事に表現していると思った。

 オッペンハイマーを演じたキリアン・マーフィの好演も見事であった。特殊メイクを施した造形もさることながら、聴聞会における繊細な感情表現も実に巧みであった。
 共演陣も実に豪華で見応えがある。
 オッペンハイマーの盟友となるアーネスト・ローレンス役でジョシュ・ハートネットを久しぶりに見た。以前よりも大分ふっくらとした体形で驚かされた。ちなみに、先述したドキュメンタリーではオッペンハイマーと袂を分かつように紹介されていたが、ここではそこまで仲違いするようなことがなかった。一体どちらが正しいのだろう?
 久しぶりと言えば、アインシュタインを演じたトム・コンティも随分久しぶりに見た気がする。
 恋人ジーンを演じたフローレンス・ピューは、先日観た「DUNE 砂の惑星PART2」と全くイメージが異なり、これにも驚かされた。ただ、彼女の役柄についてはドラマ上どこまで必要だったのか疑問に残る。やや中途半端な扱いで勿体なく感じられた。

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ありの

4.0難しいけど、さすがアカデミー賞

2024年4月4日
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鑑賞方法:映画館

天才物理学者「オッペンハイマー」戦争を早く終わらすための核開発、ただ核爆弾を使用すると多数の死者が出ることは、分かっているが開発する、そして物理学者としての名誉のために開発する。
何が正義で、何が負義、人間くさいオッペンハイマーも描かれて、さすがアカデミー賞と言った感じだった。

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Bookcorner

4.0不謹慎だけど面白い

2024年4月4日
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ノーランの映画の中で一番楽しめた。もちろん物理に関する用語が分からなくてついていけないところもあったけど、シンプルに対立構造だし、カラーとモノクロで視点を分けてくれてるので、わかりやすかったというのもあるかもしれない。

冒頭から「爆発」を言葉を選ばずに言えば美しく、激しく描くのかというつかみ。

やっぱりトリニティ実験の恐ろしさ。ドイツやロシアにしか目配せをしてなかったのに、唐突に「広島」「長崎」という言葉が出てきてから、日本人として感情をぎゅっと掴まれる。『この後の日本がどうなってしまうか』を分かっているからこそ、実験失敗してくれーって思ったり、オッペンハイマーの努力を無駄にしないでくれーって思ったり。そして実験の地獄のカウントダウン。発射からの炎や煙の美しい映像を無音で見せて、身構えが終わった頃に爆音がなる。この無音の引っ張りが映画的にすごい演出だった。己の動悸をはっきりと感じるほどの怖いシーンだった。

その後の実験成功称賛シーンや原爆投下からの戦争に勝った喜びにあふれるシーンは、日本人としては観るのはきついけど、史実としてはそうだし、1つの出来事を別の視点から観るとそりゃそうだとなるし、感情論だけでこの映画の評価を落とすのは違うとはっきり言える。

オッペンハイマーの「とんでもないものを作ってしまった…」という反省によって見てしまう幻想を「とんでもないものを作りたい」という原爆完成を想定した前半の幻想と対比させると、ここも凄いなと。

個人的には濡れ場がいらなかったなとは思った。

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わたろー

1.0そうですか

2024年4月4日
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くそじじい

4.5映画作品としてはアカデミー賞も納得の出来!

2024年4月4日
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市丸よん

4.5シーツを入れろ

2024年4月4日
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悲しい

怖い

難しい

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カズユキ

2.5時系列がわかりにくい

2024年4月4日
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悲しい

興奮

難しい

ダイジェスト風に彼の人生を追って行くのだが、〇〇年という記載がないので、いつに起こったこと、どのくらい経過したのかがわかりにくかった。

結局のところ何を見せたいかハッキリしなかった。

「トリニティ実験」のシーンは興味深かった。

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YOU

4.5映画として面白かった。日本人としてはしんどかった。

2024年4月4日
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てけと2

4.0広島に原爆が落とされるまで

2024年4月4日
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鑑賞方法:映画館

知的

だけではなく、ナチス対策だったはずの原爆がなぜ日本に落とされてしまったのかをアメリカ側から見るとこうなる。日本はやはり当時は狂信的に見られていたのだった。ということが再確認できた。そんな戦争映画の要素を含みつつ、原爆の父の人となりに迫りながら、取り巻く人々の思惑も描いてしまう。伊達に長いわけではない。

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印刷局員

5.0人類の終わり無き争い、天才達の償い

2024年4月4日
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鑑賞方法:映画館

戦時下、化学の進歩によって発明された大量破壊兵器。
その時代、天才達は発明せざるを得なかったのか。
天才達でさえ、予想が出来なかった破壊力と汚染。核拡散。
兵器を生み出してしまった世界を戻すことはできなくても、改善しよう後始末をしようと行動し続けていたのは素晴らしかった。
その後の償いが世界を良くしていく、それが人間にはできると信じたい。

