「フィションをフィクションのままで終わらせないという強い意志。」戦慄怪奇ワールド コワすぎ! 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
フィションをフィクションのままで終わらせないという強い意志。
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コワすぎ!シリーズ8年ぶりの新作にして、白石監督曰く完結編。「トイレの花子さん」や「最終章」など、シリーズの過去作を思わせるリアルタイムのノンストップ感を再現しながら、シリーズらしさや白石監督ならではの要素をギュギュッと凝縮させた集大成的な作品になっていて、ホラーの衣をかぶったごった煮エンタメとしての「コワすぎ!」や「白石晃士」は、もはやひとつのジャンルなのだなと改めて認識させられる。
今回の物語が、映画業界におけるセクハラや性的暴力の告発を反映していることは間違いなく、露悪的でもあった本シリーズのテイストにある種の修正が施された。その点については賛否の両方があって当然だし、性被害をあくまでも加害者中心に描いてしまっている限界もあるとは思う。しかし現状をよしとせず、前に進もうとする強い意志が感じられることもまた確かで、フィクションをフィクションのままで終わらせない姿勢は頼もしくすらある。
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