劇場公開日 2024年3月29日

オッペンハイマーのレビュー・感想・評価

全833件中、481~500件目を表示

5.0IMAXはノーランのためにある

2024年4月2日
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鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

知的

凄い迫力である。トリニティ実験のシーンはまさに圧巻だ。出来る限りIMAXで鑑賞すべき作品でもある。音響と編集がとても素晴らしい。オッペンハイマーが生み出した核の世界に私たちは現在生きている。それを肝に銘じて、近いうちに再度鑑賞したい。

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shanti

4.0時代と立場を超えて考えたい映画

2024年4月2日
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鑑賞方法:映画館

本年度アカデミー賞で7部門を獲得したクリストファー・ノーラン監督の話題作だ。
アメリカ公開から8ヶ月も遅れて公開されたのには訳がある。単に原爆開発者を取り上げた映画だからというだけの理由ではないようだ。
映画はオッペンハイマーの視点(主観?)がカラーで、ストローズの視点(客観?)がモノクロで描かれる。ノーラン監督お得意の演出で時間軸は入り乱れているし特に説明もされないが、冷静に観ていればついていけるレベルだと思う。
原作であるノンフィクションは未読なのでなんとも言えないが、オッペンハイマーは“偉人”として描かれていない。どころか、欠点ばかりの人間のように思える。もちろん頭はとてつもなくいいのだけれど。
そんな彼が“神の力”を手にし、それが実際に戦争で使われてしまう。効果は絶大で、彼は一躍英雄に祭り上げられる。そして、失脚──。千々に乱れる彼の心の様を、キリアン・マーフィーが見事に演じている。
原爆投下のシーンがないことに批判の声が上がっているようだが、ぼくは不要だと思う。監督の視線はそこにないし、なによりオッペンハイマー自身が蚊帳の外に置かれていたことは間違いないのだから。

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ぽてち

4.0IMAX視聴。続けて観たせいもあってDUNE2と色々印象が重なる。...

2024年4月2日
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IMAX視聴。続けて観たせいもあってDUNE2と色々印象が重なる。今時珍しい白人男性主人公が、破滅のビジョンにおののきながらも、優れた能力ゆえに取り返しのつかない「偉業」を成し遂げてしまう、という…。本作のアインシュタインもほとんど予言者的な立ち位置だ。ただ、複雑な背景のお話を、ここまで複雑な語り口で見せるのはある種韜晦なのではないかという疑念も。どれだけ懊悩してもオッペンハイマー個人の内面でケリのつく話ではないし、結局監督も観客も、あのあまりにも見事な「爆発」のシーンこそが観たいのではないか。カウントダウンで鳴り響いていた重低音がフっと消え、闇の砂漠に咲く閃光と炎…。サングラスをかけ、日焼け止めクリーム(!)で顔をべたべたにしてその一瞬を待つ人々と、どうしたって観客もシンクロしてしまうのだから。

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sugsyu

5.0クリストファー・ノーランのアルターエゴ

2024年4月2日
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鑑賞方法:映画館

知的

難しい

「面白かった」と書くと語弊を生むかもしれないので、こう評す「見応えがあった」。
ノーランお得意の時間軸の交差はあるけど、今回はオッペンハイマー視点(主に戦前)はカラー、オッペンハイマー以外の視点(主に戦後)はモノクロにしているので、完全理解は難しくても大まかには把握できるようになっている。
一部で「原爆の悲惨さが描写されていない」という感想があったようだが、確かに直接的描写はないにせよ、原爆が投下されたことで歓喜を上げる米国民を前にしたオッペンハイマーの狼狽ぶりと、原爆が引き起こした惨状を間接的に描写しているではないか。「原爆を開発したオッペンハイマーを称賛した映画」と評する者もいるようだが、確かに原爆を開発した事でオッペンハイマーは称賛された。しかし戦後の彼がどうなっていったかはラスト1時間あたりから執拗かつ冷酷に描かれている。的外れな感想を述べている輩はちゃんと観ていたのだろうか。
英雄と崇められたかと思いきや、真実と異なる見解から一気に非国民扱いされてしまう。SNSでいわれのない誹謗中傷をされ信用を失してしまう現代と大して変わらない。ネット嫌いのノーランらしい視点だ。
「万人には理解されなくてもいい、俺はこれがやりたいんだ!」というノーランの頑固さは相変わらず。同僚たちにはおぼつきもしない原子力学を持つオッペンハイマーは、彼のアルターエゴだった。

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regency

4.5シンゴジラとの共通点

2024年4月2日
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鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

知的

・核にまつわる話である
・政治と深く結びつきがある
・情報過多なつくりである
・人間がずっと喋っている
・ハッピーエンドと割り切れるものではなく、解釈は個々人に委ねられている
・名前は聞いたことがあっても、内部について詳しく知られていない施設が舞台となっている(ロスアラモス、立川の防災拠点)←若干無理がありますね!

