「時代が求め、時代に追われた英雄」ナポレオン bionさんの映画レビュー(感想・評価)
時代が求め、時代に追われた英雄
のし上がり期、調子乗り期、落ち目期、そして終焉期と全てを網羅しながら、ナポレオンという英雄を1人の人間として描き上げる。リドスコ監督は、まだまだ衰えていないというか、全盛期なんじゃないの。
稀代の悪女と言われたジョセフィーヌは、ナポレオンにとってどういう女性だったのか。この点が自分にとっては興味深々。浮気したことを責めるナポレオンをうっちゃって、言い負かせてしまうシーンがめちゃくちゃ面白い。
バネッサ・カービーの目力と妖艶さにすっかりのまれて、ナポレオンは腰砕け。自分が必要だとナポレオンに言わせてしまう。
ナポレオンが起こした戦争で、フランス国民が300万人戦死したと言われているが、この作品を見てよくわかった。歩兵、騎兵を問わず、最前線は弾除け扱いで完全な消耗品だから、ほぼ死ぬ。
ワーテルローの戦いでは、方陣を組むイギリス歩兵と取り囲んで責めるフランス騎馬隊が、命を削りながら残った人数を競うような究極の消耗線。
歴史好きな自分には、とんでもなく満足の一品でございました。
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麻布豆ゴハンさんのコメント
2023年12月7日
一連のナポレオン戦争での軍人の戦死者数はあくまで推計だそうですが、ロシアも含めたヨーロッパ全体で250〜350万だそうで、これには民間人は含まれていない(当時は民間の死者数なんて誰も数えて無かった)そうですね。
なので軍民含めた死者数は350〜650万と幅が広い様です。何れにせよ第一次大戦より前ではヨーロッパでは最大の犠牲者数ですね。
ほぼ記録は無いですがモンゴル帝国の一連の征服戦争は常に征服の過程で軍民問わない大虐殺が付きまとったので、もしかするとこれに匹敵するかも知れません。