「「理系は文系に使われる」」オッペンハイマー ぽちゃ子さんの映画レビュー(感想・評価)
「理系は文系に使われる」
と、母校の世界史教員はよく言ってたことを思い出した。
オッペンハイマーは、自らに重要な決定権があると思いこんでいたんだろう。
薄っぺらい罪悪感に唾を吐きかけたくなるトルーマン大統領のほうに共感。「清濁併せ呑んで覚悟を決めたのはお前じゃない。俺の苦しみに較べたら屁でもない」と言いたかったんだろうなぁ。常にトロッコ問題に答えを出すような立場だから。「あの泣き虫坊やを二度とよこすな!」は最高の引導だ。
クリストファー・ノーラン監督ならではの時系列の多重性が「宇宙のパワーを使った」新兵器という本作のテーマにピッタリと思いつつ、インセプションほどの没入感は味わえなかった。
年を取ったからか、3時間の集中は持たなかった。そして誰が誰だかわからない。ごめんなさい。
原爆という主軸よりも、妻キティの魅力にぞっこん。強く、知的で、激しくて、セクシー。
聴聞会の切った張ったの応酬が最高。
最後に。日本人であれば、「原爆はあんなもんじゃねーよ」と感じたのでは。クリストファー・ノーラン監督には、『はだしのゲン』と『この世界の片隅に』を完読していただきたかった。
「過ちは繰り返しませぬから」これだけは、死ぬまで守りたい。
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