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charge1985

2.5これは反戦映画ではない

2024年4月2日
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これは反戦映画ではない。
戦争や科学を小道具にした壮大な政治闘争劇である。広島も長崎もストーリーの中の出汁になってるにすぎない。
体験型映画という言葉に釣られてIMAXでわざわざ観たが爆音はほぼオッペンハイマーの妄想、実際には密室の中の会話でストーリーが完了している(戦場のシーンが一切ない)。フローレンスピューが味変になっていたが、それがなければ退屈極まりない3時間になるところだった。

わざわざIMAXで観る必要はなかった。

公開週にもかかわらず興収第4位スタート。変な家やドラえもんにも負けてる有様。たいして混んでないから暇なら皆さん観てください。

(独り言)
見掛けだおしだぞ、クリストファー・ノーラン。俺はムンクの叫びを見たいわけじゃない。オッピーの苦悩だけで3時間、俺にとっては財津一郎だよ(きびし〜ぃ!!)キリアン・マーフィーの独り芝居はもういい。

2024.4.22再見
どう観ても、ノーランの言う反戦映画には観えなかった。科学者対政治家の小競合にしか見えない。ストローズは悪目立ちし過ぎだし、結果オッペンハイマーが復権したってだけで平和なんかそっちのけに感じた。きっと日本の描写がなかったせいだな、単なる伝記映画だとわかった。

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ちゆう

5.0世界の終わりの始まりの物語

2024年4月2日
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知的

原作小説は未読です。原爆の父として知られるオッペンハイマーの半生、特に学者としての人物像を時代背景も交えて描いた社会派作品でした。

冒頭、時系列に少し戸惑いました。が、徐々に理解できました。本作はただ史実を列挙した伝記映画でないと。技術的特異点で起きたとある顛末でした。

序盤、オッペンハイマーの若手時代の活動や交友を通じて人物像が伝わりました。行動的で革新的で感情的な姿は物理学者としてだけでなく、多くの人を惹きつける要因になったと思います。オッペンハイマーはどこにでもいそうな人気の大学教授みたいでした。

そして、マンハッタン計画へ。オッペンハイマーが主体となって開発を進めていた事実に驚きました。それも現代的なプロジェクトと言う形で。また、政治的な面や家族思いな面も含め、非常に人間味のあるシーンが続きました。でも、原爆実験の日の凄まじい光と音。あの光景を目にした後のオッペンハイマーの葛藤が描かずとも演技に表れていました。

オッペンハイマー演じるキリアン・マーフィは文句なしの主演男優賞の一言でした。態度や表情はクールでどこか艷やかだけど、目の動きと口の動きが物語る。特に、原爆投下後のスピーチで見せた憔悴した表情は目に焼きつきました。ストローズ演じるはロバート・ダウニー・Jrの政治家役も意外としっくり。アイアンマンくらい傲慢だったからかも。その他、豪華俳優陣が作品に色味を与えていました。

改めて、第96回アカデミー賞作品賞受賞おめでとうございます。原爆に関し、これまで被爆国の日本はもちろん、世界的にもタブー視されてきました。でも、戦勝国のアメリカにとって世界に自らの力を示し、間接的に多くの兵士の命を救った栄光の瞬間でした。情報のグローバル化が進んだ現代、様々な感情を超えて歴史共有ができるようになり、本作は描かれるべき時が来たのかなと感じました。

終盤、「兵器は使わずにはいられない」という言葉がでてきました。終わりの始まりの門を開いてしまった身として、終戦後のオッペンハイマーは何を思ったのか。原爆の父として人類の未来に何を見たのか。力を持ったアメリカを抑えられるのは、力を与えた者だけということなのか。それでも軍拡という時代のうねりに飲まれてしまうのだけど…。オッペンハイマーは軍人でもなく政治家でもなく学者として戦い続けた人物だったと知れてよかったです。

