卍のレビュー・感想・評価
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現在の禁断とは
作品を見る前に谷崎潤一郎の原作を読みました。当時は同性愛が禁断となり、現在の感覚だと何もそこまでという感じで読んでいました。そして、令和版の映画「卍」は設定が色々変わっています。特に園子は自分でセレクトショップを経営する設定になっていたり、同性愛よりも不倫の方が重たかったりします。
短期間で撮影したという話でしたが、景色の綺麗な海などロケ場所も多く、光子役の新藤まなみさんと園子役の小原徳子さんのラブシーンは、ゆっくりじっくり美しいと思いました。ラストの園子のなんとも言えない表情に作品としての余韻を持たせ、小原徳子さんのさらなる演技の伸びしろを感じました。
魔性の女?自分に正直な女性?
歯科医の孝太郎を夫に持ち、服のショップを経営する柿内園子は、服に似合う良いモデルがいないか探していた。そんな時、孝太郎から光子という笑顔が素敵な女性を紹介された。喫茶店の店員で、孝太郎がたまたまその喫茶店に行き、知っていたのだった。モデルとカメラマンという仕事を通して親しくなった光子と園子だったが、園子は光子に魅了され、2人はレズの関係となっていった。ある日、光子の同棲相手のエイジが園子の店にやってきて、園子に「光子を2人で共有しよう」との提案した。同じ頃、孝太郎は車のナビの行き先履歴やドラレコの音声で光子と園子の情事を知ってしまった。そして光子に園子と別れてくれ、と手切れ金を渡し、光子が園子にモデルを辞めると連絡し・・・という男女4人が絡む話。
原作は読んだ事ないが、現代にアレンジしてあるのだろうと思う。
光子は同棲してる彼がいて、園子に憧れ、孝太郎とも体の関係を持ち、魔性の女なのかと思ってたが、自分に正直なだけの女性なのかもしれない。園子も自分の夫が他の女性を抱いたらその女性を憎むのかと思ったら、光子と別れたくないと言うし、変わってるな、って思った。
最後に登場した新しいモデルの子も可愛かったから、レズに芽生えた園子が次のターゲットにするのかも。
ばれたらどうなる?なんてドキドキしながら観てて、濡れ場も綺麗だったし、面白かった。
光子役の新藤まなみが可愛くて魔性の女っぽくて魅力的だった。園子役の小原徳子も髪をおろしたら可愛かった。
新藤まなみさんと小原徳子さん💕
お久しぶりの井土紀州監督作。脚本は結構多作で、昨年公開されたいまおかしんじ監督の秀作「遠くへ、もっと遠くへ」も井土さんの脚本だった。
ただし今作の脚本は小谷香織さん。谷崎潤一郎の「卍」は再三映画化されてきたけど、「現在」にアップデートされた今作は別物と考えて良いかと。
歯科医の孝太郎(大西信満さん)と服のセレクトショップを経営する園子(小原徳子さん)の夫婦。二人の関係が大きく揺らぐことになる若い女性・光子の登場。
そう、「遠くへ、もっと遠くへ」の新藤まなみさんが光子を演じた。今作でも圧倒的だった。男女を問わず好きになるのもやむを得ず。
光子に恋した園子。
光子のことを好きだという園子。
実に潔かった。
思えばこれは園子の物語。
彼女が失ったものは失ってもよいものだと思う。
新たな未来を予感させるエンディングが好きだった。
清々しいエンディングだった。
かなり好きな作品だった。
ちなみに上映後、監督、まなみさん、徳子さんの舞台挨拶があった。至福の時間だった。ただしスマホを忘れたので写真が撮れんかった😭
現代の「卍」とは
過去何度も映画化された谷崎潤一郎の小説「卍」。
令和の現代を舞台に再び映画化された本作は、主人公・光子と園子の恋愛関係がナチュラルに描かれている。
時代と共に価値観も変遷する。
その変遷に寄り添うように、この作品の視点も「インモラルな関係」から「ナチュラルな恋愛」へと転換している。
力点が置かれているのは4人の男女の表の顔と裏の顔を駆使した複雑な絡み合い。
それぞれの感情のベクトルや重さを丁寧に織り合わせて進むストーリーが破局に向かってドライブしていく映画的快感。
アパレルショップのオーナーとして社会的に成功している園子という女性を演じる小原徳子さんが新藤まなみさん演じる奔放な光子に振り回され、ピュアな感情が大きく揺れ動くさまを大胆に丁寧に演じる姿に魅了された。
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