サウンド・オブ・フリーダムのレビュー・感想・評価
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本当に恐ろしいことが起きている。身近なところで子どもが拐われている。
アメリカ人の友人と見に行った。子どもを売買する犯罪組織。これはコロンビアが舞台であるが、世界中でこんな事が実際に起きている。
監督と共同脚本は、メキシコ人のアレハンドロ・モンテベルデとあって期待して見た。アメリカ映画であるが、言葉は南米関係ではスペイン語、アメリカでは英語。時々ごっちゃになって出てくる。そこが何故か不穏な雰囲気を漂わせている。「23年全米映画興収トップ10」に堂々のランクインを果たしている。中南米の映画ではこのような犯罪を扱った映画はいくつもあり、よく見ていたのでそれほど驚くことはなかった。
★さまざまな形でこのような犯罪に巻き込まれ、多くの子ども、大人も含めてだが、”奴隷”に等しい生活を強いられている人が増加し、奴隷制度があった時代よりも遥かに多いという。
クライマックスは南米コロンビアの奥地の反政府組織の潜むムラへの侵入。
★映画が終わったあと、主人公役のジム・カフィーゼルからの動画コメントが流れた。今回の映画は製作後、上映へのさまざまな課題・障害があり、それを乗り越え公開まで5年間を要したという。多くの人に見てもらいこのような多くの子どもたちが誘拐され、大人の欲望のために、ひどい生活を負わされている実態を知ってほしい。そして何かできないことはないか。まずは、映画を劇場に見に行ってほしいと。
<公式HPより>
クラウドファンディングでの製作費集めや、公開時、本作の鑑賞者が他の人のためにチケットを購入し寄付するペイ・イット・フォワードに人々が積極的に参加したことも話題を呼んだという。
映画で世界を変えることが出来ると本当に信じた人々が作り上げた作品
売りものじゃない。
これほどリアルな「ホラー」は無い
観る者に、今世界で起き続けている、吐き気を催すほど醜悪な「現実社会」を突き付け、文字通り強烈な吐き気と胸をえぐられるような痛みを感じさせる
映画という虚構を使いながら、現実のドキュメンタリーを嫌というほど見せつける
決して見終わってから笑顔にはなれないリアル「ホラー」
どんなに怖いと言われるホラーやサスペンスでも、この圧倒的現実感の前では所詮は作りものである
誰もが、目を背けてはいけない、誰もが見なければいけない映画
映画全体を検証はした訳ではないが、多分終盤のストーリーは完全なフィクションのような気がするが、それはむしろ有難かった。前半から中盤にかけてのストーリー進行では、あまりにリアルな醜悪さが強すぎて最後まで鑑賞に堪えられないかもしれなかったからだ
小さな子供を自分の性癖の「道具」にできる、我々のまわりにいる「普通の顔」をした異常者は、社会の中では一定以上の資産をもち、地位を持ち、善人の顔をしているだろう
こんなに不幸な子供たちが後を絶たず、毎年増え続け、その子供たちを「消費」していく化け物たちが、これもまた増え続けている現実を突きつけられることに絶望感を感じる
救える子供たちはいったい何人いるというのか・・・
エンドロール後、主人公の俳優さんが語る言葉が胸に刺さる
映画完成から上映までに5年の年月がかかった あらゆる妨害があった所以だろう
それは映画業界の中にも、財界にも、政界にも、この映画に日の目を当てたくないと考える、魑魅魍魎が蠢くからではないだろうか
彼らの言う、ムーブメントが起きることを願う
児童人身売買の闇
この映画は制作から5年の年月を経てようやく全米で公開されたといういわくつきの作品だが、なぜそんなに長い間お蔵入りになっていたのだろうか?
その背景を探ると、2019年にウォルト・ディズニー社がこの映画の配給先であった21世紀FOX社を買収したという事実が浮かび上がる。本作が撮影されたのは6年前の2018年、公開はその翌年の2019年を予定していたが、ディズニーがFOXの映画ライセンスを取得して、映画制作や公開の権限をすべて掌握したことによって、本作の公開を見送ったのだ。小児性愛者による人身売買を扱っているこの映画は、ディズニーにとっておそらくとても都合の悪いものだったのだろう。最終的に、この映画のライセンスはインディーズ系の配給会社の元に移行し、2023年に全米で、その翌年の2024年に日本で公開されることになった。
感想としては、臨場感や緊迫感があり、インディーズ映画とは思えないクオリティが感じられ、子供を主題にした映画としては珍しく父親目線で描かれているところが新鮮だったという点をまず挙げたい。性加害等の直接的な表現は避けられていて、目を背けたくなるシーンはなく、比較的観やすい作品になっていた。
一方、児童人身売買犯罪が発生する根本的な原因を描かれていないところが物足りなかった。囚われている他の子供は救おうとせず、会ったこともない一人の少女にだけ執着している主人公に疑問を持った。自分の子供なら理由もわかるが、仕事を辞めて、家族を残し、任務でもなく他人の子供を一人だけ命がけで助けるというのは常軌を逸した行動であったのではないか?
