「【エレクトロニック・アンビエントポップを人と交わらずに作っていた青年が、天真爛漫な若き女性との出会いを切っ掛けに、新たなる音楽仲間達と出会い、彼の世界が開けていく過程を描いた青年の成長作品。】」バジーノイズ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【エレクトロニック・アンビエントポップを人と交わらずに作っていた青年が、天真爛漫な若き女性との出会いを切っ掛けに、新たなる音楽仲間達と出会い、彼の世界が開けていく過程を描いた青年の成長作品。】
■人付き合いが苦手な青年、清澄(川西拓実)は、誰かに聞かせる訳でもなく団地の管理人をしながら部屋でエレクトロニック・アンビエントポップの作曲をパソコンで作ることに没頭している。
そこに、その音を偶々聞いた天真爛漫な潮(桜田ひより)から、聞かせてくれとお願いされるも断って部屋で作曲していると、マサカの団地のベランダから窓を叩き割って潮が部屋に・・。
そして、演奏する動画をSNSに投稿した事から、清澄の環境は一変し、音楽仲間も増え、音楽の幅が広がって行くが、レコード会社の”売れる事優先”のプロデューサーから、目を懸けられ、彼は音楽会社の一室で他者のための音楽を作り続ける事になる。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・確かに清澄の音楽はソロドラマーMISAKI(円井わん)とのセッションや以前同じバンドに居た陸(柳俊太郎)とのセッションで幅が広がるし、彼の世界が広くなっていく姿は観ていて面白かった。
・只、潮が、突然清澄を自室で同居させながら、彼の音楽の幅が広がって世界が変わって行く時に、唐突に家を出てバーで働く理由が良く分からなかった。
ー 言い訳になるが、久しぶりに1日に3本観たのでボンヤリしていたのかもしれないし、前の2本がとても良かったので、それに呑まれてしまったのかもしれない。
映画に対し、申し訳ない限りである。
それにしても、潮さん、何でも叩き壊す人だなあ・・。クスクス・・。ベランダのガラス、清澄さんが籠っていた音楽会社のドア。
あ、そうか、潮さんが清澄さんの閉塞した世界を叩き割ったのか!今気づいたよ!-
・自身の不安定な音楽会社の中のポジションにしがみついていた航太郎(井之脇海)や、それまで所属していたバンドの音楽と自身の音楽との距離感に違和感を感じ始めて居た陸が、清澄と出会い、自身が進む道を決めていく姿は良かったと思う。
・更に2年後、人前でミュージシャンとして演奏している人間として成長した、清澄の姿も良かったな。
<音楽自体も、最初から中盤までメインで流れる清澄作のエレクトロニック・アンビエントポップ調の曲は良くて(久しぶりにクリスチャン・フェネスの名盤「エンドレス・サマー」が聞きたくなったな。)ミュージック映画としては、仲間達との関係を緩やかに描いている所など風情が良かったなあ、と思った作品である。>