オッペンハイマーのレビュー・感想・評価
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オッペンの苦悩
不穏な音に包まれながら進んでいく。IMAXがいいようです。私は普通のシアターでしたが、充分肌に感じ、オッペンハイマーの心情に入り込んだようでした。
単純に言うと、オッペンは、純粋に自分の理論を実証したかった、研究者として。そしてそれを政治家が利用した。投下された後の様子を映像で確認して後悔の念に苛まれた。水爆の開発には反対して、あっさりきられた。
広島、長崎の映像は映らない。それを見ている人の顔を映す。オッペンは見てから、幻影に苦しめられる。
奥さんの描き方がリアル。自分も学者なのに赤ちゃんの世話で疲れてオッペンに怒るところに共感。そして強い、浮気されようが、糾弾されて憔悴し切っているオッペンを叱咤激励する。
もしかしたら、ドイツや日本が先に開発していたかもしれない。だとしたら、やはり同じことをしていたと思う。
それにしても、実証実験が成功して、喜ぶシーンでは、怒りが湧いた。
楽しい映画ではないけど、アインシュタインとのやりとりや、ケネディの名前が出てくるなど、なるほどと思うことも多かった。
名声を欲しがる者の卑しさがもう一つのテーマかも。オッペンは違うけど。
オッペンハイマー博士の背後に見える「科学」の光と影。
原子爆弾を作ったオッペンハイマー博士の開発成功までの道のりとその後を描いた作品。
クリストファー・ノーラン監督ということで鑑賞。
骨太SF作品を生み出すノーラン監督が、なぜ今、実在の人物をベースにした人物伝映画を?と思っていたけど、観てみたら理由がわかった。
ノーラン監督、どんな作品も根底にある「好きなもの」「描きたいもの」は繋がっていて、それを様々なアプローチで発展させている方だなあと感じる。
だからこそ新作が公開されれば観に行ってしまうのだ。
まず一つは、原爆の原理はSFのベースになっている科学、量子力学の分野であるということ。
そしてもう一つは、最新の科学技術や知識は軍事兵器に利用されたきた歴史があり、科学者の知的探究の歴史は兵器開発の歴史と重なってきた、という事実だ。
本作はオッペンハイマー博士という人物の光と影を描いていたけれど、彼の光と影は「科学」というものの光と影というか、そのまま科学の功罪にも重なる。
新しい科学の知見が発見され、それが新しい技術となり最新兵器に用いられ、抑止力となり戦争は終わった。彼が在籍する国は勝利をおさめたし、オッペンハイマー博士は成功者として世間から称賛された(TIME誌の表紙を飾るのが成功のわかりやすい形なのだなあと本作を観ていて改めて思った)。
その代わりに、その技術を用いた兵器でたくさんの人が亡くなり、苦しみ、そして新たな兵器の登場で世界の軍拡が進んだ。そしてオッペンハイマー博士は知的好奇心の先に進めた研究が世界にもたらした結末を見て自身のしたことへの深い内省とともに良心の呵責に悩まされることになった(実験成功以降、しばしばグラグラ揺れて感じられるようになった博士の見る世界が苦しい…)。
この「科学の功罪」や「科学者の倫理」のようなものは本作の大きなテーマのひとつなのだと思う。
そして、この様々な研究が進み続ける今の世の中でも現在進行形ではらんでいる問題でもあり、倫理の観点からセーブされている開発があるのも事実なんだと思う。
…と、このあたりの描写は楽しく観たのだけど、ストローズ氏の粘着怨恨により博士が政治のゴタゴタに巻き込まれて聴聞会で詰められてるシーンは観ててうんざりしてしまった…。
個人的な恨みや妬みに端を発する政治的謀略?って本当に面倒くさい…!
あの時代のファシズムや共産主義と、民主主義の対立構造や一方的な排除の動きも怖いよなあ。
あとわたしは日本国民として日本目線で太平洋戦争という歴史を見ていたけど、アメリカの目線、しかも兵士等ではなく為政者に近い者の視点で、戦争を見つめるという体験も新鮮だった。
(特に原爆投下の候補地、あんな感じで決められてたんだなと思うと改めてゾッとする。あの会議の場で日本のどこの人民を犠牲者にするかを選んだってことだものな…。)
ちなみに3時間は少し長かった…!