ある意味、ターミーネーターなどのSF映画や冷戦以降の戦争映画に多大なインスピレーションを与えた人物でもあり、改めて評価すべき人物であるとノーラン監督は訴えたかったのかもしれませんね。

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sumichiyo

5.0ピカドン

2024年4月2日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

単純

知的

オッペンハイマー
兵庫県西宮市にある映画館TOHOシネマズ西宮OSにて鑑賞 2024年4月1日(月)
パンフレット入手

オッペンハイマーが生きた、アメリカ激動の時代
オッペンハイマーが大学で教鞭をとり始めたのは株価暴落をきっかけとしたアメリカ史上最大の経済恐慌、大恐慌の始まった1929年だった。恐慌は世界に広がり、第一次大戦の賠償金支払いで行き詰まるドイツにヒトラー率いるナチスが現れる。ナチスは第二次世界大戦を起こし、当初、戦況を優位に進める。このドイツに負けまいとアメリカが完成を急いだ原爆は、1945年、日本を降伏させるだけでなく、一瞬にしてアメリカをかつてない超大国にさせた。ただ、その4年後にソ連も核実験を成功させる。米ソが核兵器で脅し合う冷戦の中で反共思想がアメリカでは一気に広がっていく。ヒステリックな「赤狩り」の渦中で、オッペンハイマーも共産主義者との過去が問われているのである。

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ストーリー
1925年 J・ロバート・オッペンハイマー(キリアン・マーフィ)イギリスのケンブリッジ大学で実験物理学を専攻していた。敬愛する客員教授のニールスボーアに勧められ、ドイツへ渡って理論物理学を学ぶことに。そこで才覚を開花させたオッペンハイマーは、博士号を取得してアメリカに帰国。カルフォルニア大学バークレー校で教鞭を執るようになる。また、同大学の准教授で、社交的な物理学者のアーネスト・ローレンス(ジョシュ・ハーネット)と意気投合する。

1936年 オッペンハイマーは家主が開いた集会で共産党党員のジーン・タトロック(フローレンス・ビュー)と出会い、彼女と恋仲となる。聡明ながらも奔放なジーンとは長く続かなかったが、その後であった当時既婚者の植物学者の”キティ”(キャサリン)(エミリー・プラント)と結婚。ふたりの間にはこどもが生まれ、幸せな家庭を築いていく。1941年、FBIはオッペンハイマーの捜査を開始

1942年オッペンハイマーは「マンハッタン計画」の最高責任者である陸軍のレズリー・グローヴス(マット・デイモン)から、原子爆弾開発に関する極秘プロジェクトへの参加を打診される。この前年、アメリアは第二次世界大戦に参戦。ナチスドイツによる原子爆弾の開発が、もはや時間の問題だとみられていたのだ。オッペンハイマーは参加を快諾し、優秀な科学者たちを全米から招聘。ニューメキシコ州にあるロスアモラス研究所を建設して、彼らを家族ごと移住させた。それは国家の存亡をかけた核開発競争の始まりだった。

1945年 ナチスの降伏後、今度は日本を降伏させるための武器として、原子力爆弾の研究がつづけられていた。この国家プロジェクトは、1945年7月に行った「トリニティ実験」でついに成功を収める。計画の成功を喜んだのもつかの間、8月に広島、長崎に原爆が投下されると、その惨状を聞いたオッペンハイマーは深く苦悩するようになる。

そして、戦後。戦争を終結させた立役者として賞賛されるべきオッペンハイマーだったが、時代冷戦に突入。アメリア政府はさらなる威力を持つ水爆の開発を推進していくのだった。ルイス・ストローズ(ロバート・ダウニー・jr)によりブリンストン高等研究所の所長に抜擢され、また原子力委員会のアドバタイザーとなったオッペンハイマーは核開発競争の加速を懸念し、水爆開発に反対の姿勢をとったことで次第に追い詰められてゆく。1950年代、赤狩りの嵐の中、彼の人生は大きくかわっていくのだ。

クリストファー・ノーラン 監督・脚本・制作

感想

原爆の製造は最初はドイツに落とすことが目的であった。独裁指導者ヒトラーが死んだことでドイツに落とす意義がなくなった。そこで日本がターゲットになったということです。
日本の次はイタリアが狙われた可能性がある。

