劇場公開日 2024年3月29日

「核保有という緊張」オッペンハイマー さささんの映画レビュー(感想・評価)

4.0核保有という緊張

2025年3月18日
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鑑賞方法:映画館

映画館など、3時間作品とだけ向き合う環境で見ないと、評価は難しい気がした。映画館で観られて良かった。

作品の終わりに、そのあと続く冷戦時代を考えた。
私はその時代の、大国が核爆弾を所有したまま睨み合っている世界を生きたことは無い。「この瞬間にも、どこかの国の誰かのひとつの過ちで世界は終わるかもしれない」というのが、妄想ではなく今ある現実だという心地を知らない。もちろん今も核保有国はなんなら増えているが、今よりもはるかに兵器として容易く使用する心づもりで二国間が一髪触発であった世界と、今の世界の人々の心理状態が同じとは思えない。
その時代の世界に生きながら人々が感じていた緊張感を、そういえば私は手塚治虫作品から強く感じていた。その時を生きてその緊張を作品に詰め込んだ天才を思い出したときに、ふとオッペンハイマーは2020年代の世界の作品だな、という感想になった。私たちは、日本だけではなく世界の私たちは、その緊張を知らない。

ささ