「毒抜きされた「望郷編」であるが、実にバランスが良い!」火の鳥 エデンの花 やまちょうさんの映画レビュー(感想・評価)
毒抜きされた「望郷編」であるが、実にバランスが良い!
前置きしますと、古くからの「手塚治虫先生のファン」です。
ただ、手塚先生の作品のうち、「人間が生きるとは何か?」の様なあまりにテーマが幅広く深く扱うテーマがは時に刺激的で最後は投げっぱなしでとことん読者に深傷を負わす一連の「火の鳥シリーズ」は正直敬遠しておりました(笑)。
私にとっては「ブラック・ジャック」や、「ブッダ」、ギリで「アドルフに告ぐ」くらいが理解して楽しめる許容範囲です。
望郷編は中学時代に勧められて一度読んだか読まないかのレベルで当時(昭和後期)の倫理観(近親生殖など)でもかなり過激、むしろ拒否反応が強いくらいでした。
それが今回初めて劇場アニメ化、しかも定評のある4℃さん制作とあれば、これは観ないわけにはいかず・・ちょっと遠出までして鑑賞した次第です(近くの映画館でやってなかったため)。
気になる過激な冒頭の部分が大胆なシナリオ改変でしっかり「毒抜き」されており、とはいえ手塚治虫のテイストはキャラデザ含めて残っておりましたので、全年齢に劇場版としては許容できる・・・というよりもむしろ改良されて受け入れ性がアップしたことを高く評価したいと思います。
人間に本来備わっている原初の欲求が「強い欲望」に変わる過程はさまざまで、それが破滅に向かうことは必然・・・しかし、愛情など人や故郷を想う気持ちは清らかで永遠だよなあ、と実感できてとても素晴らしい体験でした。
ぜひ、劇場でご鑑賞ください。
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