世界から核の傘が無くなる時代はくるのか。
兵器の使い方だけは間違えてはならない。

時系列での見せ方、原子の美しさ。
音響の臨場感、恐さが凄かった。
爆破シーンは、ほぼ無音で逆に恐怖を感じた。
また劇場で観たいですが、3時間膀胱尿分裂耐えれるかな。

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アザラシ3

2.0ぱっとしない

2024年4月3日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

前半のオッペンハイマー教授の、使わないとその効果が人類に伝わらない的な製作意欲と、トリニティ後の軍に原爆投下の指揮権があることの実感と水爆反対への博士の心情の変化の描写が上手く伝わらない。脚本が良くない印象。全体に史実に対する映画化の目的があいまいで、Imitation Gameに較べても表現したいことが今一つわからない。これなら45分くらいの短編で十分表現できる内容に思えた。お金を出すのは惜しいかな、Amazon Primeで待つ、という感じ。

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Whiterock

4.5核戦争の危機

2024年4月3日
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IMAXにて鑑賞。
とにかく音が凄い。ドンパチものではないのにIMAXにこだわった理由が分かる。
オッペンハイマーの見る世界の表現、核兵器を生んだ後の群衆の足音など強烈なインパクト。
間に挟まるサウンドも重厚感溢れ、鑑賞後はどっと疲れた。
終始繰り広げられる会話劇で全て理解できたとは言い難く、もう一度鑑賞したくなった。

本映画の公開が日本で危ぶまれたが、公開に踏み切ってくれたことを賞賛したい。
確かに日本人として色んな感情が湧くシーンはあるが、本質は核戦争への脅威を描いている。

余談だが、周りの知り合いにオッペンハイマーの話をしても何その映画?と言われて残念でならない。
洋画離れも加速しているが、本映画のように議論の的となる映画が公開されることで、過去を思い出し未来に目を向けることも重要だと思う。

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オプオプ

4.5人間の愚かさに泣けてきた…

2024年4月3日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

知的

こんなことのために
なんの罪もない普通の人たちが
原爆で無惨に殺されなければならなかったのか…
こんなことのために
稀に見る天才科学者は
自分の頭脳を消耗しなければならなかったのか…
要は、国と国との覇権争い
劇中での「サイエンス ギャンブル」という言葉が印象的だったが、
まさに巨額の金を賭け、
自国こそが世界の覇者となるべく、
狂ったように猛進した
その結果が、広島、長崎の悲劇である
…なんか、愚かすぎて泣けてきた
最初の爆発実験では、大気に引火する可能性が
ゼロではなかった
計算通りにいかない、
予測不可能なことが起これば、
今頃、地球ごと燃え尽きている
…恐ろしすぎる!
アメリカ側から見た原爆ストーリーは
あまり知らなかっただけに、衝撃的だった
科学者には越えてはいけない一線が
絶対にあると思う

オッペンハイマーという人もまた
神なのか、悪魔なのか…という人物だ
天才だが、人間的に好きにはなれない
原爆を夢中で生み出してしまったが、
それ故に苦しむ道徳心はある
キリアン・マーフィーのこのあたりの演技は素晴らしかった
また
アインシュタインの、トム・コンティが
ピリッといい味を加えていた

オッペンハイマーの内面の苦しみを
セリフではなく、
映像や音楽でダイナミックに表現したり、
時間軸が交錯するあたり、
クリストファー・ノーラン監督だなぁって感じがした

ロシアがウクライナに核をチラつかせて
戦争をしている現在だからこそ、
この映画は今、見るべきだと思う

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ぴーちぱい

3.5難度が高い、脳がフル回転する

2024年4月3日
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泣ける

悲しい

難しい

予備知識ゼロで観に行き、最初30分なんでこんな映画をみに来てしまったのかと悔やむほど難しく、なにがどこで起こっているのかわからなかった。しばらく休む暇なく見終わったあとでは、3時間に感じないくらい。音響もすごい。気軽に観に行く映画ではなかったが、これから観に行くなら、勉強してから行くことをオススメする。

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はち

4.0トリニティ実験の描写だけでも2000円の価値はある。

2024年4月3日
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原爆開発・アカ狩り・女性・名声への嫉妬など様々な要素が絡み合い、時系列は入り乱れ、多勢の名前が飛び交って、鑑賞者を混乱の渦に誘う作品ではあるものの、やはりクリストファー・ノーランの映像作家としての技量は凄まじく、クローズアップで見せられる役者の表情や、オッペンハイマーが頭の中で想い描く物理現象、そしてなによりトリニティ実験の破壊的な描写は、物語の複雑性に頭を悩ませる我々のモヤを吹き飛ばしてくれるかのような出来栄えで、見ていてとても気持ちが良かった。