世界の人身売買市場は1500憶ドル、その対象者は5000万人といわれる。児童人身取引の目的は、強制労働と性的搾取に利用される場合が圧倒的に多い。酷いものになると臓器売買の対象にされるらしい。児童売買春の最大消費国になっているアメリカ、第47代大統領になったトランプならこの闇の部分にメスを入れてくれるはずだ。
【”無垢なる幼き子供達の心と身体を傷つけるな!”今作は子供達が誘拐される時は怒りと哀しみを覚え、捜査官が命懸けで捜索するスリリングなシーンに引き込まれ、ラストは涙するムネアツな社会派映画なのである。】
ー エンドロールで、この作品が実話に基づいて製作された事が分かる。そして、世界に蔓延る児童誘拐事件の増加の実態を知り、主演の捜査官ティムを演じた敬虔なクリスチャンであるジム・カービルが第4の壁を越えて観る側に訴えかけてくる言葉に、琴線を揺さぶられたのである。
今作を鑑賞する前に新聞に掲載された、東南アジアで児童買春をした日本人の中年の男のインタビュー”貧しい村に金を落として、何が悪い。”という開き直ったコメントを読み、”お前は、地獄に堕ちろ!”と思った事も、一因で有ろう。
■但し、評点の4.5は、この映画の内容と社会的意義に共鳴してのモノである事は、敢えて記載する。ー
■米国土安全保障省に勤務するティム捜査官は、アメリカ国内で小児性愛者の逮捕に成果を上げて来た。
だが、誘拐された子供の殆どが、海外に連れ去られているためにもどかしさを感じていた。そして彼は上司を説得し、一週間だけコロンビアに渡り、且つては児童買春の組織側にいた男バンビロ(ビル・キャンプ)達とチームを組み、コロンビアの人身売買業者や、顧客の小児性愛者たちを、ある島におびき寄せ一網打尽にする計画を実行する。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・児童買春の実態がここまで拡大しているとは、恥ずかしながら知らなかった。この映画を観ていると、子供達をおびき寄せ誘拐する組織の手際の良さから、犯罪行為が常習化している事が良く分かる。
・幼い姉弟、ロシオとミゲルが誘拐されるシーンは恐ろしい。美しい女がロシオが太鼓でリズムを刻む中、近付いてきて”オーディションがあるの。パパを説得して。”と言い、ホテルの一室に連れ込む。そこには、夢見る多数の幼子がいるのである。女は子供達の”大人びたポーズ”の写真を撮るのである。
ロシオとミゲルの父が迎えに来た時には、部屋は蛻の殻である。
・怯える子供達が、バンに乗せられる時の恐れと哀しみの顔は、忘れ難い。そして、子供達は愚かしき小児性愛者たちに買われて行くのである。
余りに悲惨であり、可哀想過ぎる。
子を誘拐された男の言葉”娘がいないベッドがある家で、眠れるか?”が哀しく響く。
・バンビロが改心した理由を、酒を呑みながら話すシーンで彼が言った言葉も印象的である。
”出所した後、いつものように酒を呑んでいたら、町に女が立っていた。終わった後に分かったんだ。25歳じゃなかった。14歳だったんだ。俺は銃で頭を撃ち抜こうとしたんだ。何故生きて居るかは、神のみぞ知るだよ。”
■そして、ティム捜査官とバンビロは見事に、コロンビアの人身売買業者や、顧客の小児性愛者たちを、ある島におびき寄せ一網打尽にするのである。
だが、そこには救い出したミゲルの姉、ロシオの姿は無い。彼女はコロンビアの反政府ゲリラの居住地である南部に連れ去られていたのである。
ここからが、凄いのだがティム捜査官は、ナント米国土安全保障省を年金受給10カ月前にして辞め、バンビロと共に国連の医師団を装い、反政府ゲリラが居る集落に乗り込んで行くのである。ゲリラの親玉が言った通り、物凄い肝っ魂であるし、崇高な行為には頭が下がる。
そして、ティム捜査官は銃弾が飛び交う中、無事にロシオを救い出すのである。
<ラストシーンは、心に沁みる。ロシオはミゲルが見守る中、父と抱き合い誘拐される前と同じように太鼓でリズムを刻むのである。正に”サウンド・オブ・フリーダム”である。
そして、この作品ではエンドロール時に拡大の一途を辿る児童買春の実態がテロップで流れ、実際の犯罪者たちが逮捕された時や、子供達が救出された時の写真も映し出される。
今作は、スリリングな展開に引き込まれるアクション映画であるが、私が最も感銘を受けたのは、この作品が児童買春の実態を世に知らしめた事であると思う。
故にレビュータイトルには”社会派映画”と入れたのである。>
<2024年11月3日 刈谷日劇にて鑑賞>
この映画が存在するということは、まだ、この世界に正義が存在するということだ。
この題材をドキュメンタリーとして伝えることは、かなり難しいことなのだろう。かなりの妨害があったのだと思う。
だから、作品にエンターテイメント性を持たせたのかもしれない。
そうすれば、遠回しに描ける部分も出てくるのではないかと思う。
国家というものが、やる気になれば、ある程度、撲滅することは可能かもしれないが、国家というものが腐敗することにより関与していれば、取り締まることは難しくなる。
