「私的感じた、この映画を優れた作品にしている点とは」言えない秘密 komagire23さんの映画レビュー(感想・評価)
私的感じた、この映画を優れた作品にしている点とは
(完全ネタバレですので必ず鑑賞後にお読み下さい!)
この作品は、ピアノの海外留学から日本の音楽大学に編入した主人公・樋口湊人(京本大我さん)と、大学内で内藤雪乃(古川琴音さん)とが出会う作品です。
私的に優れていると思ったのは、前半の主人公・樋口湊人と内藤雪乃の、それぞれの裏側背景を知らないままでも、2人のシンクロした部分が、ピアノの連弾演奏などと共にきらめいていた所だと思われました。
ともすれば気恥ずかしくなりかねない2人のシンクロした時間は、京本大我さん古川琴音さん2人の清麗でリズミカルに共鳴した演技によって、リアリティ説得力ある場面として表現されていたと思われます。
これだけで優れた作品になっていると思われたのですが、後半でこの作品の「秘密」つまり内藤雪乃の背景が明らかになっても、作品の根幹は保たれていた所に素晴らしさがあると思われました。
このような後半で真相が明らかになる作品の多くは、前後の整合性が取れていなかったり、どちらかに重きを置いてしまって前後のどちらかで良さが失われてしまいがちだと思われます。
しかしこの映画『言えない秘密』は、前半後半で、シンクロのきらめき、その説得力納得感ある背景構造、それぞれの良さが際立つ秀作になっていたと思われます。
私的に振り返っても、前半に違和感を感じないまま観れた上で、後半の説明でも前半の世界が整合したまま後半の深い感情を表現している作品だったと思われています。
惜しむらくは、設定が(作品の良し悪しは別に)やや既視感があるのと、海外の優れた作品のリメイクであるのと、ラストが少しだけ余韻が長いかなと思われ、個人的には今回の点数となりました。
しかし、そんな意地悪な見方をしなければ、十分、素晴らしい作品として他の人達の高い評価も納得の出来だったと思われます。
主人公の父親役の尾美としのりさんの演技も含めて、どこか大林宣彦 監督の初期の作品を思わせる素敵な作品で、個人的にも僭越ながら面白く観ました。