劇場公開日 2023年10月20日

「やや冗長」ザ・クリエイター 創造者 ココヤシさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0やや冗長

2023年10月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

楽しい

興奮

米軍は自らのミスでロサンジェルスを核攻撃して100万人を死に至らしめるが、AIの暴走だと嘘をつく。このために西側ではAIが禁止される。
一方、ニュー・アジアでは人間とAIが共生しており、このため西側と交戦状態にある。米軍はノマドと呼ばれる空中要塞を打ち上げて、ニュー・アジアのAI拠点を爆撃している。それに並行して工作員ジョシュア・テイラー(ジョン・デヴィッド・ワシントン)をインドネシアに潜入させ、研究者マヤ・フェイ(ジェンマ・チャン)に近づけてAI開発者ニアマタ(クリエイター)の正体を探る。けれども、ジョシュアはマヤを愛して、妊娠させてしまう。功を焦った米軍がノマドを使ってインドネシアを爆撃し、マヤは行方不明になってしまう。
5年後、ニアマタがノマドを無効化する新兵器アルファ・オーを開発したという情報を得て、米軍のハウエル大佐(アリソン・ジャネイ)は退役していたジョシュアを呼び戻す。ロサンジェルス核爆発で家族を亡くしたハウエルは、AIに並々ならぬ憎悪を抱いている。マヤと再会できるかもしれないという一縷の望みを抱いたジョシュアは、現役復帰を受諾。ハウエルの指揮下、インドネシアの地下研究施設を急襲してアルファ・オーを見つけ出すが、それは少女(マデリン・ユナ・ヴォイルズ)の姿をしていた――といったストーリー。
ヒーローのジョシュアは黒人、ヒロインのマヤは中国人、ヴィランのハウエルは米軍の白人女性士官と、ハリウッドのコンプライアンスを見事に凝縮した作品。米軍が独善的な正義を振りかざして他国を空爆するというストーリーにも、リベラル派の見方が反映されている。アジアがニュー・アジアという単一国家に統一されているという設定には、中国に対する脅威認識もちらりと窺える(ニュー・アジア軍の幹部ハルン〔渡辺謙〕は日本語をしゃべっているけれどね)。
ラスト、再会を果たしたジョシュアとマヤが生き延びるのかと思ったけれど、そこまでおめでたくはなかった。VFXは大変見ごたえがある。

ココヤシ