劇場公開日 2024年9月27日

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「求道者のように職務に専念する主人公はやっぱりジム・カヴィーゼルが演じると説得力あるなぁ、と妙に納得してしまう一作」サウンド・オブ・フリーダム yuiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0求道者のように職務に専念する主人公はやっぱりジム・カヴィーゼルが演じると説得力あるなぁ、と妙に納得してしまう一作

2025年4月12日
PCから投稿

国際的な人身売買組織に立ち向かった実在する元連邦捜査官、ティム・バラードの体験に基づいた物語。冒頭の胸が締め付けられるような児童誘拐場面から始まって、終始「何とかこの子たちを助けて…」と祈らずにはいられない展開が続きます。

もちろん創作も含んだ物語ですが、バラードの扱った事件を下敷きにしているので、当然誘拐された子供たちが知略を発揮して犯罪集団を出し抜いて窮地を脱出、などと都合の良い展開が起こるはずもなく、全てはジム・カヴィーゼル扮する捜査官、バラードらのチームに託されます。

このバラードが身の安全も家族も顧みず救出作戦を遂行していく様は頼もしくもあるんだけどどこか超然としたところもあって、彼の意図を汲み取れない同僚たちからも困惑の表情を向けられる始末。『シン・レッド・ライン』(1998)や『パッション』(2004)で文字通りの殉教者を演じたカヴィーゼルだからこそ説得力がある人物像でした。

犯罪集団の面々の頭に色々隙がありすぎて、捜査機関と犯罪集団の対決という面では少し物足りなさを感じなくもないけど、しかしそれで誘拐された子供たちの安全が確保されるわけでもないので、どのような展開に至るのか、最後まで緊張感をもって鑑賞することになります。時折流れる子供たちの歌と踊りの美しさと自由であることのかけがえのはなさは表題になるだけあって強烈な印象として伝わってきます。

なお本作は、主人公のモデルとなったバラードと主演のカヴィーゼルがそろって陰謀論を擁護する言動をしていたとして、妙な形で話題を提供してしまいました。最近になって米国政府が国際的人身売買組織を摘発したという、この作品をなぞるような事件が報道されましたが、それによって本作に再び注目が集まるかどうか。

yui
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