劇場公開日 2024年3月29日

オッペンハイマーのレビュー・感想・評価

全884件中、461~480件目を表示

4.0ただただ映像美と圧巻の演技力、映画として極めて優秀

2024年4月5日
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鑑賞方法:映画館

知的

難しい

日本人なもので、素直に面白いと言えないところがありますが、鑑賞して損はない作品でしょう。
Cノーラン監督作品らしく一番の見所が圧巻の映像美と音楽の融合なので映画館で見たほうが良い、というか映画館で鑑賞しなければ価値がない作品とも言えます。
特に度々登場する、核分裂、太陽のコロナ爆発、脳内のシナプスなどを具現化したような幾何学的イメージの不可思議な映像と音響の爆発は出色でした。このシーンでは一瞬言及されたストラヴィンスキーを引用したような不協和音が歪で不気味で激しい音像、おそらく1945年当時を再現するために電子楽器一切無しのクラシック音楽寄りの編成で構成された楽曲が素晴らしかったですね。

あと意外だったのは映画の三分の一は、ソ連側のスパイの嫌疑をかけられたオッペンハイマーを糾弾する聴聞会のシーンで構成されていたこと。
それはともすると退屈しそうなシークエンスですが、嫌疑を追求する側とされる側の一切の妥協のないお芝居に魅入ってしまい退屈しませんでしたね、俳優陣の演技力は凄まじいものがあります。

それにしてもオッペンハイマーの人物像、資産家の家に生まれユダヤ人で、資本論を原語で読破し社会主義に入れ込み文系もいけることをひけらかす傲慢な感じ、鼻につきますよね〜。
あの時代の傲慢な知的エリートの脆弱性の象徴としての描き方として完璧に描写してましたね。
何故知的エリートが脆弱かというと
当時、ソ連のスパイが主導で各国の上流階級の知的エリートの理想主義を利用して社会主義が阿片のように広がり、ソ連の思惑通り、ソ連=社会主義に対する警戒感が和らげられたのです。
軍事力無敵で経済最強のアメリカすらも、ソ連の思惑通り内部から切りくずされていきました。
劇中に社会主義仲間との集会が何度もありましたが、あれは要はオッペンハイマー博士がソ連の掌の上で踊っていたにすぎない訳です。
博士は現実を見ていた政治家や官僚とは戦後、ソ連に関する観点で意見が合わず対立し遂には公職から追放されます。
この両者の差異をCノーランは出自に求めているようです。ストローズには靴売からの成り上がりを劇中さかんに主張させ、かつ最終学歴高卒の叩き上げトルーマンとの対立も明確に描いていますね。まるで生まれながらに資産家の博士とは、叩き上げのトルーマンやストローズとは真逆の出自であるが故の対立かのように。
ちなみに博士とストローズの対立の原因となった、アイソトープ=放射性同位元素の輸出入の規制、これは現在の安全保障の視点ではストローズの意見が正しいことが結論付けられています。

このように、Cノーランの感覚は左翼優勢なハリウッド人の中ではかなり冷静に両面が見えているように思えて好感が持てます。

映画の感想とは別に、個人的に考えさせららたのは、戦争自体への賛否はともかく、原爆という戦略兵器を「市街地に投下した」残虐性について少なからずも個人的内省を抱く人物を描いただけでも米国人としては進歩的なんですよね。だからアカデミー賞とっている訳です。
原爆は戦争を終わらせたことを一般米国人は評価していますが、非戦闘員の殺傷は明確な国際法違反です。米国人はこの点に関して全スルーですよね。
原爆を市街地ではなく、海中に投下する、例えば東京湾のど真ん中に投下することでも十二分に脅迫効果はあったはず、しかし彼らは原爆が人体に与える影響、戦略兵器としての有用性を示すデータが欲しかった。だから市街地に投下した。
彼らは国際法を捻じ曲げても全く気にしない。
日本人としては、彼らの歴史観にモヤる気持ちはありますが、事実上の属国ですので生暖かく見守るほかないのでしょうね。

