「偉業の水割り」ボブ・マーリー ONE LOVE サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)
偉業の水割り
ボブ・マーリーの知識ゼロだったけど、予告見て結構完成度高そうと割と期待していたのに、映画としては全然面白くなかった。ボブ・マーリーの曲、生き様には心動かされるし、彼がどれほど偉大な人物だったのかは身に染みて分かった。
ただ、見せ方があまりにも下手すぎて、どうもこの映画からでは熱量と想いが伝わってこない。ボブ・マーリーの映画なのに、過去回想や葛藤、苦悩の描き不足からか、彼の音楽に対する気持ちが乗っておらず、全くと言っていいほどボブ・マーリーに迫っていない。果たして、これは伝記映画なのだろうか...。
当時の政治背景・国内情勢が明確に描かれていないのは、ボブが自身の音楽に直接的な表現を入れず、ただ、レゲエを聴いて勇気を貰ってくれたらと、そういう想いから音楽を作っている・歌っているからなのだとも思ったけど、やはり当時の人々が彼に魅了されたのは激化する政治闘争があったこそだろうし、映画ならそこまでちゃんと描いて欲しかった。音楽の制作風景・ライブシーンから音楽の持つ力を強く感じることは出来たし、キングズリー・ベン=アディルの演技は宣伝通りのホンモノだった。それ故に、脚本と演出の粗さが勿体ない。名作になり得たのになぁ。
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