劇場公開日 2024年9月27日

「日本ではおよそ考えられない事態を扱う映画。ぜひ。」サウンド・オブ・フリーダム yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0日本ではおよそ考えられない事態を扱う映画。ぜひ。

2024年9月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

今年349本目(合計1,441本目/今月(2024年9月度)35本目)。
※ (前期)今年237本目(合計1,329本目/今月(2024年6月度)37本目)。

 日本では、児童誘拐、人身売買といった語は認知語彙としてはあっても、実際に起きるような事件ではまずもってなく、日本から見て隣国である韓国、台湾などでも程度の差はあってもやはり同じです。こうしたことから「これらのことは理論上の問題としてはありえても実際にはないのでは?」という感覚を持つ方も一定数いらっしゃいますが、そうではないことはこの映画の示す通りです。

 この映画自体、確かに他の方が書かれているとおり、「ある程度」政治的メッセージがあるのは事実です。ただ、この手の映画を作ろうとするとどうしても趣旨上そうならざるを得ないのでしょう。逆にどちらの立場にも極端に立たずできるだけ平等に描くというようには可能でしょうが、こうした事案が現在進行形で進んでいる諸外国においてそのようなことを言っている余裕はありません。これらのことを考えると、「多少の政治的な思想の入り込み」については仕方がなかったのかな、というところです。

 もちろん、この映画をみようとみまいと、日本においては児童誘拐、人身売買などない国であり「そんな国に生まれてきてよかったな」は「一瞬は」感じることはありましょうが、同時に、そういう「自由な国」である日本からどのような援助や解決策が導き出せるか、提案できるかという「次の考え方」に及ばないと、「いわゆる児童誘拐等の実態を映画という形で見て追体験する」だけになってしまいます。ただこの点は意図的に「日本はこうしてください」みたいな部分がほぼほぼなく(まったくないわけではないが、思想の押し付けは映画内ではほぼ見られない)、それは今週、「ベイビーわるきゅーれ3」や「犯罪都市4」など多数の作品群の中から本作品を選んだ方であれば、それが実行可能かどうか等は別として、「こういう考え方もあるかな」というのはぜひ考えていただければ、といったところです。

 どうしても行政書士の資格持ちという立場上、人権関係の映画は多く見に行く傾向がありますが、日本ではない他国においても日本国憲法が保障する諸権利は「日本国憲法が通用しない」諸外国においても、憲法が保障する内容や有名な判例他をある程度「主張しうる」ものであり、そうしてみたとき、日本が敗戦後作った今の日本国憲法が「色々な状況に応用してみることができるものと言いうる」点に気づかされる点にも観た感想としては良かったです。

 なお、採点において特段気になる点までないのでフルスコアです。

yukispica