「不安と怖れ」イノセンツ しんさんの映画レビュー(感想・評価)
不安と怖れ
観終わったあと、ぼくには子どもたちの不安や恐れといった感情が強く印象に残った。
その最終的な発露が超能力という形をとって現れるのだろう。
どこかよそよそしくて冷たい団地の風景。
物語はほぼその敷地内と鬱蒼とした森のなかで展開し、子どもたちの世界のなかだけで進行する。
この作品に登場する大人たちは背景の一部のようなものだし、そもそも大人たちには自分の都合があり、子どもたちの不安や恐れにまとも取り合っている余裕などない。
体温が低い絵と終始漂う良くないことが起きる気配。
積み重ねられていく不安と閉塞感。
ホラー的演出を随所に散りばめながら、丁寧に子どもたちの感じる不安や恐れが積み上げられていき、観客はノルウェイ郊外の団地に閉じ込められている。
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