劇場公開日 2024年6月28日

「楽譜の読み方などに若干の前提知識があるので注意かな。」言えない秘密 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5楽譜の読み方などに若干の前提知識があるので注意かな。

2024年6月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

今年229本目(合計1,321本目/今月(2024年6月度)29本目)。
(前の作品 「バッドボーイズ RIDE OR DIE」→この作品「言えない秘密」→次の作品「アニマル ぼくたちと動物のこと」)

 ちょっと展開が突飛かなと思った印象がありますが、ここの紹介やエンディングロールにある通り、台湾映画の日本の新解釈版といった扱いであるようです。

 この前提にたったために、台湾とは文化が近いといわれますがよくわからない展開があるのも確かですが、「音楽が絡む映画」というカテゴリでは推せるのではないかな、と思います。

 音大や美大はその性質上、入学も大変なら(音大などはその特殊性ゆえに偏差値、ランキング等があまり意味をなさない)、卒業も形式的には可能でも実際にピアノ教師等になるのでなければ進路が狭まるといったことは日本ではよく言われることで(台湾でも同じ趣旨)、これに絡めた発言があったのが良かったなといったところです。

 ネタバレなしになるのでさくっと書きますが、後半おとずれる「ある出来事を知ること」から物語が大きく動いていきます。この部分は確かに日本の一般的な映画からするとやや違和感があるかなといったところですが、台湾映画のリメイクということもあるのでまぁ仕方なしといったところです。

 ただ最初にのべた通り、和音理論や和音展開といった音楽理論に関することをやや要求する発言があるので、ある程度「音楽をたしなんだことがある方」はかなり有利だろうといったところです。

 採点に関しては以下まで考慮しています。

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 (減点0.3/大学内での賭博行為)

 大学では大学の自治が認められますが(憲法23条)、それは絶対無制限ではなく、賭博行為のようなものはもちろん警察権が働きます。この点はちゃんと描いてほしかったです(賭博するしないはこの映画の論点ではない)。

 ※ もっとも、刑法上の単純賭博罪での検挙事案がどれだけあるのかという実際上の議論もあろうかと思いますが…。

 (減点0.2/事務管理の描写不足)

 事務管理(697条以下)は一般事務管理でも緊急事務管理でも、本人の意にそうか、本人の意思を推知できることが前提です。

 (減点0.2/心裡留保と身分行為)

 心裡留保は身分行為には適用がありません(養子につき判例)。

 ※ 相手方や第三者に対しても適用がないのであり、善意無過失の相手方や善意の第三者との対抗関係になるのではない。
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yukispica