この世界に、悪は存在するが、あくまでも正義が大部分であって、その隙間に悪が存在することが、仕方なく許容できる範囲ではないかと思うが、現代では悪がはびこり、正義と拮抗するか、悪の勢力が勝っているように感じることがある。
人身売買は許されない。確かに素晴らしい活動ではあるが、その活動により救われる子供の数はごくわずかだ。
すべての子供達を救い出す方法はないのだろうか。
この映画が世に出るということは、まだチャンスはあるかもしれない。日本という国も正義を貫く国であってほしいと強く願う。
興醒め
息子22歳の感想
霞
JAM
無知は罪
嘘ではないが肝心なことを伝えていない
オープニングとエンディングで映像をシンクロさせる描き方は優れた手法だと思う。
エンドロール時の主演俳優がコメントで寄付を募るという斬新な試みがなされている。多少のあざとさを感じるものの、本編の質が低ければ効果がない手法であることから、制作陣の自信は伝わってくる。
本作視聴後に主人公であるティム・バラード氏について少し調べてみたところ、同氏は本作で描かれた出来事の後、Operation Underground Railroad
という組織を設立したが、後にセクハラ等で組織の代表を解任されているとのことだった。これが事実であるならば、本作で描かれた人物像とはかなり異なる印象を受ける。
社会的なメッセージと適度なアクション、センスのいいBGMなど、映像作品としての質は高い。しかし、実話に基づいていることもセールスポイントである本作の、どこまでが実話でどこが脚色なのかが気になった。
子役達に観客が引き込まれる
主演のジム・カヴィーゼルが、ティム・バラード本人の職務に同行して役作りに励んだ史実の物語。
※ティモシー・バラード(1971年生): 子どもが9人(うち2人は養子)
この映画は現在(2024年10月)ペイ・イット・フォワードの寄付金を出した方々のおかげで無料で鑑賞出来るらしい(日本の公式サイトから)が、私は自腹で鑑賞。
映画鑑賞の支払いが厳しい方でも、「無料なら観よう」と言う方でも【是非 鑑賞して欲しい】と思った【現代史問題作】でありながらも、観客を楽しませるサスペンス要素が十分ある。
観た方々から「是非、映画館で!」と言うメッセージが届いた(映画紹介YouTube)ので、私も「是非、映画館で!」と言いたい。
ジム・ガヴィーゼルの代表作でもある『パッション』(2004)の監督メル・ギブソンが本作のエグゼクティブ・プロデューサーをしている。
資産家のパブロを演じたエドゥアルド・ベラステーギはプロデューサーとしても参加し、人道的な活動でも知られ、非営利団体を立ち上げ、食料、住居、医療、教育を受けられない人々を援助しているイケメンさん。
本作の撮影は2018年で公開は翌年の2019年を予定していたが、配給契約を結んでいた21世紀FOXを、2019年にウォルト・ディズニー・カンパニーが買収。そしてディズニーは話題作の『サウンド・オブ・フリーダム』の公開を見送った。なので公開予定から5年程の遅れ。何故か?
気になる人は調べてもいいし、そんなの関係なく見に行ってもいいし、鑑賞後に【寄付】する立場になってもいいと思う、目が潤む一本の素晴らしい映画。
ロシオ(姉)のクリスタル・アパリシオもミゲル(弟)のルーカス・アビラも他の子役達も観客を引き込む。
悲惨な子供達
人身売買
自分にできること
大人の性的嗜好を満たすために、誘拐され売られ、性的虐待され続ける子どもたち
おぞましく、酷い話で、子持ちなら、親の「娘のいないベッドを見る気持ち」が痛いほど分かるだろう。
他人事とは思えない。阻止することができるなら、できることをしたいと切に思う。
どこまで実話なのかわからないが、他人のためにここまでできるティムと協力者バンピロには尊敬しかない。
それでも、
ティムがロシオの救出のみにこだわって、他の子は眼中にないのは何故なのだろう。
子供の誘拐、人身売買は、ターゲットが大きすぎて無力感しかない自分よりは、ただ一人でもこだわって救出したティムのほうが、何百倍も正しいことをしているに違いないのだが、純粋に疑問に思う。
この映画には、見て、拡散させることで世論を喚起し、少なくとも誘拐され奴隷にされる子供を減らす実行力のある対策につなげたいという明確なビジョンがあるのは分かった。
映画の制作意図と目的とは別に、映画として見ると、
前半から中盤までまるでドキュメンタリーのようだが、コロンビアの反政府組織に潜入するあたりから、荒唐無稽なよくあるヒーローアクション映画になっている。
そこそこおもしろいと思うが、エンドロールでジム・カヴィーセルが言っているメッセージの内容が、映画の内容と合っていないような気がした。
こういう被害にあった子どもたちは、その後どうなるのだろう
おそらく、無事に大人にはなれないのではないか
そんな目に遭うために生まれてきたのではないはずなのに
おうちに帰りたいと、どれほど願ったことだろう
考えただけで動悸がして涙が出てくる
せめて、救出された子どもたちが、傷を癒やして生きていけるように願っています。
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