劇場公開日 2023年11月17日

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「Fワードに隠された叱責の本音」スラムドッグス エイプさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5Fワードに隠された叱責の本音

2023年11月17日
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笑える

悲しい

単純

周回遅れおじさんが珍しく初日に見ました。
初日のレイトでほぼ人いなかったので、悠々自適に鑑賞できて嬉しい。

ストーリー、コメディタッチでありスナック菓子のようにサクサク観る作品ですね。レジーが主人公たらしめる理由あり、脇を据えるバグ達がちゃんとストーリーに沿った存在理由もあって、違和感は特に感じませんでした。本作品予告の時点でほぼゴールが見えてる映画なので、それ以上を期待する映画ではないですが、ゴールに至るまでのドタバタ過程を楽しむ事こそコメディの本質ですし、いいんじゃないでしょうか。
本作品のアイツはとんでもないクズ野郎なので、全く同情を湧かずに、ざまあみろ位に思える描写は概ね成功してます。

演出や音楽や編集、とにかく笑わせるために頑張ってます。本作品のテーマを真面目に描くと、この作品は根深い人間の業を背負った深刻な話なので、コメディにならず説教のような映画になります。本作品のこの振り切り方は、映画は娯楽の名のもとに個人的好印象です。

評価の星が1.5足りない理由ですが、理由が3つほどあります。必要以上にFワードが多すぎること、スケールが大きくなりようがないゴール地点であること、犬らしさではなく人間都合の目線を最後まで外せず人間の業を突く話に終始したこと、ですね。
特にこのテーマって前述の通り、人間の業の話と言いますか、後暗い話ではあるので、茶化しつつもコメディになりきれない部分が多々あります。コメディ要素をFワードだけで解決はできないし、やっぱり茶化していると思われかねない描写もあって、そこはいただけないかなと。
スケールが大きくなりようがないゴール地点については、キャラクターや境遇や状況など含めた条件が多いとはいえ、ドキドキはなく単純で平坦な道に見えてしまったのは残念です。
最後、人間都合の目線が消えなかった点。こればっかりは犬の習性や性格だけで進めてたら物語進まんやろというツッコミは重々承知なんですが、犬らしい習性をふんだんに盛り込んでる作品ではあるので、人間の「こうだったらいいな」といった意識の介在はできるだけ避けるべきでした。犬とシナリオ都合のバランス感覚が非常に難しかったのだと思います。

「Fワードに隠された叱責の本音」は、本作品問題点の中にあるテーマに対する制作陣なりの問題提起ですね。
……何、コメディ映画に何講釈たれてんだよと、バグに笑われそうです。
動物を飼育するのであれば、責任もって飼育しましょうね〜、でないと……復讐を受けるかもよ?な映画でした。

エイプ