「アインシュタインの帽子の飛ばされ方」オッペンハイマー cinema2014さんの映画レビュー(感想・評価)
アインシュタインの帽子の飛ばされ方
エミリー・ブラントが良かった。
アインシュタインの帽子の飛ばされ方は、あれが正解だったのだろうか。テーマが近い『風立ちぬ』における飛ばされ方をあらためて確認したい気になった。
相変わらず「複雑」で「難解」、炸裂する音と光、圧倒的スペクタクルと美的センス!
やはり映画は映画館で体験してこそ!
とは思いつつ、どうも今回はダメだった。
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圧倒的な音と映像で語られる、戦争とイデオロギーの対立に翻弄された天才科学者の栄光と没落を描いた壮大な物語…ではあるのだが、叩き上げの政治屋が天才科学者への個人的な恨みを晴らして成り上がろうとするものの結局うまくいかない、というお話。
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180分間に、このショットを見られて良かったという実感はなく、映像と音には驚くものの、次の瞬間には「10年前に『インターステラー』でじゅうぶん(いやむしろこれ以上のものを)観たぞ」と思ってしまう。
SFに振り切った『 #インターステラー #interstellar 』や、『 #テネット #TENET 』では楽しむことができたスペクタクル性が、あるいはめくるめくスペクタクルを期待して観た『 #ダークナイト #darkknight 』シリーズでは不満を感じなかったそれが、『 #オッペンハイマー 』では単にショットが撮れていないことの隠蔽にしか感じられず、当然、敵軍が押し寄せるまでの時間的猶予が無いという設定をきちんと短い時間で処理してみせた『 #ダンケルク #dunkirk 』のような慎ましさは微塵もない。
たしかに、誰かの半生を「真面目に」描こうとすれば安易に話を切り詰められないのは分からないでもないのだが、さすがに180分もかけなければ撮れない内容とは思えず、粘着的な聴聞会と公聴会をグッと省略するだけでも2時間を切れたのではないか。
フローレンス・ピューのベッドシーンやキリアン・マーフィーが聴聞会で文字通り丸裸にされるシーンなどは最悪で、「見せられるものは全部見せてやろう」という品の無さが漂っているとしかいえず、爆発の炎や光の映像と同列に扱われるスペクタクルとしてのヌードに、もはや怒りを通り越して呆れるのであった。
撮る人が撮ればそれだけで涙が出てもおかしくはない、ニューメキシコの大地を馬で駆けるシーンさえ、まるで「伝記で乗馬が言及されていたからとりあえず撮った」かのよう感じられ(言及されているかどうかは知らない)、そこに何かしら映画的な馬の疾走があるわけでも、物語を語る上で必須のシーンだと感じさせる説得力があるわけでもなく、あるのはただ上映時間を引き延ばす一連の映像だけだった。
フォロウィング、インソムニア、プレステージの3作は観れていないので観る。
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