「アメリカ中心に回る世界の闇を暴く」サウンド・オブ・フリーダム parsifal3745さんの映画レビュー(感想・評価)
アメリカ中心に回る世界の闇を暴く
ルミエール盛岡2で「サウンド・オブ・フリーダム」を見た。及川幸久さんや越境3.0の石田和靖さんのお薦め映画で、中南米から米国に人身売買が行われているという実話ベースの映画。ストーリー仕立てになっていて、ホンジュラスの姉弟がオーディションに参加したところ、連れ去られ、売られてしまったのを、主人公のティム・バラードが業者を逮捕しながら、危険を省みずに助け出すというもの。アメリカが主な顧客で、年間に数百万人もの性奴隷が新しく生まれていて、その大半が子どもだとか。
その事実を元に、何が行われているかを想像するとおぞましい。アメリカの富裕層が高い金を払って買うという需要があるから、貧しい中南米で悪者たちが暗躍する。まるでヒエラルキーのように国の階層が構築されていて、人間を買って変態的な嗜好を満足させようとする豊かな国、貧しく政情が不安定であるが故に、豊かさを求めて悪い奴が暗躍する途上国。犯罪が国境を越えて行われるので、捜査機関は摘発が困難となる。まるで、誰かがそのようなシステムをデザインしているかのようにさえ見えてしまう。
最近思うのだが、個人の人権、自由・嗜好が可能な限り認められると、実は崇高な理想が捨てられて、道徳の退廃、価値観の崩壊が起こり、貧富の格差と相俟って、金を得るために(或いは生きていくため)良心の痛みを感じずに、簡単に超えてはならな一線を越えてしまう人間が増える気がする。最近、日本でも、闇バイト、安易な強盗殺人などが多いのは、こういう風潮が関係しているのでは?
人間は、人と人との関係性、小さな社会で機能しているルール、マナー、倫理や道徳的な習慣、合意に基づいて生きている。しかし、人間関係が希薄になり、流動性が高まり、目の前の人がどこで何をしているかわからなくなれば、ばれなきゃいいと歯止めが利かなくなる。グローバル化が進み、海外からの移民やら犯罪者が入り易くなり、お互いに干渉しない社会になってしまうと、一体どうなってしまうのだろうか。LGBTQのような掛け声の下、人権尊重がクローズアップされすぎると、偏向していく人、悪に手を染める人を更に助長するだけで、この先大丈夫なのかと心配してい