「トリニティ実験」の様子を映画館で鑑賞した。原爆を作ってアメリカで行ったその内容があまりにも衝撃的でした。
膨大なエネルギーによって崩壊されてゆくのは強い光線である。その直後に大きな轟音が響く・・・

映画館というところは、迫力があって臨場感があるのが特徴。原爆投下を「ピカドン」と表現されていることを思い出した。
そしてこのすごい恐ろしいものが、広島と長崎に落下したのかと感じた・・・

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大岸弦

4.0日本でこの映画を見られる平和がいい

2024年4月2日
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鑑賞方法:映画館

映画『アルキメデスの大戦』では、平山忠道造船中将が「巨大戦艦「大和」が沈むことで日本は戦争をやめるだろう」
この言葉が蘇る
しかしそれでも日本人は辞めなかった
さらに戦争が続いていたら日本国自体が消滅していたかも知れない
あの時代は命は軽く小さかったのかも知れないのだろうか
それが原爆を使う事への正当な理由にはならないことは当然だと思う
その昔、ダイナマイトが発明された時もそうだろうしこの映画の冒頭に出てくる「プロメテウスの火」そのもののように思われます
文明は発展すればするほど弱い者が損をするのかも
どこまで発展してどこまで便利になったら幸せなのだろうか

今まで戦争も天災にもあったことのない私はきっと軟弱で物事を上っ面でしか見られない卑怯者だ
そんな私ですら戦争や災害のニュースを見て心が苦しくなるのは何故なのだろう
映画やドラマを見て涙が流れるのはどうしてなんだろう

生と死は同じことなのだと思う

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カルヴェロ

4.0科学者の倫理とか考えちゃうよね

2024年4月2日
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怖い

興奮

知的

かつて物理学を、しかも原子核理学を志向した者としては観ておかなくてはと思い、観てきた。だが、オッペンハイマーについては、マンハッタン計画のリーダー位の認識しか無かった。実際、大学初等程度の物理学ではオッペンハイマーの名前の付いた法則は出てこないので、彼の仕事を具体的に知る事はまずない。もっとも、誰でも知ってるブラックホールの存在を理論的に予言したのは彼で、映画の中でも描かれる。
映画は、マンハッタン計画と、その後ストローズとの対立の二軸で描かれる。それ以外の業績や仕事ぶりは描かれない。戦後、核兵器技術の国際協調と管理、水爆への反対を唱えて米国政府から煙たがられ、レッドパージのあおりを受けて政治的な場から降ろされたが、科学者としてはプリンストン高等研究所の所長を長年勤めて指導的立場にあったのだから、科学者としては幸せだったのではないだろうか。
科学者は原理を見つけ、技術者は実用化し、使うのはあくまで政治家である。大量破壊兵器を開発したからといって、科学者が責任を感じる必要はないのである。トルーマンが面談で言ったように、恨まれるべきは政治家なのだから。
マンハッタン計画に関わった科学者の多くは戦後、核の平和利用を唱える側に回った。TOHOシネマズでは奇しくも開始前にJERAが「CO2を出さないエネルギー」とCMしているが、そこに原子力という選択肢はおそらく無い。
恐怖感を煽る演出で見せられるトリニティ実験に「悪魔の火だ」と感じても、フィクションではなく、これは今人類が手にしてしまったプロメテウスの火なのである。どう使うかは我々次第なのだ。

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あらP★

3.0よくわからない

2024年4月2日
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怖い

私の感受性が悪いのか、何が言いたいのかよくわからなかった。
アカデミー賞を取ったし、興味ある分野だったので観に行ったが、長く感じたし(3時間は長かった)流れが全編通してつかめなかった。
もう二度と行かないだろうし、これを観た長崎や広島の人はどう思うだろう。

