サウンド・オブ・フリーダムのレビュー・感想・評価
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現実に起きていることの重み
誘拐された児童が、性の対象として国外に売られていく。こうした現実の出来事ではあるが、言葉として知っていても、リアリティをもって感じることはなかったからかなりの衝撃だった。公務ではなくプライベートで海外にまで出て子どもを救出しようとするこの刑事も実在している人だってことにも驚く。
本作の大まかな流れは、児童売買に関わる男を逮捕した捜査官・ティムが、徐々に児童誘拐・売買の本丸に迫っていくというもの。そこには大きな意外性があるわけではない。それなりに緊迫感のある場面もあるし、結末にスッキリする部分もあるが、映画のストーリーとしてはそれほど面白いわけではないと思う。でも、これが実際に起こった事件だと思うと別の見え方になる。少し不思議な感覚だった。
ティムの妻と子どもたちの存在はアッサリした扱いだったのは少し意外。養子と思われる子どもたちを育てているのはティムの行動のバックボーンになると思うが、時間の都合で省かれたのかもしれない。それにしても、いくらすごく意味のあることだとしても、夫ティムの行動を無条件で受け入れる妻がすごい。給料なしでどうやって生活できていたのか、少し気になってしまう。
そして最後にとても印象的なのが、映画としては異例ともいえるエンドロールの映像。映画の中でその映画の宣伝を行うなんて聞いたことがない。でもそんな異例のこともすんなり受け入れることができた。この現実を多くの人に知ってもらいたいと思うよな。その根底にある感情はとても共感できるものだった。
児童売買は需要がなくなれば犯罪自体が減るはず。そういう意味でティムが当初行っていた捜査・検挙も意味はある。現場の捜査官のモチベーションがなくやらないことを祈る。
許し難い悪と闘うヒーローたち
実話なのが信じられんほど、恐ろしい話を観た。悪いやつはいつの世でもいるけど、子どもを商売にするのは最も許し難い悪だね。
ティムは確かにヒーローなんだけど、このヒーローが生まれなければならなかった世の中が本当にありえないと思う。同じ地球に住んでるのが怖い。
どこまでが本当の話なのかはわからないけど、ティムは自分も家族がいるのに、自分の全てを投げ出して子ども達を助けることを選んで爆走していくので、それが非現実的に見えちゃうほど熱意と信念が凄かった。彼の家族が心配になってしまったよ。
とにかく知ることに世界を変えるきっかけがあることを信じたい。
沢山の方が観て、こんな怖い事実が無かったことにならないように、これ以上犠牲になる子どもがでない世の中になることを祈ります。
犯罪に直球勝負
本当に恐ろしいことが起きている。身近なところで子どもが拐われている。
アメリカ人の友人と見に行った。子どもを売買する犯罪組織。これはコロンビアが舞台であるが、世界中でこんな事が実際に起きている。
監督と共同脚本は、メキシコ人のアレハンドロ・モンテベルデとあって期待して見た。アメリカ映画であるが、言葉は南米関係ではスペイン語、アメリカでは英語。時々ごっちゃになって出てくる。そこが何故か不穏な雰囲気を漂わせている。「23年全米映画興収トップ10」に堂々のランクインを果たしている。中南米の映画ではこのような犯罪を扱った映画はいくつもあり、よく見ていたのでそれほど驚くことはなかった。
★さまざまな形でこのような犯罪に巻き込まれ、多くの子ども、大人も含めてだが、”奴隷”に等しい生活を強いられている人が増加し、奴隷制度があった時代よりも遥かに多いという。
クライマックスは南米コロンビアの奥地の反政府組織の潜むムラへの侵入。
★映画が終わったあと、主人公役のジム・カフィーゼルからの動画コメントが流れた。今回の映画は製作後、上映へのさまざまな課題・障害があり、それを乗り越え公開まで5年間を要したという。多くの人に見てもらいこのような多くの子どもたちが誘拐され、大人の欲望のために、ひどい生活を負わされている実態を知ってほしい。そして何かできないことはないか。まずは、映画を劇場に見に行ってほしいと。
<公式HPより>
クラウドファンディングでの製作費集めや、公開時、本作の鑑賞者が他の人のためにチケットを購入し寄付するペイ・イット・フォワードに人々が積極的に参加したことも話題を呼んだという。
映画で世界を変えることが出来ると本当に信じた人々が作り上げた作品
売りものじゃない。
これほどリアルな「ホラー」は無い
観る者に、今世界で起き続けている、吐き気を催すほど醜悪な「現実社会」を突き付け、文字通り強烈な吐き気と胸をえぐられるような痛みを感じさせる
映画という虚構を使いながら、現実のドキュメンタリーを嫌というほど見せつける
決して見終わってから笑顔にはなれないリアル「ホラー」
どんなに怖いと言われるホラーやサスペンスでも、この圧倒的現実感の前では所詮は作りものである
誰もが、目を背けてはいけない、誰もが見なければいけない映画
映画全体を検証はした訳ではないが、多分終盤のストーリーは完全なフィクションのような気がするが、それはむしろ有難かった。前半から中盤にかけてのストーリー進行では、あまりにリアルな醜悪さが強すぎて最後まで鑑賞に堪えられないかもしれなかったからだ
小さな子供を自分の性癖の「道具」にできる、我々のまわりにいる「普通の顔」をした異常者は、社会の中では一定以上の資産をもち、地位を持ち、善人の顔をしているだろう
こんなに不幸な子供たちが後を絶たず、毎年増え続け、その子供たちを「消費」していく化け物たちが、これもまた増え続けている現実を突きつけられることに絶望感を感じる
救える子供たちはいったい何人いるというのか・・・
エンドロール後、主人公の俳優さんが語る言葉が胸に刺さる
映画完成から上映までに5年の年月がかかった あらゆる妨害があった所以だろう
それは映画業界の中にも、財界にも、政界にも、この映画に日の目を当てたくないと考える、魑魅魍魎が蠢くからではないだろうか
彼らの言う、ムーブメントが起きることを願う
児童人身売買の闇
この映画は制作から5年の年月を経てようやく全米で公開されたといういわくつきの作品だが、なぜそんなに長い間お蔵入りになっていたのだろうか?
