「あんまりよくなかった」アントニオ猪木をさがして 吉泉知彦さんの映画レビュー(感想・評価)
あんまりよくなかった
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猪木のファンだった時期は短い。見始めるとすぐにタイガーマスクが現れて、その後は長州や前田に夢中になったので、猪木は乗り越えるべき壁という存在だった。引退試合の辺りはもうあまり見なくなっていた。しかし本はよく読んでいて古くはワニの豆本から数回、糖尿病の本も読んでいる。サインをしてもらったこともある。
そうは言っても大きな存在だけに、映画は評判が悪くて恐る恐る見に行くと、確かに見たいものが見せてもらえない。話を聞くならもっとゆかりの深い人選があっただろう。途中のドラマもつまらない。特に、家庭で少年と姉がチャンネル権争いをする場面で、テレビは消したままだ。描くなら、プロレスと金八を交互にチャンネルを回して映し出されるべきだ。権利的に無理なら、再現映像を作って欲しい。それすらしない、予算の都合なのだろうか、とても貧しいものに感じる。おじさんになった時に工場で働く主人公が猪木とベイダーの試合に感極まって声を絞り出して猪木を応援する。そんな人いるか、と白けた気持ちになる。
猪木の映像ももっと見たかった。冒頭のブラジルを訪ねるところはよかった。おじいさんが途中の運河で青いバナナを食べて死んで川に死体を流したことには触れられていなかった。
平日の午前中で、見に来てる人はおじいさんばかりだがけっこう入っていた。
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