劇場公開日 2024年3月29日

「ごめん。よく分からない。入り込めない。」オッペンハイマー あんちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0ごめん。よく分からない。入り込めない。

2024年3月29日
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鑑賞方法:映画館

待望の公開ということで初日の朝からワクワク。IMAX上映で見終わったとこなのだが。期待が大きすぎたせいか今一つピンとこなかったというのが正直な感想です。
まずオッペンハイマーという人への理解や共鳴があまり得られなかった。原作が「AmericanPrometheus」で、ギリシャ神話(だったかな?)のプロメテウスになぞらえて、太陽の火を盗んだ罪により永遠の罰を受ける、つまり原爆をつくったことへの葛藤が描かれるのかなと勝手に理解をしていたんだけど。もちろんそういう部分も多少はある。でも後半の聴聞会はロバート・ダウニー・Jr演ずるところのストローズの陰謀によるソ連のスパイ容疑についてでしょ。この部分が相当長いのだけどここは私怨だからね。核兵器に係る本質的な問いかけではない。またこのストローズっていうのが小物でね。彼との戦いの尺が長い分だけオッペンハイマーの悩みも小さくみえてしまう。
大国の軍拡競争に歯止めをかけるため水爆開発に反対したというのがオッペンハイマーの主張なんだろうけどそのあたりグシャグシャいろんな登場人物も絡んでよく分からんという印象です。
クリストファー・ノーランっていう監督は人物を描くのが下手だと良く言われますが、私は下手というより人間ドラマ自体があまり好きじゃないんだろうなと思ってます。彼の描きたいのはそれが過去であろうと、未来であろうと、事象そのものであって、いわば唯物主義の映画監督なのでしょう。だからこの作品でもキリアン・マーフィーの顔芸(失礼!)が目立つだけで他の登場人物は後景に退いてしまって区別さえつかない。気の毒なのはエミリー・ブラントとフローレンス・ピューこの二人の女優さんで人物像が曖昧でなんのために出演しているのかわかんないですね。オッペンハイマー夫人のほうはエキセントリックで上手く描ければ面白い話にもなった気がするけどこれだとただ粗暴な人物っていうだけになってます。
相変わらず、映像には凝りに凝っていて、わざわざモノクロ撮影用のIMAX65カメラを開発したそうです。多分、公聴会のシーンで時代感を出したかったのでしょうね。でもそれだけの効果は上がっていないようです。アインシュタインが何度も登場したり、最後にJ・F・ケネディの名前が出てくるあたりがいかにも狙ったなという感じです。
新聞の映画解説で絶対におすすめということだったのでわざわざIMAXで観たのだけど私は特にお勧めしません。どうしてもロス・アラモスの核実験をIMAXで観たいという方以外は。

あんちゃん
talismanさんのコメント
2024年4月29日

IMAXが苦手なんで普通に見ましたがそれで十分良かったです

talisman
Mさんのコメント
2024年3月29日

コメントありがとうございました。
「オッペンハイマーの悩み小さく見える説」なるほどなあという感じです。
自分と違う解釈や思いつかなかった説を読むのはとても楽しいですね。
ありがとうございました。

M
Mさんのコメント
2024年3月29日

まさに「待望の公開」でした。
ノーランの唯物主義説は特におもしろく読ませていただきました。

M