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みみぱぱ

3.5IMAXで観る金があれば他の映画をもう1本観る

2024年4月2日
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楽しい

興奮

幸せ

きっかり3時間またしてもクリストファー・ノーランの時系列交錯難解ものという前評判だったので覚悟していたのだが全くの肩透かしをくらった。時間の行きつ戻りつは映画的手法の常識範囲を逸脱しておらず聴聞会部分を白黒できっちり区別していて寧ろ親切で「ダンケルク」や「TENET」に比べれば100倍分かりやすい。さすがに議会と小部屋での吊し上げの前後関係は分かりづらかったが…私は赤狩りが時間的に後だと思い込んでいたしまさか5年も隔たっていて…研究者生命を絶たれたところで終わりだと映画的に分かりやすいのだがルイス・ストローズ(ロバート・ダウニー・Jr)の物語がそのあとにくるとは。SFでもアクションでもなく大虐殺兵器を生み出した男の生涯というだけで長時間引っ張るのだが、米ではトリニティ実験が成功した7月に公開して大ヒットしており決して原爆礼賛映画ではないのだから日本でもすぐに公開して何の問題もなかったのだと思うのだが東宝東和は何をびびったのか逃げて、ビターズ・エンドがアカデミー賞まで待ったのは被爆関係者たちの批判を恐れてというより寧ろ内容の地味さによる不入りを心配したのではないだろうか?作品賞・監督賞含め7部門独占したらさすがにね。対話劇が8割を占めるのだが驚くべきカットつなぎが切れ味鋭くテンポ良くて飽きさせず普通に面白いのだがここまで評価される作品では無いしまして2度3度観れば良く分かるIMAXで観なきゃダメなんて評論家は配給会社の回し者としか思えない。クライマックスのトリニティ実験での描写は映像で1回、爆音で1回という凄まじさを見事に表現しきっていてさすが。でも鑑賞後に広島で使われたのが他チームが作った原爆(リトルボーイ型)だと知って複雑な気持ちが膨らむ今日この頃。「原爆の父」というレッテルを貼ることで核兵器開発責任をこの気弱な理論物理学者一人に押し付けていることは明白でそこを曖昧にして逃げたノーランもちょっとずるい。

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たあちゃん

4.5原爆の父と呼ばれて

2024年4月2日
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泣ける

興奮

知的

戦時下、レッドパージ、激動の時代のアメリカを生きた一人の天才物理学者の半生。

裕福なユダヤ人家庭で生まれ育ったロバート・オッペンハイマー。母親譲りで芸術に造詣が深く、また成績優秀でハーバードを飛び級の首席で卒業するほど。語学は6か国語を習得するまでに。
しかし、若き日の彼は挫折の連続だった。文学の道を志すもあえなく挫折、社交の場でもうまく立ち回れず、実験物理も向いていなかった。劣等感にさいなまれ精神を病んだ時期もあった。
ただその後、量子力学という新しい学問が発見されてからは彼のこの分野での飛躍は目覚ましいものがあった。注目される二つの論文を書き上げて学界でその名を知られるようになる。彼自身この量子力学の分野に自分の人生の光明を見出したようで、まるでそれからの彼の人生は水を得た魚のように活気づいた。

バークレーでの彼の教授としての地位はその人望も含めて確固たるものとなった。そんな中、第二次大戦が勃発。ナチスによる核開発の懸念からアメリカで本格的な核兵器開発プロジェクトが始まる。
総責任者グローブスのお眼鏡にかなったオッペンハイマーは研究所所長に抜擢され、ロスアラモスで彼は大学教授の時代同様、人望を集め見事なリーダーシップを発揮する。まさにそれは彼の人生における絶頂期のような輝かしきものだった。

研究所では科学者スタッフが精製されたウラニウムの塊のように一丸となって核開発に没頭した。そしてナチスドイツの敗戦が知らされる。
核開発を正当化する理由は失われた。しかしドイツの敗戦を知って開発から手を引きロスアラモスを去ったのは科学者たった一人だった。

ファシズムとの戦いは日本がまだ残っている、戦争を終わらせるためには原爆が必要だ。それらの大義とはまた別に科学者としてこの大規模国家プロジェクトに携われたことへの名誉、そして自分たちの研究の成果をこの目で見てみたいという科学者としての願望もあったのかもしれない。
冷静に考えれば自分たちが開発しているのは超強力な爆弾である。本来それを開発する技術は永遠に封印されるべきものだった。しかし、これが科学者の、いや人間の性なんだろうか。未知なる技術への知的探求心を抑えられる者はここにはいなかった。もはやこの開発に歯止めをかけるものは何一つ見当たらなかった。的に向けられて発射された弾丸が自ら止まることができないように。そしてそれは原爆使用に関しても同じだった。

オッペンハイマー自身この兵器が完成し、人に対して使用されたならどのような惨劇に見舞われるかは十分わかっていたはず。だが彼は自分を納得させる。我々科学者は開発が任務であり、開発された兵器をどうするかまでは権限がないと。
この考えが彼がその罪悪感から逃れるための唯一のよりどころだったのかもしれない。だがそんなよりどころはもろくも打ち砕かれる。実際の広島、長崎への原爆投下によって。
この時、もはや彼の中で罪悪感は言い逃れができないほど大きなものになっていたはずである。

