オッペンハイマーのレビュー・感想・評価
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ミステリー小説の読後感
オッペンハイマー。
なによりその音がいい。
ベッケンバウアー、メルテザッカー、シュバインシュタイガー…。おぼえにくそうなのにおぼえてしまう。つい、つぶやきたくなる。唱えたくなる。ブツブツブツ。
短いショットをバンバンつなげて複数のプロットを並行してみせていく。あれ?観ている自分はいまどのプロットにいるんだっけ?と感じさせない。
ひとつのプロットはモノクロで、中心人物が異なる。
タイムリープとも違うんだけれど、時空を区切ってプロットし、破綻なく効率的に最終地点に連れて行き、伏線を回収する。
良質なミステリーを読み終えた後のような爽快感です。
歴史を変えてしまった苦悩
今も続く戦争と核兵器の思考作品
原子爆弾を開発した天才科学者が巡り合わせの中でそれを作り、そして戦争で投下された後の終戦後「原爆の父」と呼ばれた先にどのような人生があったのか。
オッペンハイマーを中心とした科学者の成功と苦悩と彼をとり巻く人々の物語だ。
前半はカラーとモノクロと時間軸を置いてかれないように観ていたけど気づけば3時間集中して観れました。
物理学300年の集大成が核兵器…
国を守るため自分が開発したものにより予想よりはるかに多くの人が犠牲になった事実を突き付けられるのはとても想像し難い。
いつどこに投下するか判断した訳ではなく直接手を下した訳でなくとも科学者の自分が作ったものであることは変わらない。
そしていつの時代も成功者の周りは色々な思惑が動いている。
もし時代が違っていたら、何かひとつ違っていたら天才科学者はこの世に何を残しただろう。
時間とお金をかけた核実験が成功し国家機密の作業に従事していた人たちが喜ぶシーンはそれが投下された国の未来を知っている(学んでいる)日本人からすると、なんとも形容し難い気持ちになった。
それでも、原子爆弾が作られるまでの事やその後の彼らを知り考える機会になったと思う。
核に対する懸念、心配が恐怖になる
大変見応えありました。3時間という長さを感じさせませんでした。
(でもさすがに、エンドロール途中でトイレに行くため出ました。)
原爆開発計画の掘り下げではなく、原爆開発に携わった主人公を掘り下げた作品です。
原爆投下に際して、オッペンハイマーやその他科学者や政治家の間でどれだけの議論があり、逡巡があったのかどうかという点は、とても気になるところですが、残念ながら作品の中ではそこがポイントではないと思いました。また、作品で描かれたものが事実かどうかはわかりません。ただ、オッペンハイマーの信じた真実を描いたのだと思います。
戦時下の開発競争、そして冷戦へと恐怖と危機がエスカレートしていく中で、各個人の選択はやむを得ない選択をしたのかも知れないが、その結果が破滅への道だということを思い知らされます。
まさに、プロメテウスの火だという言葉が沁みました。
二度と使わせない・使わないために、私たちはどう行動すればよいかを真剣に考えるようになる映画だと思います。
一方で、ゴジラと一緒に超兵器と自分自身を葬った芹沢博士の選択の理解が深まりました。
予習して映画館で観て欲しいです
映画としては大いに評価されるべき作品だが…
若い人にはお勧めしない
怖かった
事前情報や知識があればあるほど内容への理解がより深まる作品とは聞いていたので、わかっていたけれど自身の勉強不足をまじまじと痛感‥
知識を増やしてからまた改めて鑑賞したいです。
原爆についての知識も人並みかそれ以下、オッペンハイマーの名前はわかるけど‥程度のかなり勉強不足も甚だしい人間が観て強く印象づいたことを残すと、
怖かった‥‥‥
冒頭は、映画の中で語られる異国の一人の科学者の人生を振り返って垣間見てる〜といった客観的な視点でみれていたけど、
原爆開発が開始され、「日本」や「広島」という単語を聞いてからは、「世界有数の科学者たちの手で日本人をたくさん殺す兵器が出来上がっていく」という、これが使用された現実と惨状を先に知っているからこその恐ろしさが込み上げてきて、途端に怖くなってきてしまった。