私は今とても幸せな環境でこの映画をみている
端的に言えば興味深く面白い映画だった。
日本人として生まれた側の立場で見られたのは大変揺さぶられて良かったなと思います。ただ、原爆の被害者や家族の気持ちとか、米国の価値観だとかは製作者とは立ち位置が違うのでマルっと放置しますね。
物理学の話だからもっと難解な映画かと思っていたが、物理学部分の内容は抽象的に可視化し割愛されていて、思った以上に物理学ドキュメンタリーエンタテインメントでノーラン臭いヒューマンドラマだった。
ユダヤの話でプロメテウスから始まるなんて偉く皮肉っているなとは思ったが、オッペンハイマーの「明日は我が身感」がプロメテウスを出す事によって引き立てられていたなとは思う。
確かに各国と水爆合戦になる前に手を打ちたい気持ちは分からなくはない。結局は軍拡競争下にいた一介の学者でしかなったわけだけれども。
ちなみに、私は日本人だし観ていて辛い部分もあったけれどもアインシュタインが特殊相対性理論を出した時点でいつか起こり得た事だとは思うので、オッペンハイマーを卑下しようとは特には思わない。科学って歴史と同じでひとりでにできるわけでも、一人の脳味噌から成り立つわけでもないし。
ただ映画の中の「日本人は諦めないから」とか「原爆を落として降伏するかは分からない」とかって言うシーンは悔しいやら、有難いやら、馬鹿馬鹿しいやら色々な感情が入り混じって涙が出た。様々な文献の中で当時の日本軍の「恐ろしさ」を見聞きするけれど、日本が言っているだけでは感が私の中で少なからずあったもののその疑念が少し晴れた様な気がする。
何より過去の戦争を経て現代の技術の中、生きている平和ボケした日本人としては『私は今とても幸せだよ』という結果論を、命をかけて築き上げた先人に伝える事が出来ないのはもどかしいなと思った。
また、子供が生きていく社会が出来れば平和であってほしいと切に願う。
ついでに映像のクオリティとして核実験の爆発についてはもう少し掘り下げてリアルに作れば良かったのにと思う。
広島、長崎へ向う原爆に涙
オッペンハイマーの苦労と苦悩が詰め込まれた3時間、どっぷりくたくたになる映像体験。
相変わらずノーラン監督スゴい。
どうしても日本人目線になるが、彼が原爆をようやく完成させ、予想を超える惨状となった広島長崎を知ってからの心境はよく描かれていたのではないでしょうか。そして彼を陥れて名声を勝ち取ろうとするもの。そういった人間や軍の上層部、大統領が恐ろしい。
彼が原爆を作らなくても、誰かが作っていた。
広島長崎に落ちなくても、他の国に落ちていた。
そんなifも容易に想像出来る。
ずっと冷静に客観的に見るよう努めていたが、完成した原爆がトラックに載せられ基地から出ていくところを見たら自然と涙が頬を伝っていた。
アカデミー賞に値するかどうかは分からないけれど、この映画で原爆に、そして広島長崎に興味を持ってくれる人が増えるならこの映画の意味合いはとても大きなものじゃないかと思います。
そういう意味でとても良い、観るべき映画でした。
241 ドイツ降伏したけど余った原爆どうする?黄色いサルに落としとけ!ええ実験や。
時間軸が出てこないので誰が誰と対比しているのか
出だしはさっぱりわからんかったよ。
またメメントとかテネットの類か?と焦る。
それと量子学と物理学がどう違うかも知っとかんと
アイシュタインとボーアの関係もわからんし。
ようやく原爆実験のころから目が覚めてきた。
苦悩する科学者として物語は閉じられるのかと思いきや
比重としては陥れられたヒーローの方が大きいのか
原爆投下から(それもヒロシマナガサキは直接的な表現なし)
さらに1時間ほどかけてアカ狩りの実態に迫る。
主役キリアンマーフィー
いつもクリスチャンベールと見間違うけどアカン?
エミリーブラント今回も強いです。
マットディモンこの人性格悪い役も淡々とこなすんや。
アイアンマン老けたなあ、これCG?
可愛い子フローレンスビューちゃんやん!ええのかこのシーン!