彼は自伝などは残しておらず、彼のその時々の心情は彼の書簡や彼の周りにいた人物の回顧録などからひも解くしかないが、間違いなく言えることは彼は開発を悔いていたということだろう。

劇中で述べられた、人はたやすく兵器を使ってしまうものだという言葉。彼は原爆を開発しながらもこんな恐ろしい兵器が使われることはないだろう。どうか使わないでくれと心のどこかで願っていたのかもしれない。しかし、アメリカはあっさりと使用してしまう。それも立て続けに二度も。
開発は使用を必ず促すということを思い知った。もはや開発しただけだという彼の言い訳は彼の中では通用しないものとなっていたはず。
だからこそ彼はその後、さらに強力な水爆開発に反対し、核の国際管理の徹底、核による戦略爆撃に反対した。二度と広島長崎のような悲劇を繰り返してはならない、人に使用される核兵器は広島長崎が最初で最後になるようにと。

しかし、彼に対して私怨を抱く少数の者たちによって彼は陥れられる。時代はまさに赤狩りの時代。彼の過去の共産党との関わりがあだとなって不当な裁判で公職追放の身となる。

原爆の父からソ連のスパイとまで呼ばれたオッペンハイマー。当時の赤狩りの犠牲者であるが、彼を陥れたテラーは新たに水爆の父となり、その後のアメリカの核開発武装路線で大きな役割をはたすこととなる。そして米ソの核開発競争に歯止めがかからなくなり冷戦の時代へと突入する。

オッペンハイマーの理論物理学者としての先見性は確かなものだった。世界に30年以上先んじてブラックホールの存在を言い当てていたように一つの核兵器の完成によってこの米ソ冷戦に至る世界を思い描いていた。まるで一つの核分裂がまた更なる核分裂を引き起こし、その連鎖反応が限りなく広がるように核への恐怖が広がり核武装せずにはいられなくなるこの世界を予見していたのだろう。
彼がアインシュタインに述べた、自分は世界を破壊してしまったという言葉はまさにその言葉通り世界を何百回も破壊できる数の核保有という冷戦時代を作り上げてしまったことに対しての悔恨の言葉だったのだろう。この冷戦は彼の死後22年以上続くこととなる。
彼は喉頭癌を患い62歳で亡くなる。物理学は原爆を生み出したが、彼の癌を治すことはできなかった。

当時核開発競争に明け暮れた時代。日本でも理化学研究所ではその開発が進められ、日本人初のノーベル賞受賞者湯川秀樹氏でさえその開発に関わっていた。
彼のノーベル賞受賞はオッペンハイマーの推薦によるものが大きいとも言われている。

原爆を生み出した張本人として知られるオッペンハイマー、しかし彼の人生はむしろ原爆を生み出してしまったことによる責任を重く受け止め、核兵器誕生以後の世界に対して自分がなすべきことに何の迷いもなく突き進んだことにこそ、その人生の意義があったのではないだろうか。

作品はオッペンハイマーの人生を複数の時系列に分けて並行して見せることにより、長時間の上映時間でも一切だれることのない、見ごたえのあるものに仕上がっていた。

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レント

5.0辛さ重たさで言う星の数

2024年4月2日
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この作品のレビューを満足いくまで書き上げるにはもう5回ほど鑑賞しないと私には難しい。ひょっとしたら5回でも足りないかもしれない。

原爆の父オッペンハイマー

ものすごいことを成し遂げたのかもしれないけれど、大変なものを拵えてしまったではないか。
日本人としては、ものすごく心が痛むというか、胸くそ悪い。あんな惨劇を手を叩いて喜ぶとは。原爆実験の成功を喜び、そして日本の広島長崎への投下であんなにも称賛され、オッペンハイマーの成功を喜び、称える姿に吐き気が出そうだったが、私たちは原爆を作った人を恨むのか、原爆を落とす決定を下した人を恨むのか。

日本人としては耐え難い辛い現実ではあるが、世界初の原子爆弾を開発し、それが実際に投下されその惨劇を知った天才物理学者オッペンハイマーの葛藤はいかなるものだったか。分かり得るような、分かり得ないような。いや、そうだとしても、そんな時代背景があったとしても、何とも理解するのも辛い。

