劇場公開日 2024年5月3日

「ひとりよりも仲間がいた方が面白い」バジーノイズ ひでちゃぴんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ひとりよりも仲間がいた方が面白い

2024年5月4日
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鑑賞方法:映画館

主人公 清澄のキャラ造形はいかにも今どきの男子っぽい。
他人と関わることを嫌い、自分の世界に浸って、それが心地よくて満足している。
そこに潮(うしお)というやや破天荒な女の子との出会いによって、
自己が解放されていく、そういう映画ですね。

見知らぬ男子が住む部屋の窓をぶち破って入ってくるとか、描き方次第ではホラー映画なのですが、
桜田ひよりなので全部許せます(笑)し、その潮の無理があるキャラ造形がいいんですよね。
潮がこういうキャラだからこそ、清澄は自分の殻を破って出てくることができたんだと思うんです。
この出会いが奇跡であり、その後の主要キャラ全員の進路の方向性を指していったと言っても過言ではないですね。

音楽を軸にしていますが、清澄がDTMをやっていることが、私的にはツボでして、
私も若い頃はPCでシーケンサーを走らせたり、シンセサイザーを購入して曲づくりに没頭したりしたことから、
清澄にとても共感できるんですね。清澄の心持ちも理解できるんです。
そこに潮との衝撃の出会いが、清澄の運命を明るいものに変えていく、なんて眩しいんだろうと思いました。

それから航太郎(井之脇海)と出会い、陸(柳俊太郎)と再会していく清澄。それは潮がいたから出会えたんですよね。
航太郎は等身大だから共感できるし、陸の生き方にも憧れてしまう。
特にベーシストである陸とのセッションで、清澄はやりたいことがハッキリする。
やっぱり他人との関わり、人が演奏するベースの素晴らしさを目の当たりにし、心持ちが変わっていく清澄。
やがて、ちょっとした疎外感&寂しさから潮が離れていってしまうリアル。

最後にまたしても閉じこもった清澄を解放するのは潮。
数年後の彼らの関係性が描かれるラストも実に青春していると思いました。

清澄と潮のラブストーリーではないことにも感銘を受けましたし、だからこそラストも清々しく感じることができました。

素晴らしい作品なのに、宮崎のワンダーアティックシネマでは観客ひとり、私だけ。
とても贅沢な時間だなと思うとともに、この作品を一人で観れてしまうことに寂しさも感じた次第です。

本作で、桜田ひよりのファンになりました。とても魅力的な役者さんですね。

ひでちゃぴん
トミーさんのコメント
2024年5月12日

共感ありがとうございます。
ちょっと同衾してるシーンを一つ位入れても・・と思いましたが、まぁそうなんだろうでもいい。代わりにベーシストカップルがもう夫婦みたいで対比効いてましたね。

トミー