その背景を探ると、2019年にウォルト・ディズニー社がこの映画の配給先であった21世紀FOX社を買収したという事実が浮かび上がる。本作が撮影されたのは6年前の2018年、公開はその翌年の2019年を予定していたが、ディズニーがFOXの映画ライセンスを取得して、映画制作や公開の権限をすべて掌握したことによって、本作の公開を見送ったのだ。小児性愛者による人身売買を扱っているこの映画は、ディズニーにとっておそらくとても都合の悪いものだったのだろう。最終的に、この映画のライセンスはインディーズ系の配給会社の元に移行し、2023年に全米で、その翌年の2024年に日本で公開されることになった。
感想としては、臨場感や緊迫感があり、インディーズ映画とは思えないクオリティが感じられ、子供を主題にした映画としては珍しく父親目線で描かれているところが新鮮だったという点をまず挙げたい。性加害等の直接的な表現は避けられていて、目を背けたくなるシーンはなく、比較的観やすい作品になっていた。
一方、児童人身売買犯罪が発生する根本的な原因を描かれていないところが物足りなかった。囚われている他の子供は救おうとせず、会ったこともない一人の少女にだけ執着している主人公に疑問を持った。自分の子供なら理由もわかるが、仕事を辞めて、家族を残し、任務でもなく他人の子供を一人だけ命がけで助けるというのは常軌を逸した行動であったのではないか?
世界の人身売買市場は1500憶ドル、その対象者は5000万人といわれる。児童人身取引の目的は、強制労働と性的搾取に利用される場合が圧倒的に多い。酷いものになると臓器売買の対象にされるらしい。児童売買春の最大消費国になっているアメリカ、第47代大統領になったトランプならこの闇の部分にメスを入れてくれるはずだ。
この映画が存在するということは、まだ、この世界に正義が存在するということだ。
この題材をドキュメンタリーとして伝えることは、かなり難しいことなのだろう。かなりの妨害があったのだと思う。
だから、作品にエンターテイメント性を持たせたのかもしれない。
そうすれば、遠回しに描ける部分も出てくるのではないかと思う。
国家というものが、やる気になれば、ある程度、撲滅することは可能かもしれないが、国家というものが腐敗することにより関与していれば、取り締まることは難しくなる。
この世界に、悪は存在するが、あくまでも正義が大部分であって、その隙間に悪が存在することが、仕方なく許容できる範囲ではないかと思うが、現代では悪がはびこり、正義と拮抗するか、悪の勢力が勝っているように感じることがある。
人身売買は許されない。確かに素晴らしい活動ではあるが、その活動により救われる子供の数はごくわずかだ。
すべての子供達を救い出す方法はないのだろうか。
この映画が世に出るということは、まだチャンスはあるかもしれない。日本という国も正義を貫く国であってほしいと強く願う。
興醒め
息子22歳の感想
霞
JAM
無知は罪
子役達に観客が引き込まれる
主演のジム・カヴィーゼルが、ティム・バラード本人の職務に同行して役作りに励んだ史実の物語。
※ティモシー・バラード(1971年生): 子どもが9人(うち2人は養子)
この映画は現在(2024年10月)ペイ・イット・フォワードの寄付金を出した方々のおかげで無料で鑑賞出来るらしい(日本の公式サイトから)が、私は自腹で鑑賞。
映画鑑賞の支払いが厳しい方でも、「無料なら観よう」と言う方でも【是非 鑑賞して欲しい】と思った【現代史問題作】でありながらも、観客を楽しませるサスペンス要素が十分ある。
観た方々から「是非、映画館で!」と言うメッセージが届いた(映画紹介YouTube)ので、私も「是非、映画館で!」と言いたい。
ジム・ガヴィーゼルの代表作でもある『パッション』(2004)の監督メル・ギブソンが本作のエグゼクティブ・プロデューサーをしている。
資産家のパブロを演じたエドゥアルド・ベラステーギはプロデューサーとしても参加し、人道的な活動でも知られ、非営利団体を立ち上げ、食料、住居、医療、教育を受けられない人々を援助しているイケメンさん。
本作の撮影は2018年で公開は翌年の2019年を予定していたが、配給契約を結んでいた21世紀FOXを、2019年にウォルト・ディズニー・カンパニーが買収。そしてディズニーは話題作の『サウンド・オブ・フリーダム』の公開を見送った。なので公開予定から5年程の遅れ。何故か?
気になる人は調べてもいいし、そんなの関係なく見に行ってもいいし、鑑賞後に【寄付】する立場になってもいいと思う、目が潤む一本の素晴らしい映画。
ロシオ(姉)のクリスタル・アパリシオもミゲル(弟)のルーカス・アビラも他の子役達も観客を引き込む。
悲惨な子供達
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