「おもろい」映画ドラえもん のび太の地球交響楽(シンフォニー) あ=スさんの映画レビュー(感想・評価)
おもろい
映画ドラえもん のび太の地球交響楽を見た。
ドラえもんの映画を見るのは本当に久しぶりなのだけれど、めっちゃおもろいやん!ってなった。以下、私的な感想を書き留めます。
~私的な感想~
まず思ったことは、ストーリーがバチバチのSFで、ロマンに溢れていたということ。
星を喰らう宇宙生命体、音楽をエネルギーに変換する地球外文明、ファーレの殿堂と呼ばれる(おそらく地球の軌道上を周回している?)方舟。(個人的に、殿堂が地球へ向けて宇宙を移動している時、生き延びたムシーカ人は船内で冷凍保存されていたのではないかと勝手に妄想してます。)SF好きな私の琴線にストーリー設定がビンビンに触れまくっていた。
個人的な見解として、SFの魅力は、その物語が内包する”エモさ”にあると思っている。広大な宇宙を前にして、人々の存在は小さく儚い。そのような切なさ、哀愁のようなものがSF作品ではより際立ち、”エモさ”を加速させている。SFといっても、描かれるのは恋だとか友情だとか、そういった登場人物の人間ドラマだったりすることが多い(人間に限らないけど)。壮大な世界は、登場人物の信念や思いを切実に映し出してくれるような気がする。今回のドラえもんの映画にもそれは言えよう。何よりもぐっと心に来たのは、4万年という時の重みだ。4万年前、ミッカの双子の妹が笛とともに地球に送られた。(個人的には、これが地球の音楽の歴史の起源であると解釈している。)それから、4万年という果てしない時の中で、笛とともに音楽は人類に受け継がれてきた。音楽は地球全体に広がり、変化を繰り返し発展し連綿と受け継がれ、ついには地球交響楽としてノイズを退けるに至る。そこにある人々の営み、ムシーカ人の思い。最後は本当に、4万年の人々の営みがここに一つ結実したのだ!という満足感、充実感、達成感で流石に泣いた。ミッカと歌姫ミーナの対面シーンも好きや。彼女たちの間に存在する血の繋がり、そして4万年の隔たり。
SF設定以外で好きな点は、伏線というか、前半の日常パートとかの一見必要性が感じられないシーンが後半思わぬ形で物語に関わってくるところ。「あらかじめ日記」の使用が、ノイズの胞子が地球に付け入る隙を与えていたり、会話上に登場した歌姫ミーナであったり。(日常パートといえば、電線がよく5本描かれていて、あれは五線譜を表しているにちがいない!と勝手に推測したりした。)伏線に関連して、最後の風呂場に地球が移されていたシーンは個人的に好きなシーン。このシーンに、ドラえもん作品の魅力を感じる(超個人的解釈)。
勉強机の引き出しの中は時空間への入り口、風呂場には空間ごと切り取られた地球。のび太という平凡な小学生の生活が、未知の、巨大な世界と繋がっている。このワクワク感。もしかしたら自分の机の引き出しも時空間と繋がるのでは、と思ってしまったり。この感覚がドラえもん、ひいてはSFの魅力の一つであると思う。
音楽について。(スネ夫バイオリン上手すぎて笑う。)音楽って本当に凄くない?なぜここまで人を感動させることができるのか、不思議で仕方がない。最初の、音楽の歴史紹介みたいなシーンですでに泣きそうになってしまった。河原でみんなで音楽を奏でるシーンも好きや。様々な音が重なり合って、一つの音楽が完成する、他者と音楽を奏でる悦びみたいなものを感じられる最高の場面や。あとミッカの歌声綺麗すぎな。地球交響楽、あの曲の題名が明かされるシーンは鳥肌が立った。タイトル回収ついにきました感。そうタイトル、この映画のタイトルよ。本当に好きです。ノイズが襲来した後半、地球全体から音楽が鳴り響いていた。まさに”地球”交響楽。こんなに綺麗で格好良いタイトルにはなかなか出会えないと思うのですよ。
総じて、「SF」と「音楽」が私の好みにぶっささり、個人的に滅茶苦茶好きな映画だった。音楽のこともあって、映画館で見れて本当に良かった。感動に尽きる。
あとミッカ可愛すぎる