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mass79

5.0映像の圧倒的情報量

2024年4月5日
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鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

知的

ノーラン監督らしい、時間いじりの表現・映像中の圧倒的情報量・破壊的兵器を作り出そうとする葛藤・それを戦時とはいえ人が住んでいる市街地で使用することの倫理的葛藤・アカ狩りへのストレス等で、3時間はあっという間でした。私は単調な映画だと眠くなりがちなのですが、それはクリアしました。砂漠の中での原爆の爆発テストの描写は、密度が濃くて息をするのも忘れるほどでした

また主人公が原爆の悲惨さを知るシーンがいくつかあって、被爆者を直接的に写すことは無いけれど、壮絶な被害の表現があります。一般民間人の膨大な犠牲者が出たことは十分に伝わりました

難点を言えば登場人物があまりに多く、マット・デイモンや、ケネス・ブラナー、レミ・マリックのような顔が識別出来る方以外の俳優が時を越えてあちこちに出没しだすと、混乱します。ネットの登場人物紹介コラムを読み込んで鑑賞しても駄目でした

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オパーリンブルー

4.5制御できるのか?破壊神を

2024年4月5日
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鑑賞方法:映画館

「マンハッタン計画」を指揮して原爆開発に成功し、アメリカのプロメテウスと呼ばれた科学者、J.ロバート・オッペンハイマーの生涯を描いたアメリカ映画。クリストファー・ノーラン監督作品。
映画のハイライト(そしてオッペンハイマーの人生のハイライトだったのかもしれない)は、最初の原爆実験「トリニティ」である。あの緊迫感と迫力、そしてそこに至る過程の途方もないスケール。砂漠の真ん中に突如、世界最大の実験場をつくり、そこで働く人間たちの町をつくり、新たな神の火をつくりだすという人類史上最大の「プロジェクトX」が、圧倒的リアリティをもって描き出される。質量ともに世界最先端の映画プロダクションでなければ到底不可能であったろう。・・・その観点からすれば、素晴らしい映画だと言うことができる。

しかし、トリニティ成功後、日本への原爆投下を正当化し、落とす場所を選び、実現に向かっていく過程が、見ていて息苦しくなるほどつらい。実際に広島と長崎で起きたことに対し、この映画におけるその描き方に対し、分けようのない怒りと悲しみを感じる。
それだけではない。原爆は他の兵器とは違う。これによって人間は、世界を確実に破滅させることができるようになった。人間のもてる最大限の英知と能力を結集して行きついたゴールは、「世界の破壊者」(オッペンハイマーが引用した『バガヴァット・ギーター』の一節)であったのだ。後戻りはない。これ以上先のゴールもない。破壊の後には何もないからだ。
翻って、登場人物たちはどうしようもない卑小さ、弱さ、愚かさを見せ続ける。人間の本質は変わらない。それが魅力でもあるのだから。
そしてこの世界の存続は、人間が破壊神となった自分自身を制御し続けられるかどうか、の一点にかかっている。

キャストについて:
オッペンハイマーといえば、長身でガリガリに痩せた特徴的な姿が思い浮かぶ。キリアン・マーフィーが周囲の人々よりも背が低いのにはどうしても違和感があった(キャスティングの責任)。一見して「普通じゃない」と思わせるカリスマ性がもう少しほしかった。

マット・デイモンがレスリー・グローヴズを見事にリアルに演じている。
エドワード・テラー(ベニー・サフディ)の造形が素晴らしい。リーダーに何を言われようと周りにどれ程嫌われようと一切気にかけず、常に、絶対に、自分の正しさを疑わない。オッペンハイマーを刺す証言をした後、自分から握手を求める(オッペンハイマーはなぜか拒否せず握手する)。ああ、テラーはきっと、そういう人だったのだろう…。