妻のキティーがオッペンハイマーとの辛い過去を乗り越え、最後までオッペンハイマーを信じ、最後まで彼の味方を遂げ、オッペンハイマーを貶めた者を許さないと言う。あの感情、その気持ちだけは突き刺さり、オッペンハイマーを支える妻の強さをみた。

オッペンハイマーの伝記と言うよりは、日本に落とされた原爆がどのようにして投下されることとなったのかを知り、お腹に重たい爆弾を抱えたような、なかなかな衝撃作だったのが事実。

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Qoo

3.0話がつまらない

2024年4月2日
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吉泉知彦

3.5予習してから行くべき

2024年4月2日
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原子爆弾を発明した人の話という、大変大まかな事しか知らずに観た為、内容を把握するのに苦戦。観終わった後にサイトで復習しました。
核兵器の恐ろしさを痛感。

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rs8jn2

3.0もっと変人だと思ってた

2024年4月2日
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オッペンハイマーがケンブリッジで上手くいかず、鬱々としているところから話しは始まる。と言っても、時代を行ったり来たりするいつものノーラン編集で、観る方は混乱させられる。ただ今作はそれぞれ時代もやってる事もはっきり違うのでそんなに時系列に混乱は無かった。

また、原爆実験成功の場面はやはり大迫力で、爆発や爆風の映像は凄まじいものであったのは勿論であったが、より印象的だったのは大喜びする施設の人々の笑顔を苦々しく睨み付ける自分がいた事に少し驚いたことである。
愛国心や日本人意識はそれ程高い方では無いと思っていたが、当時の敵国の兵器開発の現場の情景をまざまざと見せ付けられたような気がして、非常に胸くそ悪かった。本気でこいつらと後のシーンで出てくる大統領含めて全員ぶっ◯ろしてやりたいと感じた。
そのくらいのリアリティがあった。

主人公オッペンハイマーについては、彼の経歴や量子力学の歴史、女性遍歴など一通り知っていた事もありダイジェスト感が否めなかったが、感情をしっかり持った人間的な人物に描かれており、天才かもしれないがもっと非人間的な変人だと思っていた自分としては意外と普通な人だったのかもなと認識を新たにした作品になった。

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mvlv

4.0吹き替え要りますよ

2024年4月2日
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知的

難しい

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kkuummaa

4.5原爆が生まれた経緯とオッペンハイマーの苦悩にフォーカス

2024年4月2日
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オッペンハイマーの原爆を開発していく過程とその苦悩がよく表現されていました。
細かい内容、使われている表現は複雑なものが多いですが、大まかな話の流れは掴みやすいと思います。
戦争が遠いもののようで身近になっている現代だからこそ、たくさんの人に見て体感してほしいと思います。

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Sugi

4.5繰り返される衝撃的刺激が私にはズドンと恐怖と連結してしまいました。...

2024年4月2日
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悲しい

怖い

知的

繰り返される衝撃的刺激が私にはズドンと恐怖と連結してしまいました。
赤子の手をひねるように没入してしまったわけです。
日本人にとって原子力爆弾というワードが既にトラウマ的な上、作り出した人物、投下する国という歴史背景。
素直に怖かった…。

前半は科学者としての焦燥や葛藤が原子力開発という未知の領域へ踏み込むアクセルとなり進むことが止められない。
戦争や主義主張への弾圧、人権などうたっている場合ではない時代で主人公が何を感じ何に突き進んでいるのかをたくさんの人々と出会い別れ頂点まで走り抜けます。
それが善なのか悪なのか。
答えは耳元で囁いているかもしれないのにあえて蓋をしながら。

そして後半は終始人間の愚かさを突き付けられ登場人物も私たち観客も嫌なものを観続けなければならなかった。
日本が降伏しないという穿った視点。
実績を最優先しようとする政府。
ストローズという拗らせた執念深い男。

オッペンハイマーの妻が戦えと勇ましく怒鳴りつけるシーンがありました。
衝撃的でした。
絶対に怯まない。
善も悪も背負ったまま立ち上がり前を向いて生きろ!と。
この映画の中で一番かっこいい人だ。

ある程度の歴史を知り、ある程度ストーリーの予習があるとより楽しめる映画だろう。

平らな思考を保つためにはこういった視点のものも観ておいたほうがいい。
一度しか鑑賞していませんが、再度干渉したいかもしれません。
怖いけど。

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