「2度目のチャンス」6月0日 アイヒマンが処刑された日 MARさんの映画レビュー(感想・評価)
2度目のチャンス
鉄工所にて働き始めた少年ダヴィッド。めきめきと仕事をこなしていくが、戦争犯罪人のアイヒマンを火葬する焼却炉を作るという話が舞い込んで来て…といった物語。
2時間弱という尺の中で、場面場面で主人公が変わるような、オムニバス的な印象を受ける作品。随所に、宗教観や死生観を感じられるようなつくりが印象的。キャラクターも皆良い感じですね。
ダヴィッドは子供なのに優秀。対してゼブコはまさに怖い上司といった感じ。それでいて、仕事をやってのけ大人ぶるダヴィッドを叱るゼブコとの姿はなんだかホッコリ(笑)
ハイム主人公パート(?)は重苦しいですね。相手が相手だから…胡散臭い床屋とのシーンやアイヒマンの監視シーンはホラー感すら感じる程。変なジャーナリストにつきまとわれたりもして、中々精神を保てない姿が印象的だった。
ミハ主人公パート(?)は哀しい。あの女性との会話シーンは中々グッときますね。
81回目の…ここを前面に押し出した作品にしても良かったかも。
そしてそして、アイヒマンが処刑され火葬され…。悪人ということは置いておいて、やはりこういったシーンは物悲しいですね。BGMも相まって、灰の話には胸を打たれた。
(あのピアノ曲、ちょくちょく聞く気がするがなんという曲だろう…)
かなり重厚な物語であり、訴えかけてくるものもあるが、結局主軸がなんだったのかなぁという印象も。火葬にまつわる宗教的な話?ダヴィッドの成長物語?要人の処刑という重圧?迫害されたユダヤ人の悲劇?処刑の物悲しさ?歴史に名を残すこと?
そのどれもが印象的ではあったが、話があちこちに飛ぶので感情を追いつかせるのが少し大変な作品でもあった。
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