共演者もリアルでよかったです。
80点
イオンシネマ草津 20240425
パンフ購入 ¥1200高い!けど中身は充実
追伸
当然本作はアメ目線に描くがヒトラーに勝った!より
原爆投下日本撃沈に拍手を送る民衆にはゾッとした。他にも
アカいとヒステリックに糾弾する当時のアメは
現代のLGBTに共感しないものを問答無用で攻撃するのと被る。
また日本は非公式に天皇陛下の身分保障さえあれば降伏することも
伝えていたが兵士の安全のためにという大義名分のもと
アメは原爆投下という民間人大殺戮を行った。
(過去の汚点の)ジャニつぶしの奴らはこっちも追及しろよ。
ストーリー 7 演技 6.5 芸術 6 エンタ 6.5 総合 7 ...
ストーリー 7
演技 6.5
芸術 6
エンタ 6.5
総合 7
彼は、やりたい一心でできてしまって後悔するという、不倫もね、賢い研究者ってそんなもんなのかな。その意味で最後のアインシュタイン達観コメントが印象的。
米アカデミー賞7部門
間違いなく映画史に残る作品かなと思います。唯一の被爆国に生まれた人間の一人として、原爆に関する記録や物語は数多くみたり読んだりしてきましたが、初めて原子爆弾を作った人のことは考えたことがなかったので、とても興味深く観ました。オッペンハイマーは、1960年に来日していて、そのときの講演で「世界中から核兵器をなくしたい」と語っているそうですが、その複雑な心境の断片を今作が描いた彼の半生からも読み解くことができるように感じました。冷戦が終わり、束の間の平和が幻想であったかのようにウクライナ紛争やイルラエルのガザ侵攻などの破壊行為が続発していて、その背景には核による威嚇もあるので、今作と地続きのような緊迫感やリアリティを感じました。個人的にクリストファー・ノーラン作品は苦手で、今作も少々判りにくかったのですが、強いインパクトがありました。
反戦映画ではない
既に公開から3週間経過し、多くの方が講評をリリースしている中、敢えて自分なりの見解を申し上げます。
多くのコメントで明瞭な反戦映画と評していますが、私はそうは思えません。ごくごく普通の平凡で根は小心な一市民が、人より優れた知能を有して、そしてそのためにほんの少しの功名心と虚栄心を抱いたがゆえに、図らずも緊迫した時代環境に流されてスパイラルに狂気に陥っていった、一人の職人的科学者の壮絶な生き様を描いた伝記的作品だと思います。
オッペンハイマーの小心さは、二人だけの会話で顕著に現れます。彼は相手と目を合わしません。相手の目線を避けて会話していて、いつもおどおどとして喜怒哀楽を表に出さず落ち着きません。
そもそも本作には自然描写も、ラブロマンスも、アクションもなく、クライマックスの原爆の実験シーンを除いた殆どのシーンが室内の会話で進行します。その上、非常に多くの登場人物が現れ、各々が自己の意見や感情を言葉で表現していきますが、各人物のプロフィールや事情背景に一切説明はありません。
実に鬱々として延々3時間に亘って、短いカットを刻んで長回しは殆どなく、息つく間もなく速いテンポでドラマが展開していきますが、しかし迷子にもならず退屈することもなく、一気にラストまで観客を惹き付けたのは、さすがにアカデミー賞作品賞受賞に値します。
その一つの要因はBGMの見事さです。あまり感情を表情や言動に出さず、寡黙な主人公のその時々の心の内を如実に表していたのは都度奏でられる多種多様なBGMでした。アカデミー賞音楽賞受賞は当然の結果です。
もう一つの要因は編集の見事さです。クリストファー・ノーラン監督のあの独特の、頻繁に、そして小刻みに時制を行き来するカット割り、カラーとモノクロを織り交ぜて、何の注釈もなく組み合わせる映像構成は、観客を翻弄し大いに戸惑わせます。それでも迷路に陥ることなくスクリーンに注視させ続けたのは、偏に編集の技量によると思います。アカデミー賞編集賞を受賞したのも宜なるかなと思うしだいです。
狂気に陥った天才科学者を描いた点で、『ビューティフル・マインド』(2001年)に通じるようにも感じます。幸いにもオッペンハイマーは、天才性の人並外れ度合いがまだ常識的だったのでしょう。精神の異常と正常の境目で留まったのですが、ただそれゆえに一般市民としての苦しみに苛まれたのだと思います。
