「リドリー・スコットには男女の愛憎劇は向いてない」ナポレオン けろ教授さんの映画レビュー(感想・評価)
リドリー・スコットには男女の愛憎劇は向いてない
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この映画には2つの側面がある。1つは、度々劇中で繰り返される"I'm nothing without you"というセリフに象徴される男女の愛憎劇である。もう1つは、スペクタクルな戦争映画である。この映画はどちらかに焦点を当てるべきであった。もちろんリドリー・スコットが焦点を当てるべきなのは、後者の戦争映画としての側面である。男女の愛憎劇としては、特にその前半は『ジョゼフィーヌと犬の僕』というタイトルが思い浮かぶような下品なギャグ映画にしか思えない。リドリー・スコットには男女の愛憎劇は向いていない。
この映画は、(ジョゼフィーヌと離婚してからの)戦争映画としての側面がやはり面白い。中盤のアウステルリッツの戦い、モスクワ遠征、エルバ島からの帰還、そしてワーテルローの戦いはリドリー・スコットの面目躍如である。特にエルバ島から帰還したナポレオンが兵士たちに語り掛けるシーンで初めてナポレオンのカリスマ性を感じた。問題はこの映画ではそのシーンしか、ナポレオンの偉大さを感じられなかったことである。
フランス人がこの映画に低評価を与えるのは当然であろう。イギリス人ならワーテルローの戦いでのイギリス軍の勇敢さと規律正しさに気分をよくするだろう。日本人なら...やっぱり豊臣秀吉とくらべるかなぁ。ジョゼフィーヌは北政所か。フランス人女性と日本人女性の気質の違いがよく分かる。
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