原爆完成か否か、爆破前のカウントダウンで、努力してきた科学者や期待を込めた軍人が成功を祈る中、「あ、ついに完成するんだ‥」とじんわり戦後の死のイメージが自分の頭に湧き上がってきて、爆破まで2分前〜のコールのとき気づいたら怖すぎて泣いてた。
もちろん明るい気持ちで終われる映画ではないけど、何年後かに観たら感じ方や気になるポイントが変わりそうです。
日本視点でみてしまうと面白くない
「長い、無駄にのばしている」「論点が違う、ズレている」「原爆の被害をちゃんと描写してほしい、腹が立つ」などのコメントを読んでから映画を観た。それでこのようなコメントは日本視点で映画を観てしまっているからだと思う。何よりこの映画は、原爆への謝罪や弁論のために作られたものでは無い。また監督の焦点は「オッペンハイマー」であり、原爆ではない。
まず、この映画自体オッペンハイマー視点と、オッペンハイマーを客観視した映像しかないから、オッペンハイマーに焦点として作られたものである。論点が違うとかではなく、この映画の論点はここなのである。原爆を投下したシーンがないのも、オッペンハイマーの視点では実際見ていないので当然。実際のシーンがなくてもそれはオッペンハイマーの視点から十分に描写され、表現されている。
長いという意見も、日本視点でしかないと思った。原爆が落ちたことは通過点にしか過ぎない。大事な部分ではあるが、それも踏まえて通過点と言いたい。オッペンハイマーが原爆を作るまで、そしてその後という彼の研究を主とする映画なのでこれらを説明するには適切な尺。日本への核攻撃にて、「日本に?あ、そうなんだ」というシーンに怒りを示すコメントもあったけど、むしろそれが狙いというか、何十万人と人が死ぬような出来事をそんなアッサリという残酷さや冷淡さを一言で示すセリフで淡々としてるあの雰囲気を上手く表現出来たシーンだと思った。もちろん、怒る気持ちもわかるが、この映画自体論点はそこでは無いと思ったため、そこを別にしないときっと楽しめない。オッペンハイマーは物理学者であり、政治家でも、軍人でも無い。しかし、研究にて誕生させた爆弾が戦争で使用されることや、原爆の父という名で知られるその心情をおもうと色々考えさせられる。日本の視点とオッペンハイマーの視点を行ったり来たりしてみると何度も涙が流れた。
確かに一般的な映画に比べると長いが、蛇足のようには思えなかった。
個人的にノーラン監督が好きであるので、映像全体としては、少し難しい設定や、複雑な構成から彼らしさが出ていてまたやってくれましたねという感想だった。難しいとか分かりずらいという意見にはそれが見どころだと言いたい。
事前知識は必須。
科学・庶民・政治
通常のIMAXで鑑賞。
◾️感想・解釈込みのあらすじ
序盤はノーラン監督お得意の美しい宇宙。
IMAXレーザーGTで見たかったな〜と呑気に鑑賞。
研究室の雰囲気がリアルだなあと感心。
ピュー演じるジーンが死に、三位一体実験へ。
ジーンは作中で心理学を象徴していると思った。ジーンが死んでからは、オッペンハイマーは自我よりも大きな流れの渦中の人物となる。
最後は聴聞が中心となる。政治とはまさに、自分の立場を守るために陰で動くことだ。表舞台に立ちたがっていたのはストローズで、オッペンハイマーに投影していた?この辺りはストローズの件に関する私の前提知識が足りない。
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◾️要所要所の感想
爆発の予期不安は、オッペンハイマーのメタい発言があっても恐怖しました...いつ爆音が来るのかと...
結局、一番大きい音は熱狂する町の人たちの足踏みだったのが印象的です。戦争のイメージ、軍隊の行進も彷彿とさせました。
熱狂はその対象のためではなく、熱狂する人たちのためにある。
◾️その他
・デインデハーンは冷たい美で存在感。
・ラミも存在感。
・1日中育児をしたキティが「赤ん坊が泣いてるぞ」って言われて冷める反応がそうなるわなって感じだった。
◾️上映形式
IMAXレーザーGTで見たかったけど上映期間が短かった。。。題材が題材というのもありますが、あまり娯楽ではないので、リピートが見込めなかったからかな?