原爆開発は、彼にとっては一科学者としての研究目標達成の結果に過ぎなかったのであり、その成功によって普く称賛されたことは、彼には寧ろ意外で訳が分からない結末だったのではないでしょうか。
ただ原爆実験に成功し、どこか照れくさげに胸を張る彼の姿は、私には京都高尾の古刹・神護寺が蔵する「伝源頼朝像絵画」がオーバーラップして見えました。偉大な業績を成し遂げた自信と達成感、そして充足感を発散しつつも、結果への戦慄感とこれからの未来への漠然とした不安感が併存して見えた気がしました。
一方で、原爆が決して順当なプロセスを経て計画通りに完成したのではなく、奇跡と偶然の結果として描かれたのは非常に印象的でした。オッペンハイマーを含め、内心では確証が持てないままに試行錯誤を繰り返し、紆余曲折を経て漸く辿り着けたゴールであり、関わった人間たちの叡智と探求心、崇高で気高い使命感によって成し遂げられたのであって、それゆえにその時々に携わったスタッフの極度の緊張感と不安感がスクリーンに溢れていました。
将にオッペンハイマーという科学者を中心に据えた、原爆開発という科学的研究に集中し実現に導いた人間たちの集団ヒューマンドラマであり、その象徴としてリーダーのオッペンハイマーにフォーカスした作品だと思います。
物理学の人間の様相、その関係性
Fission.核分裂爆弾(原子爆弾)がアメリカでどのような過程を経て作られたのかを描いたクリストファーノーランの作品は様々な意見が見られる。
原子爆弾が広島と長崎に落とされ、それによって多数の無実の人々の犠牲者が出たことは日本だけでなく世界の永遠の歴史として刻まれ、2度とこの惨劇を繰り返してはいけないとして後世に語り継がれていかなければならない。
事実としてこのことを日本はアメリカに対して決して許したことはないし彼らはその代償を払い続けなければならない。
私はノーラン信者でもなければ共産党員でもないことを言っておくが、ここでこの作品のことを日本の被害の映像が流れていないからだめだ、とか訳のわからないことを言っていると日本の映画リテラシーの欠如が露呈してしまうのでやめていただきたいと思う。
日本は被害者であるが我々の使命は過去の歴史から学び世界の代表としてどのように対策して国同士が手を取り合える策を考え発信し続けられなければならないのだ。日本人としてだけでなく皆同じ地球人としての矜持と発想を持たなければならない。今を生きる人々はほとんどの人が経験していないのだ。日本のテレビや新聞、学校で流れる映像や漫画を通して見てきたもの、聞いてきたことを悲壮感に浸り、何も知ろうとしないで被害者ぶり続けるのは過去犠牲となった人々に対してあまりに無神経で失礼まである。
映画の話に戻るが、その影響力は現世にまで及ぶ1900年代前半、当時は物理の革命期にあり、その世界最先端をゆく学者たちが集まり、アメリカの叡智を結集してナチスドイツと鎬(しのぎ)を削る様が描かれている。歴史的な背景や当時の人々の気持ちを見ていくと理解はできる。
知ろうとしないのは罪である。
我々は映画を通してこの過去とそして未来に向かう道を正しく導くために向き合い続けなければいけないのだ。
印象的なのは最後に、オッペンハイマーがアインシュタインに一言、I believe we did.(私は我々がしたと確信している)と言い放ちAlbertは背を向けて歩いていくシーンは世界を英断に導くはずだった答えがあまりにも滑稽で恐ろしい一言で閉められている。
天才たちでさえも想像できなかった、ほぼゼロの確率、大気に核分裂反応が広がり世界を破壊する。プロメテウスが気づいた時にはあまりにも遅すぎる。
永遠に消えない負の遺産は今我々の世界に残されている。
善でも悪でもない…人
緊張感あふれる映画だった。
安っぽく善人ぶったり悪人ぶったりする演出をせず真っ直ぐに人間オッペンハイマーを描いていたのが素晴らしい。
●殺人兵器が生み出されるのに高揚感を感じた。人々の歓喜に心が高鳴る。
その描写から逃げなかったノーランは素晴らしい。
