「バレエとコンテンポラリーダンスの演技が素晴らしいです。踊っていない場面でもテンポの良さが感じられ、見ていて気持ちの良い作品です。」ダンサー イン Paris もりのいぶきさんの映画レビュー(感想・評価)
バレエとコンテンポラリーダンスの演技が素晴らしいです。踊っていない場面でもテンポの良さが感じられ、見ていて気持ちの良い作品です。
何気なく上映中の作品紹介を眺めていたところ
「ケガで夢を失ったヒロインの再生の物語」を発見。
好みの内容かも …と気になって鑑賞です。・_・
パリはオペラ座でエトワールを目指し活躍するヒロイン。
舞台の幕が上がる直前「彼」の浮気現場を見てしまう…
動揺。…そして
演技中に着地に失敗してしまう。
右足首の捻挫。ギプスで固定。
しばらくは舞台に立てない。落ち込むエリーズ…。
診察した医師からは、
” 2~3カ月は安静。状態が悪化すれば手術が必要。”
” 治るまでに2~3年。最悪治らないかも知れない。”
そんなことを言われ、落ち込むエリーズ。
何かをして気を紛らわせなければ。
元パレエダンサーの友人の誘いもあり
友人の彼(=料理人)の仕事のヘルプとして
パリから離れた宿泊施設の、食事を担当する仕事に
同行することになった。
その宿泊施設のオーナーは姐御肌の女性(60代?)。
若者たちのアートや芸術に理解があり、自分の宿を
練習の場として提供している人のようだった。
やってきたのが「コンテンボラリーダンス」の団体。
大勢のメンバーの中に、見覚えのある顔。
団体のリーダー(=メディ)は、この宿に来る少し前
に出かけた街で、踊る姿を見かけた男だった。
踊りに興味をもったのをエリーズは覚えている。
そのリーダーから
「どこかで会わなかったか?」の声。
彼も以前の出会いを覚えていたようだ。
こうしてエリーズは、コンテンポラリーダンスという
新しい世界に接することになった。
メンバーの練習相手を務めたりしているうち、バレエ
とは異なるこのダンスの魅力に引き寄せられていく。
と、まあ
一人の女性の、目標の喪失と再出発とを描いたお話です。
重苦しい雰囲気ではなく、前向きに進んでいく姿が明るく
描かれた作品でした。
また、全体を通して「綺麗な作品」との印象です。
光(陰影)の表現方法 とか
演技者の表情の捉え方 とか
ロングとアップの切換え とか
場面全体から感じるリズム感 とか
どれもキレの良さ(?)が感じられて心地よさを感じ
ながらの鑑賞でした。
あ、もちろん
登場するダンサーの身体の躍動する姿もとても綺麗で
嘆息するのみです。
観て良かった。
満足です。
◇あれこれ
■ヤン(理学療法士)
エリーズの身体をケアする理学療法士なのですが
後半はコミカル担当も兼任してしまったようで… -_-;
エリーズと同じタイミングで失恋したにも関わらず
" エリーズのこれまでは間違いじゃない
軸をぶれさせてはダメ 新しい恋を探しなさい”
と励ます姿は、理学療法士の枠を越えメンタルケアも
担当するカウンセラーのように見えました。
このヤン、しばらくエリーズの担当を離れて遠くに
行っていたのですが、何やら心に秘めて戻ってきて…
あれ? もしかしてエリーズに? あれれ…??
彼、良い奴なんですよ ・_・
最後は彼女が出来ていたようで 良かった
■揺れてます
昼はキッチンカー、夜は寝床に早変わり。
そして時折、揺れます。主に夜。えへ
揺れる理由がか分かりません。えへ
けれども揺れます。 えへへ
揺れる原因、最初は料理人と友人のカップル。
その組み合わせが何度か続いて、最後は
エリーズとメディ。わーい。おめでとう。
仲の良い事は、良いことですね♡
※ この「ゆさゆさ」にフランス映画らしさを感じたのは
私だけでしょうか。はて。
■タイトル
原題 En corps
邦題 ダンサー イン Paris
原題を直訳すると「体内」(Google翻訳先生)
なんか分かるような分からないような…。
邦題の方が分かりやすくはあります。
パリが舞台ではあるのでしょうけれど
"Paris" とタイトルに付けるのは、そうする事で
色々と「上がる」気がするからなのでしょうか?
※「北海道産」とついた食材がより美味しそうに
感じるようなものかも。
◇ 最後に
” バレエには型がある。だから「完璧な演技」が存在する ”
” コンテンポラリーには型は無い。表現は自由 ”
” バレエの演技は、空を目指す ”
” コンテンポラリーは、地面に近づく ”
このようなセリフが作中に出てくるのですが(…確か)
ダンスの本質を言い表しているような気がして
心の中でなるほど と頷いています。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。