「過ぎたるは及ばざるが如し」身代わり忠臣蔵 tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
過ぎたるは及ばざるが如し
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吉良上野介の身代わりが、赤の他人ではなく血のつながった弟だという設定は、それなりに説得力がある。しかし、いくら厄介者で役立たずだからといっても、冒頭の弟に対する仕打ちは酷過ぎるのではないか?
ただ、その弟が身代わりになる理由や大石内蔵助と知り合う経緯にはあまり無理がなく、テンポの良い展開をサクサクと楽しむことができた。
何と言っても、ムロツヨシのキャラクターを活かした林遣都や川口春奈らとのやりとりが面白く、何度もニヤリとしてしまった。
良い人になった吉良が家臣から慕われるようになったり、ダメ人間だった彼が自らの価値を見出していく流れも、ベタではあるが、やはりホッコリとさせられる。
クライマックスに向けて、柳沢吉保が仕掛けた罠を逆手に取り、討ち入りを成功させるべく吉良と大石が協力し合うという展開も絶妙で、2人の友情には思わず胸が熱くなった。
その一方で、物置小屋で漬け物を作っているシーンで、なんとなく結末が分かってしまうのは勿体ないし、あれほど存在感のあった林遣都演じる斎藤が、討ち入りの最中に全く姿を見せないのも物足りない。
さらに、生首を使ってのラグビーを模したドタバタは、あまりにも趣味が悪くて笑えないし、物語上の必要性もなく、蛇足だったとしか思えない。
せっかく面白い話だったのに、最後の「やり過ぎ」に興醒めしてしまったのは、残念としか言いようがない。
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