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Tama walker

4.0欲望とパワーゲームの果てに

2024年4月5日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、試写会、映画館

オッペンハイマーが科学者としての好奇心と探究心を政治的意義で着色されて、利用されたお話。本作はあくまでこの科学者がどういう人生を歩んだか、または巻き込まれたか、という角度から描いていて、それはそれで面白かった。アメリカ国内のパワーゲーム、政治的思想、そこに関わることを拒否し続けたアインシュタイン…。新しいことを開発する熱意と活気はわかるが、あの大爆発のテストのあとに、どういう心境で全員歓喜したのかが、理解に苦しむ。どう言い訳したって、水爆も原爆も大量殺人兵器であることには変わりないのだから。
独特の描写と熱風や湿度を感じるようなスクリーンは、さすがノーラン監督だった。

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まっちゃまる

4.0アカデミー7冠は納得

2024年4月5日
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鑑賞方法:映画館

採点4.3
物理学者オッペンハイマーの半生を描いた伝記作品。
そしてその背景に米の汚点とも言える赤狩りをも深く絡めた、大変見応えのある作品でした。
その構成が見事で複数の視点や時系列を散らし、そこにモノクロとカラーの切り替えも差し込んでいました。
そして迫るような映像もですが、何より音楽が見事。
「TENET 」で一緒だったルドウィグ・ゴランソンなのですが、その映像や物語に実にピッタリでした。
この音がなければ、こんなにもオッペンハイマーの視点に入り込めかったと思います。
キャストも常連キリアン・マーフィをはじめ錚々たる豪華な顔ぶれ。
フローレンス・ピューだけ何故かサービスショット付きです。
後半からはジワジワとダウニーjrがその存在をたっぷりと見せつけてくるのも、良いアクセントになっていたと思います。
その波乱に満ちたその半生は、自分で体験したことのようで上映後は結構疲労感を感じるほどでした。
それでも、その生み出したものの重さは計り知れない程です。
とても密度の高い時間でした。

ただ、やはりしこりのような物は残ってしまいますね。
これは日本人だからしょうがないです。
逆にアカデミー7冠は納得の出来、本当見事でした。

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白波

3.5カラーと白黒、時代も行ったり来たりで、ついていくのが大変

2024年4月5日
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核実験時の重低音を堪能するのには、IMAXやドルビーシネマのほうが良い。ストーリーは、開発中のオッペンハイマー、取り調べを受けているオッペンハイマー、オッペンハイマーのライバルが別の会合で取り調べを受けている場面と、コロコロ入れ替わるのでついていくのが大変。別のレビューなどを読まないと何が何だかよくわからなくなる。ただし、ロスアラモスでの核実験のシーンは、すごい迫力だ。

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M.Ooi

4.0原爆投下擁護の話ではない

2024年4月5日
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前評判から思うこと
原爆の被害を直接描いていないなどよろしくない評判を聞いていましたが決して原爆投下擁護しているわけではないと思います。
ただアメリカ側の各々の関係者の視点から描写されていますので分かりやすく原爆が悪いものだ、という話を観たい人にはおすすめ出来ません。監督が原爆投下を賛美しているのではなく当時のアメリカ人がそう思っていたのです。そして正義はアメリカにあるという態度は今も昔も同じなのでイライラする人もいるでしょう。
直接核兵器の悲惨さを伝える映画というよりは作中の人物の思い、出来事から観客がその悲惨さについて考えるべき映画だと思います。
唯一納得がいかないのが被害を確認した主人公が集会で原爆被害者を幻視するシーンです。上半身モザイクなしのセックスシーンやらなんやら入れる割に、被爆者の爛れ具合がチャチな仮装以下です。せめて低予算スプラッタくらいの見た目にしないといけないのでは?

