劇場公開日 2024年3月29日

「日本人ゆえの踏み絵感」オッペンハイマー 克晴さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0日本人ゆえの踏み絵感

2024年4月10日
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時系列は入り組んでますが、ノーラン監督作の中ではかなり分かりやすい部類に入るかと。
3時間、緊張感が持続し続ける構成はさすがの手腕。
同じく3時間あった、マーティン・スコセッシ監督のキラーズ・オブ・ザ・フラワームーン同様、登場人物の多さに対して各人物の説明がやや弱く、メインの3〜4人以外は関係性が把握しづらいのが難か。

主題といえる原爆に関しては、日本人としての知識や倫理観が、理解を深める材料にも、理解を妨げる壁にも感じられました。
世界唯一の被爆国として、原爆の悲惨さを訴えることは本当に大事であるけれども、そんな意識が逆に開かれた議論を妨げてはいないか、とは常々感じておりまして、そんな二律背反な意識を本作は激しく揺さぶってきました。
いやはや…重い作品でした。

克晴
克晴さんのコメント
2024年4月11日

コメントありがとうございます。
様々な意見を読めば読むほど、それはこの映画のレビューなのか、原爆そのものへの議論なのか、いやそれを区別する必要はあるのか等等、正直混乱してしまっています。
そうした議論や混乱を呼ぶこと自体、本作が良作であることの証ではあるかも知れません。

克晴
Mさんのコメント
2024年4月11日

「日本人としての倫理観」が理解を深める材料にも壁にもなる、という指摘は、確かにそうだと感じました。
ここでのレビューをずっと読んでいるのですが、まさしくその通りだと思うことが度々です。

M