「お下劣コメディとして観ないと大変」スラムドッグス kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
お下劣コメディとして観ないと大変
人と犬の世界は全く異なる。当たり前のことだが、それをコメディとして活用するのはある意味定石と言える。愛していたご主人様が自分のことを虐待し邪魔者扱いしていたことに気づいた犬が、ご主人様に復讐しようとする話。うまいのはこれをロードムービーにしているところ。さらに仲間と一緒にだから、バディものとしての側面も併せ持つ。人の感覚から見る犬の世界の面白さを描く。
字幕版を観たのだが、バグ役のジェイミー・フォックスの演技(声)がとても小気味いい。ちょっとしたラップを聴いているかのような感覚になった。ちなみに4人(匹)の声はどれも素晴らしかった。
ただ、問題なのは感動できる映画ではなく、アメリカお得意のお下劣コメディだということ。犬たちの生活だから基本的に、食べることとファックすることと排泄することしか出てこない。お下劣がすぎる。特に排泄系。これ、ダメな人は本当にダメなんだろうな。こんなコメディが好きな自分でさえもちょっとやりすぎな感じがしてしまった。それなりに笑えて、終わり方もそれなりに痛快で安心できるものだったんだけど。
犬が飼い主に従順であるという彼らの本能を、まるで呪縛のように捉えてそこから解き放たれるための旅だったようにも思える。そんな自由を求めたロードムービーと考えると悪くない。ただ、人には簡単に勧められない。
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