過去負う者

劇場公開日:

過去負う者

解説

「ある職場」の舩橋淳監督が、受刑者の採用を支援する実在の就職情報誌の活動をモチーフに、前科を持つ人々の社会復帰に横たわる問題を描いた社会派ドラマ。

受刑者向け就職情報誌「CHANGE」の編集チームは、出所者の就職斡旋と更生支援のため日々奔走している。ひき逃げによる殺人罪で10年服役した田中は中華料理屋に就職するが、短気な性格が災いしてトラブル続き。女子児童へのわいせつ行為で2年服役した元教師の三隅は、就職後すぐに消息を断ってしまう。社会復帰にもがき苦しむ元受刑者たちを目の当たりにした編集チームは、アメリカの演劇による心理療法・ドラマセラピーを提案。元受刑者たちと稽古を重ね、舞台「ツミビト」の上演初日を迎えるが……。

キャスト・スタッフには「ある職場」のメンバーが再結集し、台本をあえて用意せず撮影現場で俳優と演技を煮詰めていく演出手法でリアルに描き出す。

2023年製作/125分/PG12/日本
配給:BIG RIVER FILMS
劇場公開日:2023年10月7日

スタッフ・キャスト

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(C)2022 BIG RIVER FILMS

映画レビュー

3.5Trips before Greatness

2023年9月25日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

An organization helps fresh convicts secure work. For the first thirty minutes, I was scratching my head as to whether or not it was a documentary. Sure, the cuts and angles suggest acted drama, but the scenes unfold so close to reality, and the post-corona setting is immediate. Eventually it folds into over-acting, in a theater Q&A, with an us vs. them pondering like the Joker's bomb experiment.

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Dan Knighton

2.5誰も取り上げたことのない社会問題をテーマに、誰もやったことのない方法で作った映画という貴重さだけで、注目を集めている映画でした。

2023年12月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

誰も取り上げたことのない社会問題をテーマに、誰もやったことのない方法で作った映画という貴重さで、注目を集めている映画でした。

役者さんそれぞれに役になり切ってもらい、そこからアドリブででてくるセリフやストーリーをカメラが追いかけて作ったというある意味実験映画といえますが、個人的には観終わったあとの後味はあまりよくありませんでした。
登場した人のうち、後日談が描かれていたのは一人だけで、ほかの人達はどうなったのかわからない結末であり、しかもその一人の後日談も、私の感覚ではすんなりうけいれにくいものでした。

当初ドキュメンタリーを撮ろうとして、取材する中で、ドキュメンタリーにするのはプライバシーの問題があり難しいということから、このような形になったそうですが。。。このような難しいテーマを扱う映画を作るときには、脚本を練り上げ、何が問題なのか、どうあるべきと考えているのか、観客に伝えたいメッセージはなんなのか、どこに絶望があり、どこに希望をみいだすのか。。。監督の意思が伝わってくる映画であればと思いました。

あるいは現実におられた一人だけに焦点をあてた劇映画であれば、もっと伝わってくるものがあったのではと思います。

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tara

5.0「罪を犯した人間は人種が違う」

2023年12月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

難しい

過去負う者 神戸市の元町映画館で鑑賞 2023年11月15(水)
登場人物は以下の通り

田中拓 自転車の高校生をひき逃げ。殺人罪・道路交通法違反。実刑10年
三隅善央 女子児童へのわいせつ行為。準強制わいせつ罪実刑2年元教員
森文(あや) 覚せい剤の所持・使用覚せい剤取締法違反実刑2年
島あんり 知人男性宅に放火現住建造物等放火罪実刑10年
若尾雄太 店長知人男性を脅し暴行恐喝および殺人未遂罪実刑3年

永田隆 CHANGE 編集部・編集長
長谷川恵 CHANGE 編集部・心理士

受刑者向けの就職情報誌「CHANGE」編集チームは、出所者の就職あっせんと更生支援をしていた。
実際にそうしたサービスが実在していて、ヒントを得て出来上がった。
アメリカの演劇による心理療法・ドラマセラピーを提案。元受刑者たちと稽古を重ね、舞台「ツミビト」を公演するまでに至るのだが、現実を目の当たりにしてしまうのであった。「あなたたちは一線を超えた、我慢ができなかった、私たちとは違う」「資産価値が下がる、近くによらないで・・・」「罪を犯した人間は人種が違う」「自己責任でしょ!」

感想を述べる
私は本当の加害者になった経験がありません。本当の被害者になった経験がありません。
なので、どちらの立場も十分に理解しない状態です、つまりj軽率な言葉は控えます。

一方で感じたのが「被害者なき犯罪」です。薬物犯罪、買春罪、賭博罪です。
この映画の中では「森文(あや)」が対象。
償う対象はありませんし、民事訴訟はなく 刑事訴訟だけとなる。
刑務所に収容された犯罪者の全て、おなじように扱うのではなく、柔軟な対応が必要ではと感じます。

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大岸弦

4.0舞台という社会

2023年11月23日
iPhoneアプリから投稿

 ドラマ×ドキュメンタリー?と思っていたが、観て納得。たとえば、同時期に観た「正欲」は、俳優陣が華やかゆえに、どうしても「◯◯(俳優)が演じている役柄」と写ってしまう(それでもなお、という素晴らしさ・迫力は勿論あった。)。一方本作は、俳優たちが華を極力そぎ落とし、日々すれ違っているような、(一見)ごくありふれた人びとを見事に演じている。スクリーンを通し、自分が生活している世界と地続きの世界を見ている、という感覚が強くなっていく。中華料理店や被害者宅の居間は荒削りなセットで、映り込みが気になるところもあったが、記号的な分、想像力がかき立てられるようにも思われた。(ラース・フォン・トリアー監督の「ドッグヴィル」が思い出された。)
 過去に大きな失敗を抱えた人と、その人を支える人の物語、となると、彼らやその周りの「好ましい」変化や、ささやかな成功・希望を見届けたくなる。けれども、それは、所詮2時間程度を彼らを共有するゆえの無責任さかもしれない、と改めて気づいた。どこかで、フィクション、他人ごとと捉えていなかったか。本作では、やり直したい、過去を繰り返したくないという彼らの願いは、コロナ禍もあって、叶う兆しがなかなか訪れない。危うさを抱えたまま、山場となる舞台公演へなだれこむ。
 舞台上の彼らとそこに集まった観客たちは、私たちの生きる社会そのものだ。普段なら周りを気にして(自分が他から批判され排除されることを恐れて)沈黙でやり過ごすところ、公演後の質疑応答という場面設定ゆえに、容赦ない声なき声があぶり出されていく。努力や更生は素晴らしいと肯定しながらも、罪を犯した者とは関わりたくない、なんとなく不気味だ、信じられないと拒絶する。その一方で(関わりが前提となる)謝罪・反省の言葉はないのか、とも迫る。他方、ひっそり生きたくても出来ない、居場所がないと訴える彼らも、周囲と関わるか否かの両極で揺れている。
 一体、この物語はどこに着地できるのだろう…とはらはらした終盤。思いがけない二人の再会と歩みに、はっとさせられ、心底救われた。向かい合うことは難しいが、並んで存在し、前を向いて歩むことはできるかもしれない。そして、もう一つの再度の邂逅。かすかな光が、そこに見出せると思いたい。

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cma
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