最後のほうは色々な話が出てきて難しいですが、アインシュタインの言葉、ラストのオッペンハイマーの妻が夫に嫌疑をかけられた時のセリフとラストのパーティーでの態度を合わせると主人公がどういう結末になったのかわかる気がしました。

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おまけ

4.5澄んだ目のオッピー。

2024年4月4日
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というわけで公開遅れた話題作です。レビューも500越え。誰も読まないと思うけど自分のために記録しておく。まあ唯一の被爆国という事で色々難癖つける人もいるので、ちゃんと賞を取るの待ってから公開したという噂です。

事前勉強必要なのはオッピーが公聴会や裁判でアメリカの第二次大戦後の対ソ連の赤狩り(共産主義者迫害)や、原爆と水爆の研究が被って進むところあたりかしら。あと嫌なやつを好演していたロバート・ダウニー・Jrの役回りが私は今ひとつ理解できなかった。

まあ被爆国日本人の気分を害する表現もあるが当時のアメリカは真珠湾の復讐、してやったりが大半だったと思う。アメリカ技術力万歳だろう。
しかしこの映画は僅かだが核爆弾の人道的な危険さを危惧する研究者もいた事を描いているし、オッピー自身もその事にかなり悩んで、判断にブレが生じて赤狩りの中でスパイ容疑をかけられピンチになる。

話の中でもあったけど原爆を作る人と運用する人は別だという事。作る人、研究者は閃きを信じてアスリート見たく実験を繰り返して証明、完成させる人です。
それに関して熟知してるから核の恐ろしさもよく知ってるはずなんですが、興味や探究心が勝ってしまいヤバさに気付くの遅れがちです。
買い物し過ぎて電気代払えないとか、魚獲り過ぎて魚いなくなったとか、、皆んないっしょ。
オッピーとアインシュタイン、人類滅亡の可能性を秘めた理論とその実証者、そんな重い物を背負った2人のシーンが印象的だった。
使って初めて人はわかるって台詞でもあったね。
そんなこんなを1人の人間で表現しようとしたのが本作です。3時間あるけど苦痛ではなかったし、まだ前半の話の進みの速さをちょっと感じた。ノーランならではの映像表現もいいバランスで効果的で流石だなと思った。なによりキリアンマーフィーの澄んだキョドった目が印象的で、ナイスキャスティングだと思う。

この手の映画にわりと若い客が映画館に多かったのは良い事。

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masayasama

2.0エンドゲームの時の演技の方が いいのでは・・・と思った。

2024年4月4日
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idweb

3.0そっち?

2024年4月4日
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Daichi Kitakata

4.5プロメテウス

2024年4月4日
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オッペンハイマーの生涯を詳細に描いた、ピューリッツァー賞受賞作。原題アメリカンプロメテウス。文庫版で上中下巻の大作をベースとしてクリストファーノーランが映画化。
3時間の大作。

世界で唯一の被爆国日本。公開が危ぶまれていたが
私個人としては、日本で観ることができなければ意味がないと考えていた。日本公開を決めたビターズエンドにまずは敬意を表したい。様々な議論があったためだ。

巨大な作品である、人物、映像、時代…。

広島や長崎の被爆者の方が観たら、どう思うだろうか。
そこは私にも正直わからない。今も、被爆のため心身共に苦しんでおられる方がいるからである。私たち日本人が当事者である。
直接的な惨状、被害の描写がないというのも話題になっていた。

Cノーランは、オッペンハイマー主観で話を進めている。
彼が見たもの、聞いたこと、考えた事象、脳内主観…彼の伝記評伝映画であることは間違いないだろう。
また初期作メメントでもそうだったように、ノーランの一方向のみに進む時間の否定、ともいえる概念は今作でも顕著である。前作テネットでは時間が過去現在未来と行きつ戻りつ、凄まじい映像自体が逆行していく場面もあり、正直全て理解したとは今もって自分でもわからない。

今作もまたオッペンハイマーの人生を、時間軸を交錯させながら描く。膨大な登場人物、膨大なセリフ量…
彼のケンブリッジ時代から、戦後マッカーシズム吹き荒れる時間、ロスアラモスでの人類史上はじめてとなる、プルトニウム型原子爆弾実験トリニティサイトが行われるまでの時間…
一度観ただけでは覚えられない実在の人物達…
ただオッペンハイマーを中心に、どのようにして原子爆弾が作られていったのか、なぜ日本がその標的になったのか、など正確に知らなかったことがこの映画には描かれている。