自身もアニメ映画に出演している声優の内山昂輝さんが、アニメ映画がIMAXレーザーGTを占領している状況に苦言を呈していましたが、IMAXレーザーGTの劇場が増えて欲しいですね。
リピートするかどうか...もう一度観たら気づきはありそうですが、小心者なのでしばらく爆発がある映画は避けたいです。
最後の聴聞は35mmフィルム版で観たいかなあ。
◾️追記
日本のことを描こうとすると、日本の庶民・政治を描かなければならず、流石に「オッペンハイマー」には収まらない。軽薄になるよりも匂わせ程度の方がマシなのではなかろうか。
他の方々もおっしゃる通り、被害に対する想像力は日本と他国では違ってくるとは思いますが。中途半端になるよりかは、道で嘔吐している人からの予期不安、その威力の関する科学方面からの最悪の説明と最後の展開、また人間の性質に純粋に恐怖しました。(科学方面からの説明が薄っぺらいんだよ!という他の方のレビューを読んで、確かにと思いました。トン単位の賭けや、ゼロに近ければ無視するんかい!計算を学べ!とも。)
オッペンハイマーの台詞にもあった、これから起こりうる不確実な未来への恐怖がテーマと感じました。
P.S.
ノーラン監督は、アメリカへの皮肉ジョークを毎回入れてくることも押さえるべきポイントかと思います。
テネットではブルックスブラザーズ。
今作ではアメリカ英語と、大統領の描き方(京都は新婚旅行で行ったとかの雰囲気)にシニカルな目線を感じました。
若かりし時代の彼の頭に浮かぶ核反応イメージと焚火の炎の揺らめき、プ...
若かりし時代の彼の頭に浮かぶ核反応イメージと焚火の炎の揺らめき、プロメテウス云々の逸話と宇宙が幾重に描写され、物理や自然科学、人類史の永劫性、普遍性を感じながらのスタート。
余談だが、設定の時代が近いこと、原野を夫婦二人が馬に乗っているシーンや焚火と宇宙の交差(交信)表現は昔の映画「ライト・スタッフ」にも重なり、原子爆弾と大気圏外という「神の世界」に人類が脚を踏み込んだというテーマの観点でも同じくで興味深い。
原子爆弾投下時が物語のクライマックスと思っていたのだが、その時の彼含めた周りはその程度かと思うくらい緊迫感がなく、それもそのはず実験時の爆発の衝撃描写が弱くて、もしこれが事実だとするなら、立ち会った多くの人間が広島や長崎をまさかあれほどまでの惨事に招くとは思わなかったのではなかろうか。一方でその淡々とした描写によって「兵器」ではなく「物理学研究」の成功か失敗かという科学者視点の物語に挿げ替えることができたのだが。
とはいえ、原爆の被害者をイメージさせるシーンが出てくるが、R15だけにもっとインパクトある史実に近い演出をして欲しかった。あまりに弱く、あれでピンとくる(被害想像できる)のは日本人だけだと思う。
後半は終戦後のオッペンハイマー及び関係者の詰問シーンが続き、これはアメリカ人にとっては大事なことかもしれないが、私にとってみればもうどうでもイイことで、唯一、「J・F・ケネディ」に耳がピクリと動いた。彼はやがて暗殺されるのだが、暗殺したのも原子爆弾を作って落としたのも科学者でも政治家でも国民でもなく、アメリカと言う名の「概念」みたいなものがそうさせるのだ。やる前に理由をこじつけ、終わった後にその歪みの責を他人に負わす。現在も続くその危うさをこの映画は伝えているように思う。
メメントに一番近い
原爆製造までの過程とその後を淡々と描く
日本人としての後味が残る
まだいろんな考察を読んでいない中で、率直な感想です。
私がこの映画を観た背景で、60%くらい占めるのは、
ロバートダウニーJRが好きだから。
そのRDJが、原爆開発に携わるという役は、
どうしてもアイアンマンと重ねてしまい、
非常に良い配役だと思ったから。
あとはクリストファーノーラン監督とか、ビッグネームが多くタイトルも受賞している作品のため。
