劇場公開日 2024年3月29日

「科学者の追求と想像力の欠如を体現した映画」オッペンハイマー むせるさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0 科学者の追求と想像力の欠如を体現した映画

2025年11月24日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

知的

驚く

遅まきながら「オッペンハイマー」鑑賞。

WW2末期の人類初の原子爆弾開発という被爆国としては少々複雑な心境となる実在した人物の半生を描くドキュメンタリー作品。

感情的に訴えるのではなく、冷静に史実と関係者へのインタビューを基に脚本が進むみ、歴史の教科書ではほぼ記載されるコトが無い「非戦闘員である民を大量虐殺した」「先住民(インディアン)の土地を開発基地に徴収、追い出す」事実は否定できない。

しかも「真珠湾攻撃をされたから原爆を落とされて当然!」「戦争を終えることが出来た」と主人公はじめ開発に携わった関係者は正当化しているが、単に「イギリスを救う口実」で作戦開始前に既に大日本帝国側の暗号はアメリカ側に傍受されて主要な艦船は予め避難されたためそれほど被害はなく軽微だった。

まあのっけからラボ(研究機関)在籍時に人種差別に感情的になり、教授の机上にある林檎に劇物を注入して殺害しようとしたり、共産党員(愛人関係)との交流や肉親への公私混同(実弟雇用)など、「倫理観と想像力」が欠損した科学者(博士)だから完成できたのかも?と納得する。

しかし、物語半ばから大量殺人の罪の呵責に苛まされ 原子爆弾投下&水爆開発凍結を大統領に具申するもその手前の軍関係者に阻まれ、結果実行されてしまう。

クライマックスはライバル関係にある博士との訴訟(公聴会)?はもっと短くしてもよいのでは?と感じる。

要因としては...
・当初はベルリンに落す計画だったがヒトラーの自殺&早期降伏で計画が狂い、目標消失
・戦争終結に動いたドイツと誰も終わらせ方を知らなかった日本の対比
・ソビエト連邦との開発競争
・脳筋のアメリカ大統領と運が悪かった

むせる
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