まずもってこの大量の人物とセリフの重量…。
実験物理学、理論物理学、量子物理学などの専門用語に時代の言葉。
シナリオは巨大で重厚。
トリニティサイトでの映像、マッカーシズムの中
そしてオッペンハイマー自身の複雑な脳内世界、生き方…を
可視化している。IMAX65ミリ、パナビジョン65ミリフィルムをカラーモノクロで使用。俳優のバストショット、アップショットを多用し、鑑賞者の没入感も大切にしている。

キャストはオールスターともいえる。
ノーラン作品常連のキリアンマーフィー、妻キャサリン役エミリーブラント、マットデイモン、ロバート・ダウニー・Jr、ジーンタトロック役のフローレンスピューの体当たり演技…あげればキリがない。

印象的なのは科学者と政治家の関係。
のちにオッペンハイマーを追放する側に回る、ルイスストローズや、トルーマン大統領など政治家達の凡庸さ…
あからさまな嫌がらせ、嫉妬心、権力者達の人間性のありよう…

冒頭とラストにオッペンハイマーとアインシュタインの邂逅場面が出てくる。
ラストに至りここが重要なシーンであることがわかってくる。
彼らにはおそらく今の私たち、また地球をとりまく情勢が見えたのだろう。物理学の天才たちには。

事実、核を威嚇に持ち出し戦争をはじめた政治家が現れ、日本のまわりにはミサイル実験威嚇をやめない国があり…

オッペンハイマーが公職追放されたのち、
ルイスストローズもまた失脚する。皮肉なことだ。

オッペンハイマーの名誉回復には、ケネディの名前も出てくる。
そのケネディもまた、キューバ危機で核の脅威にさらされ、
その後には、真相不明のまま暗殺される。

オッペンハイマーは現代世界をみてどう思うだろうか。

心身共に、少しの余裕がある時に鑑賞されることをおすすめします。

改めてクリストファーノーラン、映画史に残る監督ではないか、と個人的に感じ入った力作、大作でありました。

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たま

4.0レビューの数が物語る

2024年4月4日
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登場人物が多く、時系列もバラバラという前評判だったので、私は役者の顔と役名、あとはオッペンハイマーに関する大まかな歴史的な流れは予習して観たからストーリーを見失うことはなかったが、予備知識無しの所見では若干「難解」かも。
でも『TENET』の嫌がらせみたいなややこしさに比べたらとっても分かりやすい。

上映時間3Hはちゃんと「長い」。
登場人物が多く、説明が少なく、展開は速いため、ついていくのに必死で眠くなることはないが、長い。

作品としての大きな軸は、上映2時間辺りでようやくたどり着く「トリニティ実験」に向けた研究の盛り上がりと、その後のオッペンハイマーが被る『赤狩り』にまつわる「公聴会」と「聴聞会」での質疑の二本が、平行したり交錯したり前後したりして進んでいく。

オッペンハイマー、その妻キティ、そしてストローズ。その他、俳優達の演技はさすが。

映画全体のベクトルは決して「核の肯定」ではないが、多くの日本人が持つであろう「核の恐ろしさ」は到底含まれていない。
作中では単に「格段に威力の凄い爆弾」であり、これはハリウッド映画の「核あるある」だけど、放射能による被ばくについてはほとんど触れられない。
監督が、あえてそういう伝わり方を目指したのであれば、やはり日本人の私としては素直にこの作品を原爆の映画としては評価しにくいな、という感じ。

そもそもアメリカ人にとっては、この映画を観て、同時期に公開した『Barbie』と掛け合わせて「バーベンハイマー」などというミームが生まれるくらいの、我々には到底理解できない受け止め方だったワケだし、同じ物差しで計ることはできないんだろう。

トリニティ実験なんて、成功=広島・長崎への投下が確定するワケで、その後の仲間達の喝采についてはもちろん彼らがこのために心血注いでたどり着いた実験の成功として理解はするものの、描かれた事象と、この先に待つ地獄を思い浮かべるこちらの温度差は歴然として存在する。

