「向き合うということ」月 北枕寝二さんの映画レビュー(感想・評価)
向き合うということ
いつもの映画館①で
好きな監督の最新作なので楽しみにしていた
主演宮沢りえだし磯村勇斗も出ているしこれは観るしかない
全編に一貫する暗いトーンこれで2時間半はさすがに辛かった
退屈したとかそういう意味では全然なくてむしろ全集中して疲れた
本来この監督の作品にみられる
そこはかとないユーモアは抑え目だったという意味
オダギリジョーが殴るシーンで
次の画面でキズだらけになっていたところは唯一笑えた
あと宮沢りえとオダギリが最後の方で向き合うシーンで貰い泣き
向き合うということもこの映画のテーマなのだろう
エンドロールで原作モノだったと改めて知る
辺見庸の小説は前に読んだことがあって
やはり暗くそれ以来何となく遠ざけていた
外形上のストーリーはやまゆり園の事件に似ているので
実際の犯罪者もこのような境遇で
実は深い考えを持っていた人物だと誤解する恐れはある
オラはそうは思わない もっと短絡的な犯罪だったととらえている
映画では入院するまでで話を終えて
あとは観客の想像に任せても良かったような
入院のときに車いすに乗せられているところの意味がよく分からなかった
施設の中の描写のおどろおどろしさはやりすぎ
いまどきはもっと明るいだろう
最近武田鉄矢の朝のラジオでこの事件のことに触れていて
犯人が問う障害者に生きる意味があるかといった言葉に巻き込まれてはいけない
という論に共感する 犯罪者の思う壺論と似ているのだがちと違う
なぜヒトを殺してはいけないのかという問いも同じ類いだと
そんな質問に付き合う必要はないと
ちなみに清水義範はエッセイの中でちゃんと答えていて
それを許すと社会が壊れるからと明言していた
磯村勇斗を始めこの映画に関わった役者とかスタッフのタフさには敬意を抱く
この人たちみたいに長いものに巻かれず自分の足でしっかり立つ人物になりたい
終わったら22時
映画とは違うが半月が西の空に見えてキレイだった
明日は休暇だ 日帰り入浴とビールで健康を謳歌するのだ