「誰か真実を語る者はいないのか」

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たく

4.0火を手に入れたあと

2024年4月3日
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鑑賞方法:映画館

3時間。覚悟して観たけど全然時間足りなかった。それでも多分半分も理解できていないと思う。ある程度知識のある人向けの内容なので全然親切じゃなかった。勉強してから観るべきだったなあ。あと音響設備の良い映画館が絶対オススメ。
公開当初のしょうもない宣伝のせいで日本ではネガティブな印象ついちゃったけどこれは被爆国の日本こそ観るべきではないかな。どう捉えるかはきっと人それぞれだろうけど。
確かに敵国としてボロクソ言われてるし、軽いノリで落とす場所決めてて胸糞悪い。直接的に原爆の悲惨さを見せることもなかった。でもオッペンハイマーが徐々に罪悪感に苛まれていく様で十分に悲惨さは伝わるし、それは決して正義では無かったことも伝わってくる。トリニティの成功を純粋に喜ぶ中に滲ませる複雑な表情は絶妙だった。あの瞬間に疑問と後悔が生まれたように私には思えた。そうであって欲しいといういち日本人の願望かもしれないけど。
戦争や核肯定の映画では無いのはもちろんだけど、単純な反戦でも反核でもない。科学がいかにして政治利用されていくか、今ならAIのような技術だって簡単に悪用されていく。火を手に入れた人類にその火をどう扱うつもりかを問う映画だった。

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あき

3.5結局私たちは何を考えたらいいのか

2024年4月3日
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鑑賞方法:映画館

時代が時代だったから、こうなりました、
で済ませられないテーマだと思ってて、
どうこの映画を解釈したらいいのか答えが出ません。
表彰式のシーンは何ともいえない辛い気持ちになり、あのシーンには意味があったと思えるが、、
見せるならもっと悲惨さを見せてもよかったのでは。

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ぎにゅう♀

4.0つらい😓

2024年4月3日
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心痛い映画でした。こんな気持ち久しぶりです、惨劇に惨劇が重なっているような気持ち、つらい😓

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ミヤミヤミヤ

4.0世界が変わる過程

2024年4月3日
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天才科学者の脳内イメージが鮮明に残酷に描かれていて思わず見惚れる。理論上の怪物を実現させるまでの情熱や熱量が凄まじく、小さな障害や抵抗を押し潰し周りを巻き込みながら、機関車のように前へ突き進む様は圧巻だった。

ただ、そこに道徳は感じられなかった。あるのは知的好奇心と敵を出し抜く意欲のみ。まさに勝者の正義が怪物を完成まで導いた。

この作品のクライマックス・実験の成功で文字通り世界は変わり、運命も緩やかに下り坂を、やがて加速しながら落ちていく。実現に夢中だった怪物がいる世界を、敵も味方も区別なく食い尽くす怪物が世界に出現した過程を見せてもらった。敵を出し抜くため産んだそれは、生みの親やその大事な人だけを許してはくれないだろう。

日本人でこのテーマに向き合うには覚悟がいる。
被爆地と縁のない生まれの自分でさえ、夜空に炸裂したその光と熱は、美しいと思う後ろめたさより前に、言葉にしにくい恐怖や悲しさが勝った。

大震災がテーマの映画に否定の声が上がる。まだ早いと。関係者に悪影響だと。
では勝者の目線で作ったこの作品はどうか。生存者がまだご存命で、そのご家族やご遺族には避けたいテーマであろう。評価は分かれるしい正解も見出せない。歴史と現代の世界の在り方を考える切っ掛けだけが私に残った。

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neo.the.one.1999

3.5「つくる」と「つかう」

2024年4月3日
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フラットに作品を鑑賞しようと思っていたのに、自分は日本人なのだと思い知りました。
トリニティ実験から投下までの間、悔しく悲しく、やり場のない気持ちと、その後赤狩りされる一人の科学者としての彼を擁護したい気持ちのジレンマでした。

オッペンハイマー自身は投下に立ち会っていないわけなので、その描写がないのは当然かもしれない。
日本の描写は、日本が作るのがいい。
そこはNHKに任せて、本作は「彼らの見る世界」を知るための作品。

「つくる」と「つかう」の間の大きな隔たり。
トルーマンは憎らしく描かれていましたが、彼のお孫さんは、広島でのボランティア活動に熱心に取り組まれてたことを付け加えます。

以下、Wikipediaより引用。
弟のフランクが、ドキュメンタリー映画『The day after Trinity』の中で、「ロバートは現実世界では使うことのできない(ほど強力な)兵器を見せて、戦争を無意味にしようと考えていた。しかし人々は新兵器の破壊力を目の当たりにしても、それまでの兵器と同じように扱ったと、絶望していた」と語っている。また、原爆の使用に関して「科学者(物理学者)は罪を知った」との言葉を残している。

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Kiki