「第二の人生の始まり」ダンサー イン Paris 文字読みさんの映画レビュー(感想・評価)
第二の人生の始まり
2022年。セドリック・クラピッシュ 監督。パリのクラシックバレエ団でトップを演じる主人公は恋人の浮気と公演中のけがのダブルパンチで舞台から離れ、バレエを続けるかどうか迷う日々。次のステップを探るためにかつての友人とともに行動するうちに、コンテンポラリーダンスの一団に出会い、踊る喜びを取り戻す。同時に、幼くして母を亡くしてから育ててくれた父親とのぎくしゃくした関係にも立ち向かっていく、という話。
バレエを離れ、パリを離れて、知らない場所で新しいことや新しい人に出会う。わかりやすいくらい「第二の人生」の背中を押す物語。主人公をはじめとして本物のダンサーたちをそろえて演じさせているが、特に主人公を演じた女性は臆することのない堂々とした動きも、もろくはかない佇まいも、ともにすばらしかった。
本物のダンスにこだわったダンス映画としての出来栄えは気になるところ。監督自身が、編集で見せる映画のダンスではなく、本物のダンスを撮ろうとしたらしいので、意図的にカット数を抑えたようだ。うまくいっているのだろうか。例えば、地方の研修所のような施設で、主人公とその元同僚の3人がクラシックバレエを踊るシーン。3人並んで踊る場面となるとどうしてもゴダール監督「はなればなれに」を想起してしまう。宣伝用スティルカットでもこの3人のダンスシーン場面が用いられているだけに期待してしまったのだが、カット数の問題とは関係なく、どこからどのように撮るのかの考察がちょいと雑ではないかと。バレエならではのなめらかで美しい運動を活かしてほしかったのだが。
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