劇場公開日 2024年3月29日

「映画としては圧巻、でもモヤモヤはする」オッペンハイマー alvoさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0映画としては圧巻、でもモヤモヤはする

2024年4月8日
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鑑賞方法:映画館

原爆の被害を描いていないことへの批判も勿論わかるけど、映画としてこれはこれで完結しているとも感じる。見応えあったし、決して結果を軽んじたものではない。

一瞬だったが顔の皮膚が吹き飛ぶ様子や黒焦げの遺体の脳内映像が出ただけでも、日本人としては最低限表現してくれたのではとは思う。

オッペンハイマーはただ天才科学者なだけだった。
そして科学者としてドイツに核実験の先を越されたことをきっかけに、研究魂が爆発して、抑止力を言い訳として開発に携わることになってしまう。作っただけ、まさか本当に使うとは思わなかったと言えば良い。でも反対署名はしなかった。

そしていざ自分の手で作り上げたものが20万人を殺したとなり、これ以上は、と反対をし始める。
しかしそれを口実に今度は私怨で彼がロシアのスパイであったと嫌疑をかけられ、また胸糞悪い公聴会にかけられる。

トルーマンも落としたのは自分だ、日本人が恨むのは自分だ。とまるで手柄のように言い放つ。腹立つ。

原爆が無事、大気の連鎖爆発を起こさず、世界を焼き払わなかった、狭い都市だけ焼き払えた、成功だ!と大喜びするロスアラモス勢。気分悪い。

トリニティ実験。音と光はすざましかったけど、あんな近くで見ててサングラスひとつで防げたような表現。後から放射能で被害を受けた人たちは本当にいなかったのか。

人を大量虐殺したことを考えずに無邪気に喜ぶ人たちを皮肉に描いていることはわかる。戦争を終わらせて、米国軍人を攻撃する日本から、彼らの命を救った英雄なのだ。ただ、今でも一部アメリカ人の考えは変わっていないと思う。実際接していても、アジア人はいつまで経っても格下扱い。戦争起こしたのも日本のせいだし、トランプ派の過激派とかみてると本当に今でも同じことしそう。オッピーがきっとまた二度目の人生でも同じことする、と言われていたように。でもあの時代、立場が逆なら日本軍だって同じことをしたように思うし、成功したら日本国民も手を叩いて喜んだのだろう。誰が悪いという話ではない。未だに続けている国のことは理解し難いけど。

アインシュタインとの会話の真髄がよくわからなかったり、とにかく登場人物像多くて後半証人に呼ばれる人が誰だっけ状態だったけど、いずれもう一度は見た方が良い映画だなと思う。見てよかった。

alvo
Mさんのコメント
2024年4月12日

描いて欲しかったと思うことは結構ありましたね。
日本人なら「原爆」の「放射能」ってすぐに結び付きますが、他国の人々にとっては「原爆」は「物凄い強力な爆弾」なのかもしれませんね。

M
alvoさんのコメント
2024年4月12日

Mさん、やはりそうですよね。ひょっとしたらその因果関係は明らかにされていないのかもしれないですが、せめてそこまで描き切ってほしかったです。

alvo
Mさんのコメント
2024年4月8日

ほんとうは、実験で被曝した人はかなり多いのでしょうね。オッペンハイマー自身も、早くなくなったのは、実験の影響があるような気がします。
「知らない」ということは恐ろしいことですね。

M