「耽美派」卍 いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
耽美派
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二組のカップルのそれぞれの思惑、そして愛情への渇望 過去に被られた深い傷と拭えない闇
倫理や道徳心を軽く突き崩す"ファム・ファタール" 危険報知ランプが廻っていてもサイレンが鳴り響いても抗えない誘惑 幸せの綻びを埋める為に躰を重ねる強欲さ
歯医者&ブティック経営者という富裕層に属する人種に関わりたい それは手段ではなく目的 金は貰ったが使い方は貧相 刺激的な世界は、現実の木造アパート1階共用廊下の一番手前部屋での茹で蟹の食事では決して出現しない
食べ終われば殻のみが残る 二人を"戴いて"殻を捨てるが如く、霧のように消えてゆく・・・
だが、ブティック経営者の欲望の暴走は始ったばかり 経済価値だけでは足りない新しい世界を体現してしまった妖しくも狂おしい"卍"は、刺激を求めて蛞蝓のような交愛に身を堕としていきたいのだ 一瞬の刹那に身を窶しても、情熱が人生を灯す炎の如くに・・・
レディコミジャンルというアプローチは、対極にいる自分のような"おじさん"に何を訴えたいのか?
谷崎原作は未読である
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いぱねまさんのコメント
2023年9月13日
ずっと釈然としない気持ちが今作にはあった ネットで谷崎文学を探っている内に答が分った
"馴化" "心的飽和" 簡単に言えば『飽きる』ということ 劇中には一言もその言葉は登場しない だからモヤモヤした感覚であったのだ
主人公のブティック経営者は『飽きて』いて、『飽き』られたのだ そして学んだ この刺激は自分を突き動かす『赤いジャケット』なのだと・・・