「世界屈指の原子力発電会社の労働組合書記長モリーヌ・カルネ(イザベル...」私はモーリーン・カーニー 正義を殺すのは誰? りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
世界屈指の原子力発電会社の労働組合書記長モリーヌ・カルネ(イザベル...
世界屈指の原子力発電会社の労働組合書記長モリーヌ・カルネ(イザベル・ユペール)。
ある日、自宅で何者かに襲われ、監禁され肉体的凌辱を受けた姿を家政婦が発見する。
が、現場には犯人の痕跡が残されていない。
警察はモリーヌの自作自演ではないかと疑いはじめるが、その裏で、原子力発電会社と中国企業との提携、それをとりなす汚名高きブローカーの存在があり、政府閣僚や会社トップも提携話に前のめり、従業員を守ろうとするモリーヌの存在が疎ましかったことが明らかになる・・・
といった実話ベースの物語。
鑑賞してかなり日が経ってからのレビューなので、細部は忘れたが、凡作の『ルーヴルの怪人』『ルパン』を撮った監督にしてはかなりの馬力で、現在と過去を交差させながら、観客をぐいぐい引っ張っていきます。
イザベル・ユペールは年齢不詳の白塗りメイクでモリーヌ・カルネを演じていて、芯の強い女性を現している。
なお、劇中ではモリーヌ・カルネとフランス語発声なので、ここでもそちらにあわせている。
興味深いのは、電力会社の前女性社長との共闘関係で、周囲からはフェミニスト以上、同性愛ではないかとの陰口で叩かれる。
女性に対してジェントルと思われるフランスでも、こういう感じなのね。
映画は、若い女性警官のリークにより、過去にも同様な背景で同じような手口の事件が起きており・・・と展開し、ミステリ要素も濃くなり、面白さは最後まで継続します。
フランス版熊井啓映画というのが適切なところか。
俳優陣ではほかに、女性社長の後を引き継いだ社長役のイヴァン・アタルが意外といい。
以前は線が細いイメージがあったが。
他に、労働組合のナンバーツーやモリーヌの夫の中年男性俳優ふたりもいい味を出していました。