劇場公開日 2024年9月27日

「光の裏に潜む闇」サウンド・オブ・フリーダム サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5光の裏に潜む闇

2024年10月1日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

知的

日本では小規模公開映画だけど、アメリカでは興行収入1位を獲得した話題作ということで鑑賞。どんな話か全く知らなかったが、これはすごかった、、、。軽い気持ちで見ていい映画では無い。とにかく悲惨で、残酷で、同じ人間の所業とは思えない、嘘のような本当の話。エンドロール中には異例とも言える形で、主演を務めたジム・カビーゼル自身がこの作品に掛けた思い、そして苦しむ人々を1人でも多く無くそうと強く呼びかける形でメッセージ動画を掲載していた。
制作から5年の年月を経て、ようやく全米で公開されたという本作。少しでも多くの人に見てもらうため、自分が出来ることはちっぽけではあるが、本レビューにてこの映画の背景を少し解説していきたいと思う。

まず、なぜ公開までにこれほどの年月が経ってしまったのか?その背景にはこんなことが起こっていた。本作が撮影されたのは今から6年前の2018年。そして、公開はその翌年である2019年を予定していた。しかし、配給契約を結んでいた21世紀FOXを、2019年にウォルト・ディズニー・カンパニーが買収。FOXの映画のライセンスをディズニーが取得したことにより、映画制作や公開の有無等の権限は全てディズニーに移行された。そして、なんとこの会社は真っ先に話題作であった本作の公開を見送ったのだ。

主演のジム・カビーゼルがQアノン(アメリカの極右が提唱する陰謀論のことを指す)であると、メディアは放送し、本作に対する注目度はいい意味でも悪い意味でも高かった。しかし、こんな疑問が浮かぶ。なぜ、ディズニーはこの映画の公開を阻止したのか?本作は人身売買された子ども達を救出する話。子ども達を楽しめるための映画やアトラクションを作ってきたはずのディズニーが、どうしてこの映画を葬ったのか?
勘のいい方は気付いただろう。小児愛者による人身売買の撲滅を掲げ、アメリカでそれらの法案を決議させるきっかけを作ったティム・バラード氏の実話をもとに描いた本作。そんな作品をあのディズニーがFOXの買収と同時にこの世から抹消しようとした。つまり、彼らにとってこの映画は、自分たちにとってすごく都合の悪いものだったのだ。ここでは明確な言及は避けるが、これを聞いて疑問を抱いたり、関心を持った人は是非とも調べて頂きたい。

ディズニーの人気は格段に落ちてきている。LGBTを推進した近年の映像作品の制作から不信感を抱く人々が続出し、フロリダのディズニーランドでは動員が減少しているという。子ども達を愛し、守ることがディズニーの役目ではなかったのか?元より、ディズニーはそんな心持ちは無かったのか?この映画が公開されたことは奇跡に近しく、公開の裏にはこのような真実が隠されていた。【引用: 児童人身売買を描いた映画『サウンド・オブ・フリーダム』を、ディズニーが阻止した方法】

先日の東京都知事選のように、日本でもメディアが取り上げる情報に明らかな格差が生じている。テレビや新聞はネットの普及により、かなり厳しい状況にあるのはご存知のことと思うが、そうなればスポンサーになっている企業や政界幹部に媚びるような番組作りしか制作できず、正しい情報はもみ消され、彼らにとって都合のいいことしか報道されない。何も全てが間違っているとは言わないが、情報は自分自身でしっかりと見極めなければならない。光の裏には闇がある。映画とは少し関係のない話になってしまったが、情報リテラシーというのは、今を生きる人々にとって、最も重要な力だと思う。

本作は小児愛者による性加害、人身売買のごく一部の話であり、アメリカを始めとした世界中の国々では今もたくさんの子どもたちが苦しい思いをしている。それは海外のことだろう?日本には関係ないよ。と、思ってはならない。
実際、日本でもジャニーズ事務所の元代表であり絶対的権力者・ジャニー喜多川による性加害が摘発され、事実上の倒産に追い込まれた。しかもそれは、アメリカの放送局・BBCが取り上げたドキュメンタリーによって自体が発覚され、衝撃の真実が顕になった。何も他人事では無い。自分の子どもがそのような事態に陥っても、なんら不思議では無い世の中なのだ。だからこそ、この映画を多くの人に広めて頂きたい。

鑑賞するのに勇気が出ない方のために、一応言っておく。本作はこういったテーマを扱いながら、性加害等の直接的な表現は避けられており、ある程度見やすいように作られている。実話と言いながらも映画であることは忘れず、軽快な音楽をバックに子どもを救う人たちの様子が描かれているため、ちゃんと一映像作品として面白みのあるものに仕上がっている。役者の演技も素晴らしい。子どもたちだって他の映画とは段違いの迫力だ。

長くなったが、いま世界はどう変わっているのか、何を変えなければならないのか、それをすごく感じさせる、ものすごいメッセージをもった作品だった。直視したくないが、これが現実。たまらなく怖かった。鑑賞後、たくさんの文献を漁り、知らなかった真実をたくさん知った。そのうえでもう一度見たい。ドナルド・トランプ元大統領もこの映画の偉業を称えている。ぜひ、機会があれば見てください。あなたの心に必ず、変化が現れるはずだから。

サプライズ