トリニティ実験の直前、ドイツが降伏して原爆の使いどころがなくなったことを受けて少人数の会議が開かれ、「まだ日本があるじゃないか」「(核の怖さを世界に知らしめる意味で)被害のインパクトを大きくするためにも攻撃予告はしない」と話が進んでいく。
決してドラマチックなシーンになっていないけど、明らかに場内にいた我々観客が息を呑む雰囲気になり、それがため息に変わるのを感じた。

詰まるところ、テーマはオッペンハイマーという、人間としては未熟だが、物理学の上では天才的な才能を持つ男の半生を「原爆」と「謀略」にまつわるお話とその孤独についてまとめたもの。
おそらく監督はこれを映画として表現する上で「原爆」というモチーフを使いたかったんだろうと考えると、やはり原爆は彼らにとってはエンタメのギミックの一つなんだろうな。

もちろんオッペンハイマーは自分が原爆を作り、実際に人間に対して使ってしまったことを悔やむんだけど、この恐ろしさの本質をちゃんと理解していたのか。
爆発光の下で消滅した命や生活や思い出、その後何十年も続く被曝者たちの苦しみなど「そこに存在した生命」に、彼の後悔は向いていたんだろうか。
惨状の写真を見ようとしなかった彼が、実際に思いを馳せ、恐怖していたのは広島・長崎ではなく「扉を開いてしまった自分」と「これからの世界」でしかない。

監督も、作品をオッペンハイマーの主観、という体裁にし、あえて積極的に広島と長崎を描写しなかった以上、やはりそこにはスッキリしないモヤモヤが残ってしまう。

ただ、もう数十年経ったら、戦争経験を伝える人が減って、原爆についてこういうアメリカ的な解釈をする人がもっと増えるだろうし、それは時間の流れとして受け止めるしかないのかな。
『はだしのゲン』が教材から排除される国で、あの戦禍を語り継ぐのはやはり難しい。

それでも作品賞受賞とは言え、公開たった1週間で+R15の洋画がこれだけのレビューを集めるって凄い。
書かずにいられなかったんだろうな。
日本人の心に何らかのクサビを打ったという意味で、意義のある作品になった。

IMAXレーザー(名古屋にも最大規格のIMAX来て欲しいよ)で観賞したのは正解。
実際に身体にビリビリくる音圧を感じながら観るからこそ、事態の大きさが伝わってくる。

ぜひ、音響の良い劇場で。

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キレンジャー

5.0トム

2024年4月4日
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悲しい

興奮

知的

トムコンティが渋かった。ノーラン作の中ではわかりやすい部類。次はIMAXで鑑賞予定。

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vn0nv

3.0難しいテーマだからこそ

2024年4月4日
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知的

難しい

通常スクリーンで鑑賞
原爆の父と呼ばれた人の話を漠然としてだが日本人として見ておいた方が良いような感じがして鑑賞しました。
物語が佳境に進むにつれ、この映画を広島と長崎の方々はどのような心境で見るのだろう?としきりと考えてしまいました。
IMAXで見なかった理由が、こういうテーマはスクリーンの大きさとかで出来映えの印象が変わるべきではないと思ったからです。
自分としては高くない評価になった一つの理由で、大きな音で驚かせたり、抽象的な光の粒やラインアートみたいな映像を多用して語るべき物語ではないと感じます(きっと中性子や素粒子等を表現したかったのだと思いますが・・)、もっと違う部分に時間を割いて欲しいと思いました。
見る上で、物理の知識は少し必要、当時の時代背景の知識はかなり必要かなと、オッペンハイマーの置かれてる立場や背景などがなかなかわかりづらかった気がします。
物語の後半で彼が審問会?でいつから道徳的な懸念を持つようになったのか?と問われるシーンがこの映画のテーマなのかなと思いました、科学者と兵器との切っても切り離せない永遠のテーマですよね・・・・
登場人物達がどこまで現実に即しているか解りませんが、即しているのだとするとやはりアインシュタインはスゴいのかと思ってしまいました。
学者として頭角を表してからのオッペンハイマーしか描かれてないので、幼少期からの生い立ちや引退後の彼の思想などを知りたかったかなと思います。
とはいえ、こう言うテーマを映画として取り上げる事には大変な価値があると思います(米国目線ではあるが、多分それが当時の当事者達の目線なのかと思ってしまいます)。
文明の発達に応じて人の誠心も追い付いて行きます様にと願ってやみません。

