「自慢の娘さんですね」ダンサー イン Paris TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)
自慢の娘さんですね
折角の3連休だというのに観たい映画がなかった今週(来週はどうしても4本までしか絞り込めないのに!)。ところが、先週ヒューマントラストシネマ有楽町に訪れた際、ちょっと引っ掛かったのがこの作品の予告編でした。いつもの如く、それ以上の情報を入れずに観た感想は「ナメてた」という想い。取り敢えず、劇場からの下りエスカレーターに乗りつつ作品紹介を映画.comで確認して「ああ、『おかえり、ブルゴーニュへ(18)』の監督だったのね」と自分なりに納得しました。
まずアバンタイトルから、エリーズを演じるマリオン・バルボーの踊りが圧倒的。一つ目の「事件」直後、動揺を隠し切れないエリーズですが、無音で踊る彼女のソロに魅了され鑑賞前に感じていた眠気を一瞬で忘れます。なお、私がここでぼかしている「事件」は予告で知らされているため、観ているこちらも「どこで?」とハラハラなのですが、そこでオープニングクレジットが流れてこれまた外連味たっぷり。ワクワクです。タイトルが出て、エリーズは自分を落ち着かせに外に出て喫煙。ここでの夜景がまた素晴らしい。パリなのかな?
ところでこの邦題はダメな部類ですね、、『ダンサー イン Paris』って。。埋もれそうなタイトル付けますね。ちなみに原題は『En corps』。おそらく、中盤以降にエリーズが出会うコンテンポラリーダンスカンパニー(corps=団)を表しているのかと思いますが間違っていたらすみません。ちなみに米題は『Rise』。ま、、タイトルは難しい。
(話を元に戻して)その後、幕が進んで起こる第二の「事件」が起き、その翌日、泣きたい気持ちで療養士ヤンに状態を診てもらっていると異変が。。ちなみに、この作品に出てくるトホホな男性陣3名(ヤン、ロイック、そしてアンリ)がいい味を出していてまた魅力になっています。
さらに、その後あるきっかけで出会うメディ・バキ(本人役)のブレイキン(ブレイクダンス)がまたカッコいい。この辺は2024年パリオリンピック競技大会の新競技種目に追加されることを意識していると思いますが、物語の中でもクラシックバレエ、コンテンポラリーダンスと比較して語られ、自然で巧く取り入れられていると思います。
そして、終盤はエリーズの言葉を受けて口ごもる父・アンリの気持ちで観てしまい、娘などいない独身の私もついつい感極まって、エリーズの渾身のダンスに落涙。さらに、母へ手紙で語り続けるエリーズの言葉にまた落涙。。自慢の娘さんですね。。
いやいや、下手をすれば見逃していた本作ですが、正直、夏休みシーズンということもあり「大人な映画」が少なかったこともあり、下半期に入ってしばらくグッとくる映画に出会えていませんでしたが、久しぶりに感動してついついお友達へ「押しつけLINE」しちゃいました。好みの映画です(しみじみ)。