劇場公開日 2024年9月27日

「これはアメリカだけの問題ではない!」サウンド・オブ・フリーダム おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0これはアメリカだけの問題ではない!

2024年9月29日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

怖い

興奮

このサイトの作品紹介で、本作が国際的性犯罪に挑んだ捜査官の実話をもとにしたドラマであることを知り、これは観ておかなければならない作品であると感じて公開2日目に鑑賞してきました。こんな骨太の作品であるにも関わらず、中高年がほとんどではありましたが、同日公開の他作品に全く引けを取らない客入りでした。

ストーリーは、性犯罪者を検挙しながらも被害者救済を果たせず、苦い思いを噛み締めていた捜査官ティムが、逮捕した性犯罪者から得た情報をもとに一人の少年ミゲルを救出するものの、彼の姉ロシオが未だに行方不明であることを知り、上司を説得して手がかりを求めて事件の温床となっているコロンビアに単身潜入し、現地の協力者とともに大規模な作戦を実行していくというもの。

序盤から、性加害を目的とした少年少女の誘拐、また性加害を想像させるシーンなど、胸糞悪いシーンが描かれます。子どもを商品や性玩具のような目で見る大人たちの姿に吐き気がします。これを幼い日に体験した子どもたちは、一生癒えぬ傷を心と身体に負い、その後どんな人生を歩むことになるのか、想像もできません。

そんな性犯罪に真っ向から挑む捜査官ティム・バラードの姿が熱く描かれます。制止する上司を説得してコロンビアに単身乗り込み、その身分を返上してまで現地での救出活動に取り組み、協力者や支援者を得て大規模な作戦を実行して成果を上げます。果ては、現地警察の手も届かない密林の奥地に陣取る反政府組織にまで単身潜入するという、とんでもない行動力です。捜査官としてだけでなく、多くの子を持つ父親として、性犯罪を許すことができなかったのでしょう。命懸けの救出作戦に挑むティム、そんな彼を信じて背中を押す妻、二人の姿が心を揺さぶります。

エンドロールでは、ティム・バラード本人からの“これは一人のヒーローの物語ではなく、姉弟の絆の物語だ”というようなメッセージも心に響きます。とはいえ、実際には姉弟よりもティムにスポットが当たり、どう見てもヒーローとして描かれています。ご本人の謙遜なのか、監督や脚本家による脚色なのかわかりませんが、本作をドキュメントのように捉えないほうがよいのかもしれません。

それでも、最後にスクリーンに映し出される言葉に衝撃を覚えます。なんと、合法だった時代よりも現代のほうが奴隷が多く、その中で数百万人の子どもたちが性的な搾取を受けており、その最大の消費国がアメリカだそうです。そんなアメリカが本作を作ったことに大きな意義を感じます。これを他人事と思わず、日本でももっと子どもの人権を守る風土を身近なところから作っていかなければならないと感じます。

主演はジム・カヴィーゼルで、捜査官ティムを熱演しています。脇を固めるのは、ミラ・ソルヴィノ、ビル・キャンプ、エドゥアルド・ベラステーギ、クリスタル・アパリチ、ハビエル・ゴディーノ、ホセ・ズニーガら。

おじゃる
seiyoさんのコメント
2024年10月13日

こんばんは~☺
いつも共感ありがとうございます

本当にジムカビーゼルさん、熱演でしたね

姉弟に幸あれ…

seiyo