「やや論点が何なのかという点の説明が不足か…?」ロスト・キング 500年越しの運命 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
やや論点が何なのかという点の説明が不足か…?
今年326本目(合計976本目/今月(2023年9月度)36本目)。
(参考)前期214本目(合計865本目/今月(2023年6月度まで))
分類としては「歴史もの」になりましょうが、その背景としてこの「発見」があったことは史実に基づくものであるためあることないこと描けないという特殊な事情はあります。
その「発見の事実」について知っている方は少ないのでは…と思える(少なくとも高校世界史には載っていない)ため、「ネタバレという論点があまり発生しにくい」のは確かではあろうと思います。
一方、ただ単に「いろいろな証拠や推測をかきあつめて「ここだ」と思った部分を掘ってみたら…」という点それ自体は史実の通りであるため、かなり淡々と進む一方、映画で触れられている事項が発展的に「何を観客に語りたかったのか」という点が日本の字幕でははっきりしない点もあります。
歴史好きにはおすすめといったところですが、明確にわかりにくい点もあります。
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(減点0.3/脊椎側弯症について何を述べたいかがはっきりとしない)
側弯症自体は古い時代から見られるもので、国王・女王といった身分の高い人はもちろん、当時は一般的な病名でした。
そしてこの脊椎側弯症も、先天性のものもあれば後天性のものもあり(ラストあたり、小児を抱いているシーンは、その子が先天性のものであることを彷彿とさせます)、また、日本国内基準においても、前述の通り「先天性か後天性か」ということ、さらに、「身体障がい者手帳の交付の対象になりうる」「そこまではいかないが、難病指定の対象になりうる」「それも該当しないが、整形外科に通うことが前提になる」あるいは、「レントゲンで検査すれば気が付く程度で普段特段問題なし」という方もいます。映画内では、こうした「(先天性か後天性かは明確に描写されないものの)側弯症の方が差別されていた」時期があるのは事実である一方、日本国内では、この「(極端な)側弯症賞状」については「ある表記(ひらがな3文字)」をされることがありますが、それは日本国内では事実上の放送禁止用語(ないし、放送において配慮を要して差し替えられることがある)語です。
こういったことがあるため、日本国内でみた場合、「国王の発見のためにいろいろ主人公が尽力した」という見方以上に、「側弯症に対する差別はやめましょう」という意図に読むことも可能で、やや「複数の取り方が可能である」という点は言えます。
(減点0.1/日本で放映する場合の字幕の配慮不足)
この時代はイギリスのばら戦争の時期ではありますが(ボズワースの戦い、は、まさにそれ)、西暦何年という記述から逆算可能ないくつかの描写に気が付かないと、ばら戦争が背景にあることを知らないと理解にはまりを生じる部分もあり(「ボズワースの戦い」は高校世界史では出ない?)、ややここはもう少し字幕上配慮が欲しかったです。
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