結論、やはり原爆を扱うテーマのため、
なんともいえない「悪い後味」が私には残った。
オッピー自身は葛藤がありつつも、
やはりアメリカの人間。
当たり前にアメリカ側の側面を映し出すことが多い。
これは戦争を題材としているため、観る側も
「史実」として受け入れなければならない。
私はなかなか直面することが30歳を過ぎても難しいし、正直、誰がロシア側のスパイだろうがどうでも良い。
冷戦のくだりは、そんなくだらないことに、
感情移入出来なかった。
また、最後の裁判風な詰問シーンは、
クリストファーノーラン味が満載だったが、
複雑ではっきりとは理解できなかった。
そういえばノーランの作品は、こういうテイストで
一回じゃ飲み込めないことが多かったのを忘れていた。
あまり予習をしないで観たため、エンドクレジットを観た時に、かなりの豪華メンバーに驚いた。
こういう題材を受け入れるためには
自分が無知すぎるため、もっと勉強しようと思った。
わかりづらい
予備知識を入れずに観に行ってしまい、そこはもったいなかったのですが、見てよかったと思える作品でした。
ただ、登場人物と、並行して進むストーリーがわかりづらくマイナス。理解した上でもう一度見たいです。あと、聴聞会の場面が長すぎるように感じました。
戦争物は避けてきたのにこの作品を見ようと思ったのは、3時間かけるのはどういう作品なのか気になったのと、アメリカ側の視点を見てみたかったからです。
実験や原爆投下の後人々が喜ぶシーン、爆弾が運ばれていくシーンはあんまりだと思いましたし、原爆の被害を人数だけで示すのはあっさりしすぎか。オッペンハイマーを描くには実験だけで十分という判断だったのかもしれませんが。実験で結果はわかっていたのに、なぜ止められなかったんだろうなとも。
オッペンハイマーがピカソの絵を見る場面の意味も気になったところでした。
よくもまぁこんなものを作ってくれたなと
この映画。『オッペンハイマーは、悪人か仕事人か』を考えると、良くもまぁこんなものを作ってくれたなという程の泥沼にハマります。
彼は悪人であった。数十万人は死傷して、土地に甚大な被害を及ぼす爆弾を作った。たくさんの人や物は殺されたし、失われた。
彼は仕事人であった。国の為に爆弾を作り始めて、自分の意思が介入しないところで落とされた。人々は作った人では無く、落とした人を憎むだろう。
この2つ。どちらだろうと考え始めたら沼にハマる。
内容などについての話。
素晴らしい点
・賞賛する人々があげた歓声は、原爆被害者の阿鼻叫喚に聞こえる。
・賞賛と糾弾両方を描いた。
アレ?と思った点
・物理学者や科学者の名前、情報が多すぎて覚えにくい。
・共産主義などの知識が必要
つまり教養が必要なんですよ。教養のない僕には、知識の要らない善悪などの倫理や哲学の面で考えるしか無かったんです。事前知識があれば数倍楽しめそう。
力作だが、情報量が多い
学生時代から原爆完成、投下までのオッペンハイマーの半生を断片的に描きつつ、彼がその後スパイ容疑を受け審議を受けるシーン、
そして原子力委員会メンバーであるストローズが商務長官指名の承認をかけて審理を受けているシーンが同時平行で描写されていきます。
この三つのシーンの時系列をあらかじめ把握しておかないと理解が難しいかもしれません。
そして登場する人物も膨大であり、二つの審議ではそれらの人名がどんどんと出てくるため正直一度の視聴で全てを理解するのは困難な気がします。
表現は等身大的で、オッペンハイマーという人物を特に善としても悪としても描いていない印象を受けました。それは受け手の判断に委ねられているというか
いかにして原子爆弾が生まれることになったのか、その学びにはなると思います。
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