「猛烈な戦争への批判」ほかげ コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)
猛烈な戦争への批判
半分以上は、主人公の女(趣里)が住む居酒屋が舞台で、室内劇。
内容的には、塚本監督作『野火』の延長上にあり、戦後のバラック&闇市の中で、生き延びた人間も復員兵もPTSDに苦しみ、心の中の戦争が終わらない苦悩を描いていて。
その中で見出した一筋の希望が、戦災孤児となった子どもっていうのが切ない話でした。
擬似家族を形成するのが、奇しくも構造的に『ゴジラ-1.0』と相似形で、時代の表と裏のような作劇だったなと。
二作とも「これで戦争が終わる」というセリフがあったし。
戦後すぐの頃には、生きるのが辛く闇に包まれた側面と、(闇市を代表とした)これから復興するんだという明るくパーっと盛り上がる側面と、明暗両面があったわけで。
本作の闇のみを写す作り方は、猛烈な戦争への批判が込められていて、あの惨劇を繰り返してはならないという警鐘となっていました。
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