「ありがちではあるもののそれを超える完成度」言えない秘密 輪舞曲さんの映画レビュー(感想・評価)
ありがちではあるもののそれを超える完成度
感動モノが好きな人には是非見て頂きたい映画。
「言えない秘密」というタイトルから何となく結果が分かっていたが、それでもそれを超えるくらいの構成と演技で最終的には号泣していた。
音楽学校を舞台にしているため、ピアノのシーンがほとんどだったが終始流れるサントラやピアノの音色、曲がとにかく映画の雰囲気にマッチしていて良かった。特に物語の鍵ともなる“Secret”のソロや連弾がどれも心に響いた。
そして京本さん古川さんの演技も良かった。私が作中で印象に残ったシーンは、京本さん演じる湊が古川さん演じるゆきのに会うため、Secretを演奏するところだ。亡くなる直前であるゆきのを思い演奏する京本さんの表情に、“会いたい”という願いと必死さが溢れていて、スクリーン越しに見ている私も思わず間に合え、と祈ったほどだ。
物語途中からゆきのは普通の音大生ではないということを薄々感じていたけれど、実際にゆきのの日記を辿っていくと今までの行動の伏線がパズルのようにハマっていく感覚が個人的に気持ち良かった。
終わり方は変に未来を描かず、いつの日か2人で撮った写真を見つけて終えることで人それぞれ色んな解釈が出来るのも面白いと思った。
そして何より私が1番感動したのはラストからのエンドロールだった。この映画の主題歌であるSixTONESの「ここに帰ってきて」、映画を見る前からこの曲を気に入っていたので映画館サイズで聴けることを楽しみにしていたが、実際に流れるとまるで我々に追い打ちをかけるような歌詞とメロディー、そしてSixTONESの歌声に涙が溢れた。恐らく湊のその後の心情を描いているためか「叶うのなら」「ちゃんと前を向いて生きてるよ」という歌詞を聴くと胸が苦しくなった。
また見たくなるような映画だった。