●背景をよほど勉強していないと理解できない内容。なのに引き込まれる。まさに映画の妙だ。内容自体を観客に見せることをしなかった。この映画が見せたいのは人間の熱量だ。PVのようにそこに特化している。ノーランの英断と思う。
●PVを見ているようだった。早いカットバックは最早、セリフの内容を観客が追うことを想定していない。感情だけがほとばしる。
●成功の時のオッペンハイマーの演説シーンはものすごい演出だ。歓喜の涙が絶望に見える。すごい。
●常に音楽が鳴っている。その戦略もいい。
原爆投下は許されることではない。何を言われても言い訳にしか聞こえない。
原爆はレンジでチンされて殺されるようなもの。平和のためと言われても、誰の平和だと言いたい。
しかしこの映画の凄まじいところは、自分がアメリカ人でその当時に生きていたら、原爆誕生に歓喜していたと思わせるところにある。
ただ単にオッペンハイマーという一人の科学者を描いているのではない。人間が業を背負った存在であることを描いている。
ノーマンらしくない
これまでびっくりするような映像で魅了してくれたノーマン監督だったが、良いか悪いかは別にして、今回の作品に関してそれがなかった。
なんとなくシンドラーのリストを作ったスピルバーグ監督のような雰囲気の作品になっている。
私のコンディション…
2024
60本目
いやぁ〜…ここまで難しくする必要あったのか…
でもその必要性を理解するにはこっちサイドのコンディションを整えてからでないと無理だ。
3時間常に会話が繰り広げられる。
もう一度観たいが、少し待って自宅で最鑑しよう。
自分の理解も低く大枠のみ観たって感じなので、この評価。
ただ、原爆を落としてアメリカ国民が手放しで喜んでいる様は異常だと感じた。
これは戦争を知らない世代であり、日本は戦争に関与しない国だからか。
戦争ってお互いの正義の為に殺し合いをする。
いつだって仕掛けた人間は戦場にいない。
このオッペンハイマーもその1人。
映画館で楽しまなければいけない素晴らしい映像と音
近年のトレンドである、映像や音響に拘ったスクリーンにピッタリの映画。ストーリーをスムーズに把握するには知識の有無が問われるが、日本人として見なければならない。原爆被害者が描かれていない点がよく言われているが、それもまたリアルとして捉えることもでき、ぼくはいいと思う。
原爆の責任とは、誰に帰するか?
良いところ
史実かはさておき天才的な科学者が制限なしに最先端の科学発展を指揮する欲望を隠せない正直さと狂気を感じられる展開
それでいて予測できていた結果に対し、開き直ることなく良心を持ち続けることができたという事実
ん?なところ
ネタバレ見てから本編みた方がいいくらい情報量が多すぎる。メモでもとらんと一度で理解するの無理やろ
原爆開発プロジェクト(マンハッタン計画)のリーダーとして、物理学者として熱意と高揚感にうなされるような前半と完成後の後半の対比が隠と陽のように格差があって、2本の映画を観ているよう。原爆完成時点であと1時間以上残っているというところで、これはあくまでオッペンハイマー博士の物語であって原爆開発の話ではないと見せつけられた。
一応、物理学科の出身としてはなんらかの線端理論に対し実現させる計画があったら、そりゃもう楽しいだろうというのは理解できる。それに原爆はここでやらなくてもいづれどこかの誰かが確実に完成させていることは明白でその意味では最初の名誉はあっても責任を全て負う必要はないのは理解できる。とは言え、その開発が楽しかった、と言うのは負い目になるだろう。使ったのは政治家だが開発を楽しんでたのは自分なのだから。
過去に追いつかれると言ったセリフも言ってしまえば取り返しのつかないことへの呵責であって一生消えない傷みたいなもの。これは原爆だからではなくいろんな事に当てはまる訳で被曝者にとか、日本に対してのみ感じる必要はないと考える。
とは言え、まあ政治家はある種の異常さも描いていたな、こいつらこそ真っ先にそして最大限呵責を味わうべきで、全く良心のかけらもない描かれ方してたのがまあ、納得。
戦争モノは苦手、という先入観でずっと尻込みしていて、もうすぐ上映終...
