劇場公開日 2024年3月29日

「原爆の罪深さを描き切れていない」オッペンハイマー しんさんさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5原爆の罪深さを描き切れていない

2024年3月30日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

難しい

原爆の父オッペンハイマーが原爆を開発し広島長崎に投下したことに苦悩し赤狩りによるスパイ容疑をかけられる話。

世界で唯一の被爆国民日本人として、はだしのゲンと同様に見ておくべき映画だとは思うけど、映画としてオススメかと問われたら、ぜひ見てとは言えない。

俳優陣のお芝居は素晴らしいですが、ストーリーと原爆の描き方には物足りなさを感じて、モヤモヤした。
広島と長崎の惨状には被害者の数と犠牲者のイメージ映像で触れただけ。これだと、原爆で一瞬にして吹き飛んだ市民や皮膚がどろどろに溶けたおぞましさや、生きながらウジ虫が湧く凄惨さ、その後死ぬまで被曝の後遺症で苦しんだ犠牲者に、見た人の想像は及ばない。
そこまで描いてはじめて、原爆という悪魔の兵器の罪深さと、生みの親であるオッペンハイマーの苦悩がリンクするのだが、肝心な部分を描いていないので、オッペンハイマーの苦悩には共感できなかったし、原爆投下という罪を軽く扱いすぎじゃないかと思う。

映画はオッペンハイマーの一人称で描いており、彼が広島や長崎の地獄絵図を見ていないから描きようが無いのはわかるが、ノーラン監督が敢えて逃げたようにしか思えない。
これがアカデミー賞7冠という評価にも納得出来ない。
日本人は「はだしのゲン」を映画化して世界配給すべきでしょう。山崎貴監督お願いします。
あと、3時間は長すぎ。

しんさん