劇場公開日 2023年10月20日

「未来のベトナム戦争」ザ・クリエイター 創造者 bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0未来のベトナム戦争

2023年10月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

難しい

近未来を舞台に、知能を持ち人間に反旗を翻したAIと人類との壮大な戦闘を描いたSF超大作。これまでも、『ターミネーター』や『アイ・ロボット』等、AIと人類との存亡をかけたの争いを描いた作品は、いろいろ製作されてきた。そのどれもが人類目線で、AIを敵対視した描かれ方が多かったが、本作はそこが逆転。正統的な優しさを主張するAIと人類目線の傲慢さを、相反する対照的な存在として描いている。

本作の背景は、AIを撲滅しようとするアメリカが、AIを信頼するニューアジアとされる地域との確執から引き起こされる戦争を描いているわけであり、これは、ベトナム戦争を想起する構図。実際に、乗り物こそヘリコプターと未来の戦闘機との違いはあれ、緑が広がる畑や田んぼでくり広げられる戦闘シーンは、『プラトーン』や『地獄の黙示録』と被るシーンが描かれていた。

また、21世紀後期の近未来を舞台としているが、全くのサイエンス・フィクションではなく、最近、きな臭くなってきた世界情勢の中では、十分にあり得る設定。そこをよりリアルに映し出しているのが、VFX技術の素晴らしさ。人間の顔をしながら頭部はマシンの映像は、『ロボコップ』でもお馴染みだが、その動きや質感のリアルさには、驚かされる。

物語は、2075年にAIが暴走し、ロスアンゼルスを核攻撃し、AIと人類との戦闘シーンから始まる。人類滅亡兵器を作り出したAIの『クリエイター』の暗殺に向けて、潜入捜査をしていたのが元特殊部隊のジョシュア。そんな彼が見つけ出したのは、最先端のAIの少女・アルフィーだった。しかし、潜入捜査時にジョシュアが愛したマヤの存在を知るアルフィーを助けて孤軍奮闘、人類軍に立ち向かっていく。

主演は、『テネット』でハリウッド俳優として認知が高まった、デンゼル・ワシントンの息子デビッド・ワシントンが体当たりの演技をみせている。また、何んと言っても渡辺謙がAI
ロボットの中心的な役割として演じ、所々、日本語での雄たけびをあげているが、我々にとっては嬉しいシーンだ。

ギャレス・エドワーズ監督が、脚本も手掛け、その入れ込み具合も伝わってくる壮大なスペクタクル・アクションを楽しめた作品だ。

bunmei21
bunmei21さんのコメント
2023年10月22日

プラトーンや地獄の黙示録で観たシーンが,再現されてましたよね。

bunmei21
AKIRAさんのコメント
2023年10月22日

未来のベトナム戦争、うまいタイトルですね。

AKIRA