戦争モノは苦手、という先入観でずっと尻込みしていて、もうすぐ上映終了になるよというタイミングで飛び込み鑑賞。
ゆえに、またもやほぼ予備知識を仕入れてなくて大失敗。全然話についていけない笑
物理の知識はもちろん、アカ狩りがあったなんて歴史的背景も知らなかったので、とくに前半は
「???」
の連続でした。
物語は、3つの時系列が行ったり来たりして進みます。うち一番新しいエピソードがモノクロ調なんですが、最初はこれが逆に混乱しました。
「モノクロということは過去の古いエピソード?いや、どうも違うっぽいが・・・」
などと、物語を正しく掴むのに時間がかかりました。
が、それでも、後半以降、物語の幹の部分は理解できたと思います。
戦争とか、革命モノなんかもそうなんだけど、こういう作品で私は頭にいつも【洗濯機】が浮かんできます。
国民はみんな洗濯機に入れられて、スイッチオン。
巨大な渦に巻き込まれて、上層の扇動に乗せられるまま、善悪を見失って突き進む・・・。
洗濯機が止まるその日まで、中に入った人はなす術なく渦に身を任せるしかない・・・。
オッペンハイマーの原爆投下前後の心理の動きは興味深かったです。
しかし彼、想像力が欠けすぎではないですか?
史実に基づいた話なので本人の心の襞も事実に沿って描いてるんだろうけど、科学者ってこういうものなの?というクエスチョンが私の中に浮かびました。(「科学者って」って括りは偏見かもしれないが)
目の前の対象物を制覇する(たとえばトリニティ実験の成功)には全精力を傾けるけれど、その先(たとえば実際の原爆投下後)の自分の心の翻りは、やってみて初めて知るってのはちょっと頭弱すぎではないか。
卓越した頭脳の持ち主に「頭弱すぎ」というのも失礼だけど。
開発者本人なら、それがどういう影響を及ぼすかは分かっていたよね?原爆作っといて、実際落としてみたら被害の甚大さに呆然として「私の手は血塗られた気がする」とか、今頃になってそれ言う???
そのへんも、いったん陥ったら前後不覚になる【洗濯機】の怖さなのかもしれないけれど。
そういえば、今まさに、世界でも、自分の意志に関わらず洗濯機に放り込まれてしまった人たちにいますね。
ベンキョができるとか世紀の大発明をしたとか、そういうことと関係なく、人間って根っこの部分で流されやすい愚かな生き物なのかもしれない。悲しいけれど。
プロメテウス
人はどうしょうもない生き物だし、自覚してもう何百年も経ってるのに全く成長してない
と改めて認識させられた。
恐怖によって止められない大衆迎合と暴走、
倫理観、道徳感の喪失… 戦争の大義は平和ではなく自国の安全… あの実験のタイミングで止められなかったのかと思う。
欲望と恐怖は歯止めが効かない。巨大な石を山に向かって登り坂を押して、頂上については行を転げ落ち、また登り坂を押す…
そんなことを今の世も続けていると感じさせられた。
いつの世もあるなら反省し次起こさないこともわかっているはず。受容と利他の精神で過ごせるように
自身の感情の持ちようが難しい作品
寝不足で鑑賞したせいか前半は何度か寝落ちしましたが、内容的に引き込まれるものがなく進む前半。
後半は「トリニティ実験」「オッペンハイマー事件」等で眠気は飛び作品を楽しめました。
原爆投下ではオッペンハイマーに苛々、オッペンハイマー事件ではストロールに苛々と感情が右に左に大きく振れて鑑賞が難しい作品に感じました。
台詞でテーマを語る事・・・。
最後にアインシュタイン博士が作品のテーマ(人間の内面的なもの)を台詞で語ってしまうのですが
栄光も挫折も惨劇も
全てこの為だったと納得させられてしまいました。
台詞でテーマを語る・・・それを納得させるにはここまで段取るべきなのかもしれない・・・と色々考えさせられました。
流石はアインシュタイン博士
出番は三回ながら、美味しいところは全部持って行ってしまっていると思いました。
なお、この作品において
あるべき怒りを語られる方結構いらっしゃって
それは当然かつ必然なのですが
それが故に日本公開が遅れた事は頭の隅に置いております。
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