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スキーヤー

5.0傑作

2024年4月4日
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悲しい

怖い

難しい

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LC

3.5長い・冗長・そして難解

2024年4月4日
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ConicalSpoon436

1.5もっと違う作り方なかったかな

2024年4月4日
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難しい

寝られる

基本、会話です
言い方悪いですけど、
ダラダラと会話が多い映画なので、
途中途中に
「過激なSEXシーン」
「爆発音」
「アート的な光の演出」があります
でも、私からしてみたら、会話シーンで退屈させない為の演出でしかない
素晴らしい演出なんか感じなかった

特に「過激なSEXシーン」これ、いるかな?
被爆国の日本では、学校でこれ見せているみたいですね、
大勢の学生服が映画館に入って見てましたよ、
その都度、このSEXシーン見せられるの?
こんなシーン削れるでしょ?不要

でも私が、
有名人や知名度ある人間なら
「大絶賛」します
なぜなら、アートに理解できる人って世間に訴える様な事です
「私はこの映画の素晴らしさに気付ける人間です」ってね
だから、テレビで見たと言う人達は全員が大絶賛、、、そうなるわな

原爆を扱う映画なら、
「原爆の怖さ」
「日本人がどれだけ恐怖したか」
「日本人がどれだけ失ったか」
「そしてあなたたちはどんな気持ちだったか」
そこしっかりやろうよ

エンドロールが終わり、席を立とうとしたら
後ろの席から、
「なんでアインシュタイン怒っていたか意味わからんわ」
と、言う声が聞こえてきました
そう、わかりずらいんですよ、この映画

そして今回の映画はお洒落すぎます
そして原爆を扱うなら「軽い」
私は、3時間で尻が痛くトイレに行きたいと言う思い出の方が大きいです。

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MIKI

2.0んんー

2024年4月4日
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Keita

4.0力は感じたが、熱を感じず

2024年4月4日
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「さすがにオスカーを獲得しただけのことはあるな」と納得させる、力のある完成度の高い作品だと思いました。

でも、セリフの量が多く、字幕を目で追っていくのが大変だった。ちょっと読書しているような気にもなりました。
当然そんな作業を3時間も集中してつづけられないので、登場人物たちの話していることが頭に入ってこない箇所がいくつもありました。
まあノーラン監督は、英語圏以外の観客のためにいちいち考慮して映画づくりをしているわけではないのだから仕方ないですが……。

それから、イメージの集積、重ね方は秀逸だと感じましたが、作品の構成をもう少しシンプルにしてもらったほうが僕のような凡人には話の流れがわかりやすかったです。でも、それだと「NHKスペシャル」みたいになっちゃいかねないな。そこが伝記映画(?)のむずかしいところでしょう。映画的な表現をしないと、わざわざ劇映画にする意味が薄れてしまいますからね。

また、本作では7割か8割以上の時間でBGMが流れている。つまり、それだけの量のBGM、音楽を使用しないと間がもたなかったのではないか。音楽と音響の力でストーリーをかなり補っているなと感じました。

あと、——というか、これがいちばん不思議だったのですが。冒頭に書いたように、本作はとても力のある作品だと思います。
でも、どういうわけか、作品から受ける「熱」というものを僕はほとんど感じませんでした。
力はじゅうぶんに感じたけれど、熱を感じなかった。何故だろう?
感情を抑えた監督の冷徹な眼差しがそうさせたのでしょうか。

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peke

3.0アメリカ目線のドキュメンタリーみたい

2024年4月4日
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もんも