「抗えぬ美の力」言えない秘密 Soさんの映画レビュー(感想・評価)
抗えぬ美の力
何よりも本作は、主演の京本大我くんの美しさを心ゆくまで堪能できる映画である。ショパンを髣髴とさせる顔立ちと優形の体躯は、クラシックピアニストの役に打ってつけであり、こんなに美しい男が「黒鍵」や「木枯らし」を本当にここまで見事に弾いていたらと想像すると、高校生の時クラスのイケメンに妄想の中で見事なピアノを弾かせては密かな慰みにしていた私の悪癖が、また目を覚ましかねない。最高の褒め言葉としての、悲しみが似合うそのアンニュイな美顔にとどまらず、手や腕の美しさ、しゃがれた高めの声の魅力にまで玩味の範囲は及び、劇中何度も溜息が漏れてしまった。
もちろん映画としても気に入った。一本一本の大事な柱のように作品を支える全ての演者たち。限りなくノスタルジアを誘う空間設定。選び抜かれた衣装。そして、中心に据えられた洗練された音楽。
良い映画に出会うと、自分の中で宝物がまた一つ増えたと感じる。それは確かな生きる悦びだ。
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