劇場公開日 2024年3月15日

「今週大荒れになると思われる作品。よく考えてからの視聴がおすすめ。」変な家 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0今週大荒れになると思われる作品。よく考えてからの視聴がおすすめ。

2024年3月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

今年102本目(合計1,194本目/今月(2024年3月度)20本目)。
(前の作品 「FLY!フライ!」、次の作品「セッション」)

 まさか、この映画で精神的にお疲れになるとは思いませんでした(そのあと、「RED SHOES レッド・シューズ」を見てかえる予定だったのですが、精神的に疲れ果ててそのまま帰宅…)。

 まず、この映画は1~2か月くらい前から予告があったと思うのですが、予告編を見る限りでは、提示された間取り図から「家の構造の謎を解き明かす」という「謎解きもの」というように解して、それ以外のパート(恋愛パートでも何でも)はサブ筋としてだけ出てくると考えた方は多かったのでは、と思います。

 ただ、それらの筋は出ては来るものの、実は大半はホラー作品(なお、一般指定です。この点も後述)で、「ややジャンルだましか」という点(この点が大きく問題になったのが、「それがいる森」だった)の批判はちょっと免れないんじゃないか…というところです。

 かつその「ホラー作品の展開に飛ぶ」といっても、その飛び方がまるで前後関係なく飛んでくるので(まぁ、一度見ればタネはわかるわけですが)、ちょっとこれはないなぁ…といったところです。ほか、あまりストーリーに関係しないサブ筋をいくつか入れた点も(資格持ちには)気になる点もあり、こりゃどうやって見るんだ…といった「疲労感」がかなり強いです。

 ※ かつ、当該監督さんの過去の作品にもホラー映画はないので(このサイトの監督検索でもわかる)、さらに「何を言っているの?」という謎の展開に次々飛ぶのがかなり厳しいといったところです。

 映倫の指定としては一般指定ですが、内容が一部グロテスクな点があり、PG12いっても文句は言えないかなといったところです。また、大半がホラー作品の様相であるため、「ストーリーはあってないようなもの」に途中からなるので、「なんでそうなるのか」という理解もおいつかず、かなりの方が理解に詰まるんじゃないか…といったところです。

 まぁ、今週(3/15の第3週の枠)は「砂の惑星2」が本命枠に来ることは百も承知ですが、「対抗作品」が本作品かと思って見に行ったらこれだったので、うーむといったところです(砂の惑星を否定するわけではないけど、3時間枠は厳しい)。

 採点にさっそく入ります。
展開の趣旨的にネタバレになるような部分の採点は極力避け(といっても、ホラー映画に大半になるこの映画で何がネタバレなのかという概念は観念しづらい)つつもいきます。

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 (減点0.7/この映画の予告編などからホラー映画満載の展開になることの想定が困難)

 一般的に予告編等を見れば「変な見取り図から謎を解く映画」という「謎解きもの」を想定する方が多いと思いますが、そういう話は1割ほどしかないので注意です(実質的にはホラー映画に分類される)。ただ、この映画はどうも元ネタがYoutubeの個人ネタの動画が元ネタであるようで、完全にノーヒントであった「それがいる森」などとは事情が異なるので、採点幅は考慮しています。

 (減点0.2/映画のトリックが成り立つかどうか怪しい)

 通常、建物を建てようとするときには「建築確認」というものが必要です。日本の狭い国土面積を有効に使い、かつ、崩壊などの恐れがないように、図面等を提出した上で、図面のチェックと、工事途中と工事終了後に行政が入って確認作業を行うものです。これは本来は「建築主」(~ぬし)が申請するものですが、建築士(1級、2級、木造)と、実は行政書士がその代行が可能です。

 ※ 本来、建築士の独占業務であるように見えますが、この代行が行政書士にも与えられているのは、地域ごとに事細かく違う建築行政を熟知しているのは行政書士であるという事情からです。ただ、行政書士は当然、図面の細かいことはわからないし、逆に建築士も建築行政を細かく知っているわけではないので、ほぼ「両者の協力関係で行っている」事情です(建築士の方が実際少なく、依頼するにもできない、という事情もあります)。

 ここで、この確認作業は、中間、終了時点において「図面通りに建築されているか」といった現地調査が行政から入るので(実際に人がやってくる)、映画のようなトリックは成立せず(勝手にいろいろ改造すると、建ぺい率基準や耐震基準に抵触します)、どうなんだろうという気もしますが、まぁホラー映画なので…。そういった論点はほぼ飛ばされているものと思われます。

 (減点0.2/一般指定でよいか疑問が残る) ※ 基準のひとつ違いは0.2固定

 この映画は一般指定ですが、PG12ついても文句は言えないかな…といったところです。明確に極端にグロいシーンはないものの「やや飲食が厳しいかな」というシーンはあります(2時間ほどの映画だし、何も持って入らないのが正解という気がする)。

 (減点0.1/いわゆる「炊き出し」について)

 炊き出しは必ずしも行政への届け出を必要としませんが、特に無料のもの(福祉的な観点で行われているボランティア活動)については「有料無料のトラブルを避ける」「万が一食中毒になったときに追えない」という事情から、「法には規定がなくてもできるだけ申請・事前連絡して」という都道府県が大半で、この点はちゃんと(エンディングロールほかで)ケアしておいてほしかったところです。

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 採点に関しては、気になる点は個々ちゃんとあげながら、過去の作品の採点例との整合性をかなり重視する立場なので(換言すれば、過去の採点例と極端に異なる採点相場を持ってくることはない)、採点上かなり「いじった」点があります。上記は3.8で切り上げ4.0ですが、3.5評価されても仕方なしか…という気がします(ただ、「大怪獣~」ほどの無茶苦茶さは見出せないので、3.0はつかないというくらい)。

yukispica