劇場公開日 2023年10月20日

  • 予告編を見る

「超グロ系映画から成長物語に昇華する傑作」悪い子バビー 鶏さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5超グロ系映画から成長物語に昇華する傑作

2023年12月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

1993年に制作されたオーストラリア映画だそうですが、日本では過去にVHSビデオのみ発売されていた作品だったそうです。言ってみれば、日本ではこれまで陽の目を見なかった映画なのですが、今回ようやく劇場公開されることになりました。
それにしても、実に凄い作品でした。

序盤は観客の嫌悪感情を逆撫でするシーンの連続で、母子の近親相姦に糞尿、ゴキブリ、動物虐待と、流石に私もゾッとしました。要は傲慢な母親が、35歳にもなる息子を手元に置いておくために、息子を自宅に監禁し続けたことが根本的な問題で、究極の親ガチャの話でした。そういう設定だと、現実にもある児童虐待とか、そうした環境を醸成してしまう社会に対する批判を込めた作品になるかと思いきや、本作の凄いところは、35年間家から一歩も外出せず、社会に触れずに育った主人公・バビーが、何十年間も姿を消していた母親の夫が突然戻ってきたことをきっかけに社会に一人で放り出され、成長していくという感動の物語に仕上げていたところ。

まあ単純な感動という訳ではありませんでしたが、バビーには実は歌の才能、しかも即興で歌詞を作ってしまう才能があったとか、言語障害のある障碍者の言葉を理解してしまう能力があったとか、そうした奇想天外な展開も、35年間の監禁生活が生んだものなんじゃないかと思えて来るほど、不思議な魅力に溢れた物語でした。特に売れないバンドに拾って貰ってライブハウスで歌うシーンは本作の見せ場であり、原題のままの「Bad Boy Bubby」という劇中曲などは、思わず口ずさみたくなるようなテンポの良さで、序盤の陰鬱とした気分は完全に吹き飛んでしまいました。

最終的に、母親のに似た巨乳の女性・エンジェルと結婚し、子供を授かるバビー。普通なら「大丈夫?」と思うところですが、それまでにきちんと伏線が貼られていて、それを回収する形でしたので、安心して観ていられる展開になっていたのも感心しました。

そんな訳で、評価は★4.5とします。

鶏
Mさんのコメント
2023年12月10日

確かに「凄い」作品でしたね。

M